関東自動車工業(株)岩手工場の増産による経済波及効果と

自動車関連産業クラスター形成に向けた取り組みについて

−改訂版−

      

                              東北経済産業局

                           平成17年2月3日

 <ポイント>

関東自動車工業(株)岩手工場(金ヶ崎町)は10万台の生産力増強を予定しており、平成1710月から年間25万台の生産が可能となる。関連産業が幅広い自動車産業の生産増強は大きな経済効果を発生させるため、その波及効果を推計したところ、次のような結果を得た。 

1.        現状の12万台生産、東北地域内での自動車部品等の調達率30%(いずれも15年度実績)の経済効果は、東北6県総計で約2,900億円(自動車生産額1,900億円、波及効果1,000億円)

2.        25万台に増産し、部品等調達率を30%で維持した場合の経済効果を推計すると、総計約6,100億円(自動車生産額4,100億円、波及効果2,100億円)で、約3,200億円、東北地域の生産額が増える。

3.         25万台生産に伴い東北地域に自動車関連産業が幅広く誘致・育成され、地域内の部品等調達率が50%に上昇した場合の経済効果は、総計約7,400億円(自動車生産額4,100億円、波及効果3,300億円)に拡大し、さらに1,300億円、東北地域の生産額が増える。      
 
(注)四捨五入により合計値が整合しない部分がある。 

 このように今回の関東自動車工業(株)の生産増強に伴う経済効果は、東北地域のGDPの約0.6%に相当する極めて影響が大きなものであり、東北経済の飛躍の鍵を握るプロジェクトである。しかし、その経済効果を地域内に効果的に波及させるためには、今後、域内の自動車関連産業を育成強化し、集積を高めることが不可欠である。

このため東北経済産業局としては、関東自動車工業(株)、トヨタ自動車(株)の理解を得ながら、岩手県をはじめとする東北各県や関係自治体、東北経済連合会、工業会などの産業界、金融機関等との広汎な協力の下に、域内の中堅・中小自動車部品企業の強化・育成とトヨタ系列の大型サプライヤー企業の誘致のために、各種施策を講じていく予定である。

 

(参考)自動車25万台生産の日本全国での経済効果総額は13,900億円。

 

    調査結果の概要は以下に続きます。 
調査結果の印刷はこちらから>>

(PDF形式:168KB)


※主な改訂点:
@皆様からお問い合わせの多かった現行調達率(30%)での経済波及効果について分析結果、コメントを加えました。
A分析結果フローチャートについて、東北表(調達率50%)での分析結果6836億円分を添付しておりましたが、7366億円となる産業クラスター形成時の想定結果(調達率50%)に差し替えました。
B支援施策について、最新情報に更新いたしました。

  【問い合わせ先】
・経済波及効果分析に関するお問い合わせ
  (もくじ1〜4)
  東北経済産業局  調査課
  電話 022-263-1111 内線5570〜3
   
FAX  022-224-0384    

・今後の支援事業に関するお問い合わせ
  (もくじ5)
  東北経済産業局  地域経済課
  電話 022-263-1111 内線5621〜2
   
FAX  022-265-2349 


も く じ

1.経済波及効果分析の趣旨

2.経済波及効果分析の前提条件

3.経済波及効果分析の結果
(1)東北地域内での部品調達率30%の場合の経済効果
(2)自動車産業クラスター形成時の経済波及効果の推計

4.経済波及効果のまとめ
   
分析に関するフローチャートはこちらから>>(PDF形式:45KB)

5.自動車関連産業クラスター形成に向けた今後の取り組み

  ○関連企業の誘致
  ○地域内企業の育成
  ○産業基盤の整備等
  ○年度内に予定している主な関連事業のご紹介

(日程等の決まった事業についてご紹介します)

@東北地域投資促進セミナーの開催(申し込み、案内のページにリンクします)

A2005TOHOKUクラスターコラボレーション事業の成果発表会における基調講演(イベント専用サイトにリンクします)

B地域の中小企業経営者との懇談会


C自動車産業振興に関する連絡会議

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1.経済波及効果分析の趣旨 

 わが国の自動車及び自動車部品の工業出荷額は約479,973億円で、全製造業の出荷額の約17.8%(2002年)を占める日本経済の基幹産業である。その地域的な立地を見ると、中部地域が輸送用機械工業出荷額の40%以上を占めており、東北地域は1.9%程度に過ぎず、九州地域の5.9%を下回っている。

 今般、トヨタ自動車系列の関東自動車工業(株)岩手工場は、生産拠点の全国分散化の一環として年間10万台の生産力増強を計画しており、平成1710月には年間生産台数25万台の拠点工場になる予定である。

 自動車産業は、自動車部品をはじめとして鉄鋼、ガラス、電子部品など関連する産業が多い“裾野の広い”産業であるため、自動車産業の生産拡大は、関連産業の生産も増大させ、いわゆる経済波及効果が大きくなる(自動車生産額が1単位増加すると、全国ベースで関連産業生産額が3.0単位増えると分析されており、鉄鋼の2.6単位、化学の2.2単位、電気機械2.2単位に比べ経済効果が大きい)。しかしながら、自動車部品等の調達先が東北地域以外ならば、その経済波及効果は東北地域外で発生することとなり、東北経済への波及効果は少なくなる。

 さらに、トヨタ自動車東北(株)や日産自動車(株)いわき工場の工場増設など、東北地域内では自動車関連工場の生産力拡充が相次いでいるが、このような生産拡充に対応して必要な部品等の調達を遠方の既存工場等で賄おうとすると輸送コストの増大等を招くため、これらの工場としても地元調達の拡大が重要な課題となる。

 このため、以下の経済波及効果分析では、自動車生産台数増加に伴う単純な東北地域への経済波及効果分析に加え、東北地域において自動車関連産業の集積を進め、自動車部品等の地元調達率を高めた場合の経済波及効果の推計を行い、自動車関連産業の集積が東北経済へ与える効果を明らかにすることとした。

 

2.経済波及効果分析の前提条件 

 

@   関東自動車工業(株)岩手工場について、年間10万台生産力増強により年間25万台の生産能力とする。

A   同社の15年度生産・販売実績から、現状の生産状況を、生産台数12万台、生産額1,947億円、東北地域内の部品等調達率を30%とする。

B   東北地域内に自動車関連産業の集積が進んだ場合の域内部品等調達率を50%とする。

 

 

 3.経済波及効果分析の結果

 (1)東北地域内での部品等調達率30%の場合の経済効果 

 関東自動車工業(株)岩手工場の15年度生産実績及び25万台生産時の生産額、並びに現状の東北地域内での部品等調達率30%を前提とし、東北地域産業連関表(平成12年表)を使って現状及び25万台生産時の経済効果を推計すると、東北地域に発生する経済効果は表1−@、Aのとおりとなる。

 すなわち表1−Aに示すように、25万台生産時の自動車生産額は4,055億円、その波及効果は2,061億円であり、経済効果合計は6,116億円(自動車生産額の1.5倍の経済効果が発生)となる。このうち付加価値額は1,573億円で、これは東北地域のGDP(産業連関表上の値で323,120億円)0.5%に相当する額である。

現状の経済効果(表1−@、2,937億円)と比較すると、自動車生産額は2,108億円増、経済波及効果は1,071億円増で、合計3,179億円の追加的生産額が発生し、現状の経済効果の約2.1倍になる。

 

 

2)自動車関連産業クラスター形成時の経済波及効果の推計 

(参考1)に示すように、25万台の自動車生産が日本全体で発生させる経済波及効果は9,880億円であり、前述の東北地域での経済波及効果2,061億円(全国値の21%)との差額7,819億円が生ずる主な原因は、東北地域外から自動車部品等が調達されるためである。

(参考2)に示すように、自動車関連産業クラスターが既に形成され、域内での部品等調達率が約76%と高い東海地域において同様の自動車生産が行われた場合の経済波及効果を推計してみると、4,846億円(全国値の49%)に達しており、東北地域(2,061億円)の2.4倍の経済波及効果が生じている。

したがって、関東自動車工業(株)岩手工場による部品調達の増加分に対応して、東北地域内の既存企業の生産拡大、トヨタ系列の大型部品サプライヤーの誘致、自動車関連産業の新規育成が行われ、東北地域に自動車関連産業クラスターが形成された(=東北地域内での部品等調達率が向上した)暁には、一層大きな経済波及効果が東北地域で発生するはずである。

このためここでは、東北地域内での自動車部品等の調達率が50%に向上したケースを想定して経済効果を推計する。

具体的には、@東北地域産業連関表を使用して25万台生産、域内部品等調達率50%の場合の経済波及効果を推計する。Aこの経済波及効果のうち、自動車生産に関係の深い「自動車部品」「その他電気機器」及び「プラスチック製品」の産業への波及効果については、東海地域産業連関表(平成12年表)を使って25万台生産、域内部品等調達率50%で推計した数値を使用する、という作業を行った。

Aの作業を行った理由は、1)域内調達率50%を達成するためには東北地域内に自動車関連産業が集積する必要があり、東北地域において集積可能な代表的業種がこの3業種である、2)これらが集積した産業構造を表す産業連関表を使用してこれらの業種への経済波及効果を推計する必要があるため、その代表例として東海地域産業連関表が利用可能である、ためである。

 

その推計結果が表1−Bであり、経済効果合計は7,366億円に達し、現状の経済効果2,937億円の2.5倍、調達率30%の経済効果6,116億円の1.2倍となる。経済波及効果3,310億円は、現状990億円の3.3倍、調達率30% 2,061億円の1.6倍に達する。なお、3,310億円の経済波及効果のうちの1,921億円、58%が「自動車部品」、「その他電気機器」、「プラスチック製品」の産業に発生する経済波及効果となっている。

この経済効果のうちの粗付加価値額は2,006億円で、これは東北地域のGDPの約0.62%に相当する。現状に対する追加的な付加価値発生額は1,250億円であり、これは東北地域のGDP0.4%増加させることとなり、調達率30%の場合に比較してもGDP0.1押し上げるものとなる。

表1 東北地域産業連関表による経済効果推計(単位:億円) 

項目

@現状の経済効果(12万台、調達率30%)

A25万台生産、調達率30%の経済効果

B25万台生産、調達率50%の経済効果

自動車産業生産額

1,947

4,055

4,055

経済波及効果

(自動車部品産業等)

990

(382)

2,061

(795)

3,310

(1,921)

経済効果合計額

2,937

6,116

7,366

粗付加価値額

  756

1,573

2,006

 (赤字部分Aは、改訂前は、現行の東北の生産構造で25万台生産、50%の経済効果を記載しておりました。Bは産業クラスター形成時の想定生産構造で計算したもの)

 4.経済波及効果のまとめ 

 以上のように、自動車生産25万台(生産額4,055億円)の経済効果は、現状の東北地域内部品調達率30%を前提としても6,116億円の規模となり、東北地域における自動車関連産業の集積を高め、域内部品等調達率を50%に向上させた場合には7,366億円まで拡大する可能性がある。

関東自動車工場の生産力拡張を一つの契機として、東北地域が自動車関連産業の一大拠点となるよう、地域の中堅・中小企業の自動車関連産業への進出、関連企業の誘致等を進めていくことが今後の東北経済の重要課題になると考えられる。

分析に関するフローチャートはこちらから>>(PDF形式:45KB)
 

(参考1)

 日本全体で自動車25万台生産時の経済波及効果がどの程度発生するかを、全国産業連関表(平成12年表)を使って推計すると、表2のとおりとなる。

すなわち、日本全体では13,935億円の経済効果が発生し、東北地域における経済効果6,116億円との差額7,819億円が、域内部品調達率が低いために東北地域外で発生する経済波及効果である。東北地域で発生する経済波及効果は、全国値の21%に過ぎない。

 

表2 日本全体と東北地域の経済波及効果の比較(単位:億円) 

項 目

日本全体

東北との差

(域内調達率30%)

自動車生産額

4,055

経済波及効果

9,880

7,819

経済効果合計

13,935

7,819

  

(参考2)

 自動車関連産業が集積している東海地域で自動車生産が25万台行われたときの経済波及効果を東海地域産業連関表(平成12年表)を使って推計すると、表3のとおりとなる。

すなわち、自動車関連産業が地域内に既に集積し地域内での部品調達率が76%(産業連関表ベース)と高い東海地域では8,901億円の経済効果が発生し、東北地域の場合の経済効果(6,116億円)との差額は2,785億円に達する。経済波及効果の比較では、東海地域(4,846億円、全国値の49%)は東北地域(2,061億円)の2.3倍の経済波及効果を享受することとなる。

 

表3 東海地域と東北地域の経済波及効果の比較(単位:億円)

項 目

東海地域

東北との差

(域内調達率30%)

自動車生産額

4,055

経済波及効果

4,846

2,785

経済効果合計

8,901

2,785

 

 


 《参考》 産業連関表

 産業連関表とは、ある地域(全国、東北地域、各道県)で1年間に行われた財貨・サービスの取引関係を1枚の表にまとめたものである。この表から財貨・サービスごとの生産構造(原価構成)と販路構成が把握できるだけでなく、個々の産業と産業全体の関係が整合的に把握でき、その地域、その時点の産業構造を表す統計といえる。

また、産業連関表の各種係数を用いて波及分析(生産波及分析や価格波及分析)を行うことにより、将来の経済予測や経済政策の効果の測定・分析等が可能となり、経済政策等を行う上で重要な基礎資料として利用されている。

 なお、当該分析に使用した平成12年版東北地域産業連関表についての概要は別途公表しております。詳しくは当局HPから。
 


5.自動車関連産業クラスター形成に向けた今後の取り組み

  大規模な完成車工場を中心とした自動車関連産業クラスターを効率的に形成するためには、以下のような取り組みを行う必要がある。

  ○関連企業の誘致

一次サプライヤーであるデンソーの誘致や既存立地サプライヤーの生産力の拡大が必要であり、併せて関連する多様な企業が東北に進出するならば、東北地域の企業の受注機会も増大する。


○地域内企業の育成

東北地域の企業については、高品質の製品を早期に製造可能な、技術力のある企業(鋳造・プレス・電装・機械器具等)を育成することが重要である。このためには、参入意欲のある企業経営者の意識改革を図りながら、専門家の派遣による技術指導や工程改善を行い、自動車関連企業に納入できるよう支援していく必要がある。この場合、各県の中小企業支援機関や工業技術センターの役割が重要であり、技術力の向上を図りながら、自動車関連企業への受注斡旋や商談会等を行い、受注拡大につなげる必要がある。

○産業基盤の整備等

道路や港湾等の物流・従業員の住環境等の社会資本の整備、若年労働者の教育・雇用確保、産学官連携による製造現場の中核的人材の育成を進めていくことも重要である。

  このような多様な取り組みを円滑に行うため、東北経済産業局としては、関東自動車工業(株)、トヨタ自動車(株)の理解を得ながら、岩手県をはじめとする東北各県や関係自治体、東北経済連合会、工業会などの産業界、金融機関等との広汎な協力の下に、各種施策を講じていく必要があると考えている。このため、年度内に次のような事業を実施する予定である。 


@東北地域投資促進セミナーの開催

目的 一次サプライヤー等の東北への投資促進を促す

日時 平成17年2月8日(火) 15:00〜19:00

場所 如水会館(千代田区一ツ橋2−1−1))

プログラム 第一部講演会  岩手県立大学学長 西澤潤一

第二部交流会 東北各県等からの立地環境のプレゼンテーション

主催 東北地域産業開発促進協議会(会長:本部東北経済産業局長) 

お申し込み、詳細のご案内はこちらから>>

 

 

 


A
2005TOHOKUクラスターコラボレーション事業の成果発表会における基調講演

目的 (株)豊田自動織機の相談役 磯谷智生氏を招いて「自動車産業の未来展望〜ものづくり革新と人づくり」と題した講演会を開催することにより、関係者の意識醸成を目指す

日時 平成17年2月24日(木)10:15〜11:25予定

場所 仙台国際ホテル

お申し込み、詳細のご案内はこちらから>>
 

 


B地域の中小企業経営者との懇談会

目的 地域内の中小企業経営者とトヨタ関係者の意見交換を行うことにより、経営者の意識改革を図るとともに、意欲ある経営者を発掘する。(第一回については、上記磯谷智生氏と岩手県・地元企業・支援機関等との意見交換会を予定)

日時 平成17年2月25日(金)を皮切りにシリーズで開催を計画

場所 盛岡市(メトロポリタン盛岡ニューウイング) 以後、仙台市、山形市等で開催を計画
 

 

C自動車産業振興に関する連絡会議

目的 自動車産業振興に関する当局及び東北6県、関係機関と取り組み等に関する情報交換会

日時 平成17年2月10日(木)13:30〜

場所 パレス宮城野
 

さらに来年度以降も、以下のような事業を展開すべく検討中です。

お申し込み、詳細のご案内は後日当局HPに掲載いたします。

D東北地域の自動車関連産業振興に関する講演会のシリーズ開催

E 自動車関連企業と地元参入希望企業とのマッチング会

F 金融機関と地元参入希望企業とのマッチング会

G 関東自動車工業滑竡闕H場見学会

H 自動車トップメーカーOB等による地域企業指導会


 

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