平成10年度中小商業活性化支援調査研究の概要

(委託先:社団法人 東北ニュービジネス協議会)


東北通商産業局


1.ビジネスプラットフォームに関する具体的ニーズと課題
 本調査研究は、昨年度の調査研究の流れを踏まえながら、インターネットに関する最新動向の分析とヒアリング調査等によって、エージェント機能の重要性のさらなる把握と、同機能を有するプラットフォームに関する具体的ニーズ及び課題についてまとめた。
 消費者、農村側、小売側それぞれからの商品(農産物)売買に関する具体的なニーズについては、プラットフォーム環境の構築方向と絡めながら具体的なニーズをまとめた。
 消費者ニーズについては、(1)小ロット性、(2)規格より新鮮さ、(3)産地・安全性の明確さ、(4)消費者のニーズに即した農産物の生産、(5)含有栄養素などに関する客観的なデータの公開等についてまとめた。
 また、小売側のニーズについては、インターネット等による生産地との情報の共有化によって、自らが得た消費者ニーズに基づき情報を検索し、それを消費者に提供したいとする新たなサービス形態や、これまであまり取り扱わなかった希少価値の高い「とっておきの食材系」に関する当面の意向等をまとめた。
 生産農家のニーズとしては、地元ブランドの確立と同商品に対する新たな販路を如何に確保するかといった課題が議論される中、地元産直市場などでの消費者ニーズに反応し、自家野菜(縁故野菜、手作り野菜など)や、地場でしか取れない珍しい農産物を特産品として如何に売り込んでいくかといったニーズ等を中心に分析、整理した。ただ、このようなニーズを実現化していくためには、過疎化、高齢化に伴う人手不足を如何に解消するかといった地域社会の問題や、この問題を解決するための協力体制の構築について、インターネット上でのコミュニケーションツールの重要性の認識が高まってきていること等、新たなニーズ動向の把握も行った。
 このような動向から、インターネット上の中小小売業の役割として、エージェント機能だけでなく信用提供機能が必要であることも示し、さらにコスト面的な観点から、同機能をプラットフォーム化する有効性を抽出した。さらに、エージェント機能を発揮する大前提として、プラットフォーム自体が、消費者のニーズに基づく生産農家と小売業を囲い込み、消費者に信用提供を行うという第三者的な役割について明確化し、そのような機能を専用のビジネスとするプラットフオームビジネスの重要性をまとめた。
 その他、最適物流システムとの連携や、金融システムとの連携、さらにEDIセキュリティの確保なども実用化段階では必要であることを掲げた。


2.ビジネスプラットフォーム実用化モデルの内容
 ここでは、プラットフォームの実用化モデルを、EDIを中心とする技術システム及びトランザクンョンセキュリティ確保のための運営システムととらえ、それぞれの内容を提起した。
 EDIを中心とする技術システムとして、(1)生産農家と中小小売企業間の電子商取引EDI(商取引成立システム)、(2)農村側からの取引エントリーシステム、(3)小売業からの取引エントリーシステム、(4)物流取引エントリーシステム、(5)電子商取引と運動する物流EDI(物流取引成立システム)等を上げ、それぞれのシステムの内容を明らかにした。
 また、トランザクション・セキュリティ確保のための運営システムとしては、その背景としてのEDI特有の取引リスクをあげ、さらに、そのリスクが主に情報システムリスクと取引リスクとに分けられることを整理した。情報システムリスクの中で、特に、外部からの不正アクセス等人的災害(故意)に関連したりスクについては、インターネットによるオープンな環境におけるECの普及によって、今後ますます高まってくるリスクとしてとらえ、これに関するテクニカルサポート面(暗号技術の導入)や、法的な保護に関してさまざまな議論の動向について触れた。
 また、取引リスクについては(1)契約締結(取引相手、取引内容等)に関するリスク、(2)契約履行に関するリスク等をあげ、それぞれの内容をまとめた。
 このようなEC(電子商取引)特有のりスクに関するトランザクションセキュリティとしては、特に、法律的な保護が十分に機能しない現状から、データ交換の当事者間における契約行為やプラットフォームを中心とする新しいルール・メーキング・システムの必要性を抽出した。このようなプラットフオームを実現化していくためには、(1)コラボレーションマネージメント、(2)EC特有のリスクマネージメント、(3)民間主導型マネージメントなどの機能を有するプラットフォームビジネスの確立が必要であるが、その前に、プラントフォーム運営者の役割と責任範囲(単なる情報提供者か、それともオペレータ・管理者か)を検討することが、今後のプラットフオームビジネスに関する大きな課題であることを把握した。


3.モデル評価
 農村−小売間の取引を実現化させる具体的なシステムとして、実際の「セリ」システムを実験的に動かすことによって、農村−小売間のEDI(電子データ交換)の実証実験を試み、中小小売業側及び農村地域側それぞれにヒアリングを行い、実用化に向けた意見・問題点・改善点についてまとめた。また、このシステムをベースに、実際の農産品を仙台市のスーパーにサンプル出荷し、その過程に関する関係者の現実的な意見も盛り込んだ。
 中小小売業における「セリ」システムに関する評価として、農村側から小売側への事前情報の内容、「セリ」の方式、小売業側から農村地域への支払方法、取引を行う場合の禁止事項、取引価格決定方法、事前取引自体を成立させる工夫、生産物入荷スケジュールへの考慮及び新たな配送システムの構築等、さまざまな角度からの評価を行った。全般的に「朝採れ野菜」を主願に置きつつ、同システムを活用した情報の商品価値化という小売業のニーズも明確化した。
 また、中小小売業における電子取引メリットに関する考察として、「鮮度」と「含有栄養素」に関する情報提供サービス内容とその課題についてまとめた。
 さらに、農村地域における電子取引運用に関する評価については、農村地域活力新たな創造という観点も含め、地域住民に新たなビジネスモデルを明示していくことの必要性や、最適物流システム構築の必要性、及び作物データを提供していくための課題点等を抽出し、同時に農村−小売間電子商取引システムの活用に最適と思われる食材についての検討も具体的に行った。
4.ビジネスプラットフオームを効果的に活用するための事業戦略
 中小小売業が効果的にビジネスプラットフォームを活用していくための事業戦略としては、プラットフォームに係る各主体(生産農家、中小小売業、ビジネスプラットフオーム運営者、物流業者等)が各々で魅力的なビジネスモデルを確立し、それを実践していくことが前提であることから、そのための準備段階としての方向性をまず明確化した。
 具体的には、ビジネスプラットフォーム設立準備、参加者向けEDI説明会の開催、農村側事業準備、小売側事業準備及び全体的なアクションプランについてそれぞれの内容を明確にした。
 また、これらを前提にして、具体的な中小小売業における事業戦略と課題を、プラットフォーム利用型事業のメリットとデメリットを整理した上でまとめた。特に、インターネットというビジネスツールを使うことによる、これまでと異なる特性を念頭に、(1)電子商取引特有の収益構造の活用、(2)収益逓増型ビジネスモデルの追求、(3)消費者とのコミュニケーンョン型商品企画システムの確立という3つのポイントを切り口に日標とするビジネスモデルの方向と具体的な戦略方向を提起した。

【問い合わせ先】
東北通商産業局産業支援課
 

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