新規産業育成プログラム構築のための調査報告書(概要)


 

1.調査目的
 新規産業の創出は、日本の経済構造改革の大きな柱として位置づけられ、その中心は、新規産業の創出を担うベンチャー企業を対象とした起業化支援、育成支援である。
 東北地域では、様々な機関においてベンチャー企業等の育成に向けた努力がなされているところであるが、新規事業を展開しようとするベンチャー企業の起業家にとって、様々な施策をどのように活用していくべきかが分かりずらいものとなっているのが現状である。
 ついては、様々な新規事業化に関する支援策の整理や新規産業の発展段階に応じた個々の支援策の整備とそれらを有機的に活用できるような支援・育成プログラムを整備することが喫緊の課題となっている。
 そこで、本事業では、既往の新規事業支援策について整理・検討するとともに、ベンチャー企業やエンジェル、メンター(ベンチャー企業の指導者)などに対する実態調査を実施し、支援メニューの評価・検証を行い、トータル育成プログラム案の検討を行うものである。

2.調査の方法

3.報告書の概要  

第1章 ベンチャー企業を巡る環境変化(内容省略、項目のみ)
 1.1 近年の経済環境の変化
 1.2 ベンチャー企業の発展段階
 1.3 ベンチャー企業成長への壁

第2章 新規産業育成支援の内容と課題(詳細省略)
 2.1 支援項目別の施策内容

 2.2 既往支援策の課題

  ・最も支援が必要と考えられる創業直前期、スタートアップ期に支援の重点が置かれていない。
  ・研究開発・事業拡大に支援策が偏り、マーケティング、経営管理での支援策が少ない。
  ・創業から早期に投資が受けられず、融資中心の支援で急成長が難しくなっている。

第3章 既往支援策活用と先進的支援策
 3.1 支援を活用した新規事業の事例調査(5つの会社を事例分析)
 3.2 先進的自治体における新規事業支援の特徴(4つの県を調査)
 3.3 米国における新規事業支援策の特徴(米国の例)

第4章 新規産業育成プログラムの検討(内容省略、項目のみ)
 4.1 東北地域のベンチャー企業の課題
 4.2 メンター・エンジェルの発掘と支援意向

第5章 新規産業育成の提言
 5.1 新規事業化に向けたケーススダティ(2社をケーススタディ)
 〔ケーススタディからの課題〕
 ・マーケティング支援策の不足
 ・研究開発への補助などの必要性
 ・製品の販売実績づくりの必要性
 ・東北地域全体で営業活動が活性化する仕組みづくり 

 5.2 課題の整理と支援策の要件(まとめは別表参照)

  5.3トータル育成プログラム案

課題の整理と支援策の要件

(1)トータル育成プログラムの考え方

<成長段階別にみた支援策>
・創業時、スタートアップ期に重点を置いた公的支援策
 例えば、この時期に幅広い支援策がある中小企業創造法活動促進法における支援策等を重点的に振り向けることが考えられる。
・創業時から早期に投資が受けられる仕組み
 創業時からスタートアップ期に、融資でなく、投資が受けられれば、企業の成長速度は早くなるため、早期に投資が受けられる仕組みを構築していく必要がある。
・大学等の起業家コースの高度化、量的拡大
 現在の起業家講座で本格的なものは、東北地域では限られている。各県のインキュベータもしくは、大学の起業家講座を本格的なものにすると同時に、起業家の発表会、そのものが、エンジェル・メンター、ベンチャーキャピタルの支援に直接結びつくような機会の設定が必要である。
 また、大学工学系の人材に経営マネジメント手法を修得させる講座が有効。

(2)東北地域における民間、市民などを取り込んだ支接策

○地域に根ざしたメンター・エンジェルの発掘と組織化
<メンターによる支援グループの結成>
・メンターの候補としては、大手・中堅企業を退職したビジネスマンや技術者、会社顧問・監査役、第一線を退いた会長、会計士・税理士、大学教授などが想定され、東北各県に潜在的に多数の候補者がいるものと思われる。各県におけるメンターの発掘を積極的に進めるとともに、それら各県のメンターの組織化を図り、多様なニーズに対応できる体制を整備する。
・本調査で行ったメンター候補の発掘(各県10名程度のリストアップ)と2つのケーススタディ結果から、販路開拓、技術開発など様々の分野の経験者を多数プールし、個別企業のニーズに合わせメンター派遣の仕組みが必要であると考えられる。その場合、インターネットのホームページに登録者のキャリアを掲載し、企業の希望によりメンターを選択する方式が好ましいものと思われる。

○少額投資家の発掘と組織化
<民間組織を基盤としたエンジェルグループの形成>
 米国の状況から見て、必ずしも、有力企業オーナーや金持ちだけがエンジェルとなっているわけではいので、東北地域では、例えば年収1,000万円以上のサラリーマンからも、地域貢献の意識のもと、少額を個人的に地域企業へ投資できるような環境を整備することも考えられる。また、小口のベンチャー投資をまとめていく商工会やロータリークラブ等を公的団体が支援することも重要である。

(3)東北地域における公的支接策の改善すべき点

○公的支援のフオロ−の充実
 ベンチャー企業の育成には通常数年を要するが、これまでの公的支援は、その場限りで継続性が少ないと考えられる。ついては、企業発掘・育成担当者を専門職化するなどの思いきった人事上の制度導入、頻繁な人事異動の是正、単年度予算主義の見直し等も必要と考えられる。

○開発製品の自治体や大学等による先導的購入
 創業まもなく開発した製品などの販売実績をつくるとともに開発製品のPRを促進するために、地元自治体や大学が、開発された製品などを先導的に購入できるしくみづくりを行う。例えば、自治体などが必要とする環境関連機器などを地元企業から購入できるしくみづくりが求められる。

○企業を発掘できる部署・人材育成
 先進自治体調査では、ベンチャー支援機関が、企業の発掘のために専任担当者を数名置いている事例が見られたが、ベンチャー企業の発掘のためには、時間と粘り強い調査が必要であることから、公的機関においても、専任職員を複数配置し地域内の有望企業の発掘を行うことが考えられる。

○東北地域でビジネス情報が伝わる仕組み構築
 ヒヤリング調査の結果、東北地域では、他地域で成長しているビジネス情報の周知が遅れていることや地域内での異業種交流会も情報源がほぼ同じのため、お付き合いに終わっていることが把握できた。そのため、東北地域内は言うまでもなく、東北地域外との情報交流会を開催し先進的なビジネス情報が東北地域においても伝わるような仕組みを構築する必要がある。

○ベンチャー支援策の上位(優先)格付け、とベンチャーキャピタルとの関係強化
 先進事例調査の中では、ベンチャー支援による新産業育成を県の最重要課題として、ベンチャー企業の意欲を高めるとともに、ベンチャーキャピタルと自治体の関係が強化されることが、企業発掘に大いに役立った事例があることから、地域レベルで、ベンチャー育成を政策の最優先課題とし、それに対応できる組織変革を進めるとともにベンチャー育成の風土を地域に創りあげることが必要である。

○新規事業成功事例のPR
 東北地域において新規事業化に成功した企業(支援したメンター、エンジェルなども含め)の情報を了解を得て広報し、東北地域の経営者、メンター・エンジェルなどが、夢を持って新規事業の創出に取り組む意識を醸成する。

 以上のような支援策を、平成11年度から展開される新事業創出促進法支援策の支援体制の中に折り込み、トータルなベンチャー企業育成策を展開していく必要がある。
 そのためには、大学やインキュベータの起業家講座の高度化、公的支援機関の専門化・人材強化、県の「プラットホーム」となる機関相互のネットワーク強化、メンターの地域毎のグループ化、商工会やロータリークラブ等を中心としたエンジェルのグループ化などが重要となる。このプラットホームにおいては、公的機関や大学などが中核となってマネジメントすることも考えられる。


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