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ファイナンス支援検討委員会のまとめ
〜東北ベンチャーファンドの設立に向けて〜

平成11年6月19日

<目次>

〔委員会における主な検討、調査の状況〕

〔調査の概要〕
1.ベンチャー企業の資金調達の状況
2.ベンチャー企業経営における全般的課題
3.各県ベンチャー財団等、資金供給サイドの現状
4.エンジェル・メンター活動の状況
5.投資事業有限責任組合等の現状と課題
6.資金調達支援及び経営支援の視点
7.ベンチャー企業の資金供給に関する支援策の検討
8.ベンチャーファンドの性格付け
9.ファイナンスに伴う経営支援策の検討
10.委員会における討議の要点

〔委員会における主な検討、調査の状況〕

1.検討委員会の開催

第1回委員会平成11年11月15日(月)
第2回委員会平成12年1月24日(月)
第3回委員会平成12年3月21日(火)

2.企業ヒヤリング調査東北7県36社、及び東北7県ベンチャー財団のヒヤリング調査

3.ベンチャー企業に対するアンケート調査

【アンケート実施概要】

1)対象企業:東北地方の中小創造法認定企業、ベンチャーランド協議会からの推薦企業、通産局推薦企業の中から、重複を避け、インタビュー対象企業を除いた414社

2)実施時期:平成12年1月〜2月

3)有効回答数:144社(回収率34.8%)

  〔調査の概要〕ベンチャー企業の資金調達の状況

(1)ベンチャー企業では、運転資金、研究開発資金に対するニーズが高い

(2)資金調達に対する満足度としては、

・全体としては、「充分に調達」「概ね調達」が65%
小規模、独立型、スタートアップ、アーリーステージの企業では、資金調達があまりできていない。
・また、研究開発型企業ほど資金調達難

(3)資金調達が難しい要因としては、「担保不足」や「売上の伸び悩みによる信用力不足」

(4)創業初期の資金は、自己+縁故資金による調達が中心。エンジェル的存在によるサポートを受けている企業も存在。

(5)ミドルステージ以降の企業では、間接金融を中心に概ね資金調達ができている。

(6)東北地域のベンチャー企業の多くは、公的機関や政策金融を含めた間接金融を中心に資金調達を検討しているが、アーリーからミドルにかけての企業と情報通信関連ベンチャー、及び高成長企業ほど「株式公開」等のエクイティによる資金調達指向が強い。

(7)資金調達上、望まれる環境整備としては、キャピタリストの育成、目利き機能の充実、及びソーシャルファンドの拡充に対するニーズが大


.ベンチャー企業経営における全般的課題

(1)全体の傾向として、研究開発の強化、人材確保・組織の活性化、及びマーケティングの強化の順に課題としての認識が大きい。

(2)アーリー〜ミドルステージでの課題は、「人材確保・組織活性化」「マーケティング強化」「他企業との戦略的提携」の順となっている。

(3)分野別にみると、医療・バイオ分野では、「研究開発力の強化」についで「マーケティング力の強化」の必要性があげられ、情報通信分野では、「株式公開」を重要課題とする企業の割合が平均の2倍となっている。


.各県ベンチャー財団等、資金供給サイドの現状

(1)各県毎に投資方針と実績に特色あり。例えば、(岩手県)アーリーからレイターまで公開意欲の大きい企業に投資。(山形県)第2創業を対象にすることも多く、投資実績は東北で最多。(宮城、新潟県)アーリーに重点的に投資。

(2)ベンチャー財団の主な課題としては、

@提携先の大手VCによる発見・発掘機能の弱さと提携VCによる投資先の育成支援不足
A投資先企業の不足
B評価能力不足
Cセカンドファイナンスの実現率の低さ等があげられている。

(3)民間ベンチャーキャピタルの主な課題としては、

@情報通信等一部の急成長業種を除いて、依然として公開への道筋が見えるレイターへの投資に集中
A投資後に必要とされる投資先企業の育成のためのフォローアップが必ずしも充分でない
B現在、大手ベンチャーキャピタルが進めている機能の大都市圏への集約化により、東北地域内での発掘・育成機能が低下


.エンジェル・メンター活動の状況

(1)アーリーステージの企業は、エンジェルの存在を高く評価

(2)企業アンケートでは、メンターに対して、深いコミットメント(資金提供に留まらず、経営支援や情報提供を要望)を求める声が強かった。

(3)受益者側から見たエンジェル・メンター活動に対するニーズとしては、「より深く、より重点的に」且つ、それに対応した適切な事業評価の体制の確立が求められている

(4)全国的に、エンジェル税制の創設(1997年)等、90年代の後半に入って環境整備が進展したことから、90年代後半以後、VC以外のエンジェルの活動が活発化。東北地域においても、企業経営者3人による「東北エンジェルパートナーシップ」がベンチャー企業を支援


.投資事業有限責任組合等の現状と課題

(1)「投資事業有限責任組合法」の施行により、同法に基づく有限責任組合ファンドが全国的に急速に設立されている。また、中小企業総合事業団や新規事業投資鰍ノよるファンドへの出資制度も整備され、地域での投資事業組合(ファンド)の設立が一層の加速化

(2)ファンドの形態としては、大手ベンチャーキャピタル、大手VCから独立したベンチャーキャピタル、地域企業/地域企業ネットワーク、地方銀行/信用金庫、市民団体等が出資。規模も1億円程度から大規模なものでは100億円を超えるものまで多様

(3)地域の活性化のためのファンドや産学連携ファンド、及び情報通信、環境、福祉といった特定分野に限定して投資先を選定するファンドも存在

(4)現時点で、東北地域における有限責任組合ファンドはない


.資金調達支援及び経営支援の視点

(1)資金調達支援の方向性

@事業ポテンシャル・知的資産評価等に基づく投・融資スキームの確立
A雑多にある各種補助制度を東北地域や各県といった大きな枠組みの中で体系的に整理する必要あり
B投資事業有限責任組合やソーシャルファンドの形成など、民間における資金供給の動きを触発する環境の整備

(2)資金調達に関連する経営支援策の方向性

@目利き機能の洗練・強化
A自社開発製品化、マーケティング支援など、直接金融に足る事業構造や経営体質の獲得に対する多面的な支援
B戦略的提携・リストラクチャリング等に対する支援


7.ベンチャー企業の資金供給に関する支援策の検討

(1)ファンドの必要性

@リスクマネー供給を巡る各主体の直面する課題

・ベンチャー財団の課題としては、発掘・評価機能の弱さと成功報酬が低く抑えられているという制度上の制約から、充分なリターンが確保出来ない一方で、デフォルトによるリスクが大きいことから、保守的な投資姿勢とならざるを得ない状況がある
・民間ベンチャーキャピタルの課題としては、レイター投資への集中と東北地域の拠点縮小傾向による発掘機能と育成機能の低下が認められる
・産業活動面からは、アーリー投資に対するニーズ、社会的意義の高い分野における資金ギャップの解消、産学連携等の研究成果を活用した起業化の促進等に対する要望が多い

A新たなベンチャーファンドの果たすべき役割〜ファンド・オブ・ファンド〜

 新たなファンドは、各県ベンチャー財団と民間VCを活用しながら、現在あるファイナンスギャップを補完し、東北地域全体としてスムーズなリスクマネーの供給を実現していくような役割を果たすことが求められる。具体的には次のような視点が不可欠。

1)アーリーステージ投資の活性化

東北地域における公的ベンチャー投資がアーリーステージにウェイトをおくことを促進する触媒としての機能。

2)ミドルステージに対する投資機能の強化

アーリー段階を経た後、民間ベンチャーキャピタルによる投資受け入れにいたる道筋を付けるためのミドルステージの企業に対する投資機能の強化

3)資金の需給ギャップの大きい分野の企業に対する資金供給機会の拡充

現状の金融制度の中で、資金ニーズと供給される資金のギャップが大きい分野の企業に対する資金供給機会の拡充。

4)大学等の研究開発成果を活用した起業活動への資金供給の充実

東北地域の大学・研究機関における研究開発成果を活用して、事業化を図る企業家に対する資金供給機会の充実強化。

B公的ベンチャーファンド設立の今日的意義

○ニーズ面:地域経済の活性化に向けたベンチャー育成機能の整備

 新規開業率の低迷、開・廃業率の逆転など、新たな活力を生み出す企業活動のダイナミズムは依然として低水準。特に民間のベンチャー育成支援機能を十分に持たない地方圏においては、ベンチャー育成環境の整備は特に緊急に解決すべき課題となってきている。

○供給環境面:国レベルでの制度環境の整備の進展

 「投資事業有限責任組合法」による投資リスクの低減や、新たなベンチャー企業向けの株式市場の開設による出口の多様化など、ベンチャーファンドの設立に向けた制度面での環境整備は、今日急速に進展。またベンチャー企業やベンチャー育成ファンドに対し、国の機関が出資するスキームが整備されてきていることも、ファンド設立に向けて大きな後押しとなっている。


8.ベンチャーファンドの性格付け

(1)新しいベンチャーファンドが果たすべき役割

 新たなベンチャーファンドは、今回の調査結果から、特にアーリーステージ、ミドルステージのベンチャー企業に資金供給を行うファンドの設立の必要性が高いことが明確化

(2)新たなベンチャーファンドの方向性

@ファンドの目的
 各県のベンチャー財団との連携・協調機能を重視しながら、アーリーステージからミドルステージにあるベンチャー企業への投資を活性化することを主な目的とする。

Aファンドの果たす機能

1)ベンチャー財団への協調投資機能

各県ベンチャー財団の実施する投資の中で、特にアーリーステージにある企業への投資案件を対象として追加・協調投資を行う機能。

2)VCによるファイナンスへの連携機能

ミドルステージにおけるベンチャー投資を活性化することで、株式公開を念頭に置いた民間VCによるファイナンスへの道筋を付ける。

3)単独投資機能

発掘したアーリー・ミドルステージの企業に対して、単独で投資を行う機能

Bファンドの組成方法

1)中小企業総合事業団の出資、あるいは新規事業投資(株)からの出資を受け、投資事業有限責任組合を組成する。

2)残りのファンドの出資については、以下のような出資者を検討する。

a.ベンチャー企業に対する投資意欲を有する東北地域の立地企業
b.アーリーステージ企業に対する投資意欲のあるVC、機関投資家
c.東北地域における技術移転機関をはじめとした各種ベンチャー支援機関等
d.エンジェルとなる意志を持つ企業経営者

3)投資責任を明確にしたファンドの運営並びに、投資先企業へのハンズオンのフォローを効率よく行いながら、地域でキャピタリトを育成していくためには、独自のVCを設立する事が望ましい。

Cファンドマネージャー

東北地域にゆかりのある、ベンチャー投資の経験が豊富なベンチャーキャピタリスト、またはキャピタリストのOB的な人材をファンドマネージャーとする。

(3)付随機能

@発掘機能

ベンチャー財団や地元の提携VCの機能を十分に活用し、発掘機能を確保していく。

A投資先企業への立地地域の産業界リーダー(群)によるサポート

立地地域の産業界リーダーが、ファンドに参加するとともに成長のための各種便宜(受発注先の紹介、共同研究開発機関の紹介等)を図る体制の整備。

B産学連携に対するサポート

東北地域に立地する大学や研究機関との連携を促進し、企業の研究開発活動を促進する仕組づくり。

C販路開拓に対する支援

ミドルステージにある企業を中心対象とした、販路ネットワーク面でのサポート。VC、東北地域に立地する企業等が、販路開拓をサポートしていく。

D短期資金の提供

ファンドへの出資に協力する機関投資家、特に銀行を中心として、短期資金の提供を円滑化することで、投資先企業の経営の安定化を図る。


9.ファイナンスに伴う経営支援策の検討

 ファンドに付帯する機能として、特に重要な点としては、主として以下の4点があげられる。

(1)事業ポテンシャル評価に基づく重点的支援:目利き機能

 アーリーステージに対する投資を行う中で、ファンドとしての確実なパフォーマンスをあげていくために、事業及びそれを中心的に進る人材に対するポテンシャル評価機能である「目利き」機能の充実。

(2)技術・製品開発上の経営資源不足の解消:経営資源サポート機能

 ベンチャー企業が直面する技術・製品開発上の経営資源不足を補完するために必要な外部資源の活用支援機能。

(3)開発製品のポテンシャル評価・販売先確保:マーケティング支援機能

 事業としての成功率を高めるためには、受け入れられる製品の開発、売り先となる販路の確保が非常に大きな鍵となることから、ベンチャー企業に対するマーケティングの支援を行うことが重要である。

(4)施策の認知、施策の利用環境の整備:アウトリーチ機能

 施策の利用利便性を極力高めるため、情報提供機能、制度活用に対するアドバイス機能などを有するアウトリーチ機関を東北地域内各地に配し、そこを通じて各地域の有望企業による制度活用を促していくことが必要。


10.委員会における討議の要点

(1)ファンドの設立が必要。特に、アーリーステージにおいては何らかの形で政策的な対応が必要。但し、ファンドだけでなく、目利き、内容や技術を評価しアドバイスを与えるような仕組み等をも考える必要がある。

 また、3大都市圏では「投資事業有限責任組合法」によるベンチャー投資事業組合が組成され、地方においても九州、北海道地区では同様なファンドの整備が進んでいる状況にある。全国に先駆けた産学官連携への取り組みを行っている東北地域としては、今まさに、地域として企業を育成するためのベンチャーファンドを設立する時期が到来しているといえる。

(2)企業サイドが、資金調達として本当にエクイティなのか、直接金融の難しさも含めた意味づけに関する理解や厳しさが分かっているのか疑問。直接金融を受け入れるような企業体質や構造を育成(エクイティカルチャーの醸成)していく必要がある。

(3)ビジネスプランが上手く作成できないことや、ビジネスプランが甘く、セカンドファイナンスに進めないケースがある。アイデアを持った起業家が、自分のビジネスモデルやプランをきちんと形にすることに対する支援体制を作ることが重要。

(4)株式公開を目指すに足る経営者を育成するため、経営サポートや経営者教育・人材育成の仕組みを考える必要がある。


東北通商産業局 産業支援課
 

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