平成9年 「地域ベンチャーサポート・ネットワーク形成のためのフイージビリテイ調査」 要 約
1.調査の視点 「東北ベンチャーランド運動」の過去3年間の活動成果を踏まえ、地域に具体的 なベンチャー支援のシステムを構築することをめざす。そのため、特定の地域を選 定して、その地域のベンチャー支援のリソース(地域資源)を把握し、実際の支援 対象を選んで試行的に支援を行い、その過程から具体的な問題点を抽出して、より 効果的なベンチャー支援のネットワークのあり方を考察した。
2.調査の方法 本調査の進め方として、以下の手法によって検討を行った。(図−1略) (1)対象地域の選定 製造業の集積があり、起業化意識も高く、すでにベンチャー支援の先進的な 試みがなされている地域として、岩手県の花巻市と北上市を選定した。 (2)検討員会の設置 学識経験者、地域経済団体、地元起業家、行政担当者からなる委員会を構成 して、調査の方向性や支援機能設定の方向性について検討を行った。 (3)聞き取り調査 地域のベンチャー企業、新規事業開発を行っている地元企業、地域の公的支 援機関、経済団体からベンチャー支援に関する現状、課題を聞き取り調査した。 (4)ベンチャーサポート・プロジェクトチームの編成 実際の起業家の支援を試行的に実施する上で、実務部隊となるプロジェクト チームを編成し、具体的な活動の中から、問題点、の抽出を行った。 (5)ベンチャーサポートネットワークの設定と支援試行 上記のプロジェクトチームの編成と情報共有化ツールとしてパソコン通信の メーリングリストを立上げ、具体的な支援対象企業を選定して、支援を実行し、 その過程から、課題を抽出した。
3.調査結果
(1)地域リソースの洗い出しと起業化ステップごとの当てはめ 技術開発を伴う新規事業の創出を想定して、起業化のステップを図−2に示 すように分解して、各支援機関の機能を当てはめた。
(2)ベンチャーサポート・ネットワークの設定 花巻市、北上市の公的支援機関の連携をねらいとして、図−3に示すベンチ ャーサポート・ネットワークを設定した。このネットワークは市・県・国レベ ルの階層別にネットワークの中核機関を選定し、市レベルでは行政と民間の経 済団体の混成部隊によるベンチャーサポート・プロジェクトチームを編成した。 このチームが起業家との接触窓口になり起業家からの相談事項をキャッチし、 県レベルや国レベルの支援を仰ぐ場合には、(財)岩手県高度技術振興協会、 東北通商産業局新規事業課を通じで情報を流し、最善の支援策を選定して、プ ロジェクトチームを通じてその選定結果をフィードバックするスキームとした。 また、このプロジェクトチームおよび県、国レベルの担当者間にはインターネ ットによるメーリングリストを設定して、情報の共有化と応答の迅速化を図っ た。
(3)ベンチャー支援の試行 花巻市、北上市に存在する各1社づつの新規事業の起業化を計画している企 業を選定し、実際の支援を行い、課題の抽出を行った。
(4)課題の抽出 上記(3)の活動を通じて以下のような問題点が抽出された。 A.プロジェクトチームの運営上の問題点 ・バーチャル組織の限界 組織としての指示命令系統の明確化、活動の求心力が不在。 ・予算的裏付けの必要性 チーム独自の活動の維持経費。 ・プロジェクトチームの主体性の問題 責任の所在が不明確。
B.メーリングリスト(MLと略す)による情報共有化の問題点 ・情報共有化の意義 起業家も参加できるMLが必要。MLの特徴である特定多数と同時性が活 かされていない。 ・情報共有化における守秘の問題 ML 上で共有する起業家からの情報に対する守秘の面での心配が拭い 去れない。守秘に気を使いすぎると、ML に載せる情報は一般情報ばか りになる恐れがある。 ・情報に対するクイックレスポンスの問題 回答すべき情報がなくても、発信者に対して何らかの返信を出すとい うルールも必要。宛先のないメールに確実にレスポンスを引き出すよう なリーダーの存在も必要。 ・受信者の活動範囲の問題 市域を越えた連携をめざしたプロジェクトチームであるが、市域を越 えた情報の提供は試行中には確認できなかった。構成メンバーの所属す るそれぞれの機関が、それぞれの行政区域内の産業振興への使命を帯び ていることからやむをえない面はあるが、情報量が増せば、それだけ起 業化の成功率を高めることができるという観点から、市城を意識しない 活動が望まれる。
4.効果的ネットワーク形成に向けての提言
(1)求心的ネットワーク形成のための実務グループの設置 図−4に示す3通りの実務グループ形成の方法を検討することを提案。
(2)ペンチャーサポートネットワークの機能強化として以下の4施策を提言 A.起業家も含んだメーリングリストの構築 起業家も参加でき、花北地域、岩手県全県、他地域のネットワークへの リンクと階層分けしたメーリングリスト構築を提案。 B.施策データベース・リンクの構築 各機関の作った機関紙やホームページでのデータベースはあるが、起業 家が複数の機関の施策を網羅的に検索するには不便。起業家側に立った使 いやすいデータベース構築を提案。 C.技術評価を可能にする専門家集団の形成 企業OBの活用による評価グループ形成を提案 D.ビジネスサポートの専門家集団の教化 イーハトープエンジェルの補完機能として花北地域での財務、経理、人 事、法律、労務などのビジネスサポート専門家集団の形成を提案
本調査に関するお問い合わせは
東北通商産業局地域経済部産業支援課
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