経済産業省東北経済産業局(Tohoku Bureau of Economy, Trade and Industry)

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☆知的財産を活用している、さまざなな事例を東北地域を中心に紹介します。☆

活 用 事 例 概   要
知財活用企業事例集 知財を経営に活かしている東北の企業紹介。
地域団体商標制度
(地域ブランド)
地域団体商標に認定登録された東北の地域ブランドを掲載。
元気のでる知的財産
活用事例
特許庁、中小企業庁等で紹介されている知財をうまく活用している企業紹介。
小売等役務商標制度 小売等役務商標制度の概要紹介。
失敗事例及び事例募集 知財の創造・保護・活用における失敗事例を募集しています。

 イノベーションを促進するためには、企業において戦略的な知的財産の管理・活用が行われることが重要です。
 ここで紹介する企業は、東北経済産業局が集めた情報等に基づき、特許権、意匠権、商標権、ノウハウ等の知的所有権を戦略的に活用している企業を中小企業中心に集めたものです。
 選定するにあたっては、知的財産権の保有数やその実施率、また、企業における具体的な活用状況等を踏まえ、外部有識者による選考委員会に諮った上で選定したものです。
 地域の紹介企業が参考されることによって、中小企業を含む多くの企業において、戦略的な知財管理・活用が進むことを期待しています。(「知財で元気な企業2007」より引用)


 紹介企業は「知財で元気な企業2007:平成19年4月」、「特許活用企業事例集Vol2:平成17年1月」、「特許活用企業事例集:平成13年11月」の各冊子で紹介され、特許庁ホームページ にも掲載されており、リンクします。

企業名称 特  徴 等 所在地
株式会社角弘 産学官連携を積極的に活用 青森県
株式会社ササキコポレーション 新商品の技術的差別化を企てるため徹底的に特許情報を活用 青森県
太子食品工業株式会社 産学の連携を活かした共同研究 青森県
テフコ青森株式会社 オンリーワン技術を武器に世界市場に進出 青森県
東弘電機株式会社 自社のオリジナル技術で地元に貢献したい 青森県
株式会社アクアマックスセンター中部 特許流通アドバイザーとの出会いによって特許の重要性を認識 岩手県
佐原ブレス工業株式会社 特許製品で大手メーカーと自信を持って商談 岩手県
株式会社新興製作所 特許を核にした新たな製品開発 岩手県
株式会社東亜電化 ライセンス供与の実施等も視野に入れた積極的な特許戦略 岩手県
和同産業株式会社 特許は自ら研究開発した商品を安心して生産販売するための保険 岩手県
旭エンジニアリング株式会社 「技術のうえに技術あり」をコンセプトに特許取得 岩手県
有限会社アサヒテクノ 地下水を汲み上げる新工法を開発し、同僚とともに建設会社を起業 岩手県
株式会社セイスイ 開発の成果を特許で保護してビジネスを有利にする 宮城県
株式会社日本セラテック 技術開発のトリガーはカスタマーの技術的要求 宮城県
東北電子産業株式会社 大学との共同開発により新技術を次々に開発 宮城県
株式会社ホクエツ 特許だけの出願に留まらず意匠登録制度も積極的に活用 宮城県
ラボ・スフィア株式会社 「特許」を軸に新たな産業の育成を目指す 宮城県
株式会社ティーアールティー 廃瓦のリサイクルで環境と住民にやさしい融雪歩道板を開発 宮城県
ゼライス株式会社 ゼラチンの可能性を追求する 宮城県
東北石材ブロック株式会社 特許は、他社の市場参入を防いでいることが最大のメリット 秋田県
東光鉄工株式会社 特許取得を核とした事業展開が重要 秋田県
三浦電子株式会社 大手に対抗し、事業展開していくためには特許戦略は不可欠 秋田県
株式会社大日向 産業財産権の重要性を起業前から認識 秋田県
有限会社飯村造園技術 エコ型新素材ラピリの技術開発で全国へ 秋田県
青木安全靴製造株式会社 需要先からのニーズに基づき様々な安全靴を開発 山形県
株式会社鈴木製作所 開発・製造をする過程で、特許を国内外とも数多く出願・取得 山形県
ミクロン精密株式会社 防衛特許の役割を生かして他社の追従を防ぐ 山形県
株式会社山本製作所 商品開発の中で特許を考え開発成果の権利を確保 山形県
ワテック株式会社 海外市場を見据えた特許戦略 山形県
株式会社アイジー技術研究所 特許を武器に金属製断熱外壁材(金属サイディング)のトップメーカーに 山形県
株式会社シェルター 特許権を自社技術保護と事業拡大に、意匠権を模倣製品排除に活用 山形県
アサカ理研工業株式会社 他社とライセンス契約を結び特許を有効活用 福島県
アライ株式会社 特許は儲かるもの、儲けるもの 福島県
株式会社コスモテック 福祉機器の開発に着手し、自社開発商品に関しては積極的に出願 福島県
株式会社サンビックス 顧客ニーズを重視した技術開発と特許取得 福島県
東北自興株式会社 他社には絶対負けない知識の蓄積を目指す 福島県
フロンティア・ラボ株式会社 ニッチ分野での独創的で画期的な製品づくりで世界No.1をめざす 福島県
モルデック株式会社 特許の保有を背景に資金調達を受ける 福島県
有限会社住環境設計室 特許を経営の柱に 福島県
株式会社フミン 知的財産で環境保護に貢献 福島県
日本全薬工業株式会社 失敗の経験が知財管理グループの創設に繋がった事例

福島県

色の濃い行は「知財で元気な 企業2007」(平成19年4月特許庁)に掲載された 企業の内、東北地域の企業です。

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 地域団体商標制度とは?

 地域の名称及び商品(役務)の名称等からなる商標について、一定の範囲で周知となった場合には、事業協同組合等の団体による地域団体商標の登録を認める制度です。
 地域ブランドを適切に保護することにより、事業者の信用の維持を図り、産業競争力の強化と地域経済の活性化を支援することを目的としています。

 複数の広域市町村レベルの地域ブランドが確立して経済活性化することで、それらが集合した県経済を活性化させ、さらには東北経済が活性化することになります。そのためには、それぞれの地域が刺激し合って地域ブランド化運動を盛り上げましょう。

 平成24年1月24日時点で、東北地域では29件の団体商標登録が登録査定されており、これらを以下に紹介します。

地域団体商標名 出願人 所在地
たっこにんにく 田子町農業協同組合 青森県三戸郡
嶽きみ つがる弘前農業協同組合 青森県弘前市
大間まぐろ 大間漁業共同組合 青森県下北郡
南部鉄器 岩手県南部鉄器協同組合連合会 岩手県盛岡市
真崎わかめ 田老町漁業協同組合 岩手県宮古市
いわて牛 全国農業協同組合連合会 岩手県盛岡市
いわて短角和牛 全国農業協同組合連合会 岩手県盛岡市
江刺りんご 岩手江刺農業協同組 岩手県奥州市
仙台みそ 宮城県味噌醤油工業共同組合 宮城県仙台市
仙台味噌 宮城県味噌醤油工業共同組合 宮城県仙台市
仙台牛 全国農業協同組合連合会 宮城県仙台市
仙台黒毛和牛 全国農業協同組合連合会 宮城県仙台市
秋田由利牛 秋田しんせい農業協同組合 秋田県由利本庄市
比内地鶏 あきた北央農業協同組合 他 秋田県北秋田市
秋田諸越 秋田県菓子工業組合 秋田県秋田市
白神山うど あきた白神農業協同組合 秋田県能代市
川連漆器 秋田漆器工業協同組合 秋田県雄勝郡稲川町
米沢牛 山形おきたま農業協同組合 山形県東置賜郡
米沢織 米沢織物工業組合 山形県米沢市
刈屋梨 庄内みどり農業協同組合 山形県酒田市
平田赤ねぎ 庄内みどり農業協同組合 山形県酒田市
山形佛壇 山形県仏壇商工業共同組合 山形県山形市
山形おきたま産デラウエア 山形おきたま農業協同組合 山形県東置賜郡
置賜紬 置賜紬伝統織物協同組合 山形県米沢市
米沢らーめん 協同組合米沢伍麺会 山形県米沢市
土湯温泉 土湯温泉旅館事業協同組合 福島県福島市
南郷トマト 会津みなみ農業協同組合 福島県南会津郡
会津みそ 会津味噌協同組合 福島県会津若松市
大堀相馬焼 大堀相馬焼協同組合 福島県双葉郡浪江町

 近年、地域の事業者が一体となって、当該地域の自然や歴史といった要素に起因した特色を有する商品を生産し、その地域の産品であることを表すために地名と商品名を組み合わせた名称を用いて他地域との差別化を図る地域ブランドの取組が各地で活発になっています。

 しかし、こうした地域の産品の評価が高まるにつれて、他地域で生産された商品にその名称を使用した模造品が市場に出回り、地域ブランドの評価や信用が毀損されるとの問題が顕在化していました。
 このような地名と商品名からなる商標については、従来の商標法の下では、それが全国的に広く知られている場合や、他の図形と組み合わせて使用する場合に限り登録が認められており、発展段階におけるブランドを保護するのに必ずしも適切な制度となっていないのではないかとの指摘がありました。
 このため、このような地名と商品名を組み合わせた商標がより早い段階で登録を受けられるよう、平成18年4月1日から地域団体商標制度が導入されました。

 具体的には、地域団体商標の登録に際して、主体が要件に適合しているか(事業協同組合、農業協同組合等)、周知性の要件を満たしているか(商標が使用された結果、出願人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして一定の範囲の需要者に認識されるに至ったか)、商標中に用いられる地域名と商品又は役務が密接な関連性を有しているか(商標中の地名が商品の産地、原材料の産地であるか)といった点について審査を行い、地域の事業者が一体となって取り組む地域ブランドの保護を図ることとしています。

 対象となる商標は、@地域名と商品又は役務の普通名称からなる商標、A地域名と商品又は役務名の慣用名称からなる商標、B@又はAに商品の産地・役務の提供の場所に表示する際に付される慣用文字が加えられた商標(例:本場△□○)です。

《地域ブランドとして認められる団体商標》
・団体の適格性
・地名と商品(役務)の密接な関連性(商品の産地、役務の提供地、主要原材料の産地等)
・使用による一定程度の周知性の獲得(出荷・販売状況、広告宣伝・記事掲載等)
・商標全体として商品(役務)の普通名称でないこと

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◇「地域団体商標2011」発刊について◇

 地域ブランドの保護・振興のため平成18年4月に導入した「地域団体商標制度」は5年目を迎え、昨年から登録件数が22件増え過去最多の478件となりました。そのうち東北地域内においては、「置賜紬」が新たに登録され、計28件が登録となっております。

 特許庁は、登録された地域団体商標を広く紹介するため、活用事例、権利者情報、写真等を掲載したブックレット「地域団体商標2011」を今年も発刊いたしました。

 本ブックレットでは、地域団体商標制度を戦略的に活用し、特産品の付加価値向上や市場拡大に成功した事例を多数紹介しております。全国に埋もれている地域ブランドの潜在力を開花させるきっかけになることを期待しております。

詳しくは、特許庁のHPをご覧ください。

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◇中小企業の知財戦略構築を支援するマニュアルの公表について◇

 経済産業省(特許庁)におきましては、中小企業の「知的創造」から「知的財産権の活用」までの網羅的できめ細かな支援施策を講じております。
 支援施策の一環として、今回中小企業の知的財産戦略の構築に資する以下の2つのマニュアルを作成しましたので、公表します。

@技術を重視した経営戦略を行うR&D型中小企業を主たる対象とする
 「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル

Aデザインを重視したブランド型企業や技術保護との相乗効果を目指す企業を対象とする
 「ものづくり中小企業のための意匠権活用マニュアル
 

◇知財戦略事例集◇

  「戦略的な知的財産管理に向けて〜技術経営力を高めるためには〜<知財戦略事例集>」は、 各企業が自社に最適な知的財産戦略を構築し、それを具体的に実行するにあたり考慮すべき観点や留意点を示すことを目的とした事例集です。
 この事例集には、国内外企業150社(欧米企業20社含む)へのヒヤリングから得られた約600の事例(うち約100の失敗事例)を掲載しています。  
 

◇産業財産権の活用企業紹介◇

 特許庁ホームページに掲載の「産業財産権の活用企業百選」は、自社で開発した技術を戦略的に権利化し、的確に活用している企業や、極めて効率的に特許を取得するとともに海外にも積極的に特許出願している企業、意匠権や商標権によりデザインやブランドを戦略的に活用している企業などを掲載しております。

◇元気なモノ作り中小企業300社◇

 中小企業庁のホームページに掲載されている「元気なモノ作り中小企業300社」は、全国の元気なモノ作り中小企業を300社選定しとりまとめたものです。その中で東北地方からは22社が紹介されています。

 詳しくは<東北地方の元気なモノ作り中小企業>をご覧下さい。

◇特許流通成功事例集◇

 (独)工業所有権情報・研修館のホームページにある「特許流通成功事例集」は、2005年8月末現在、6,064件の成約案件の中で、内容紹介の承諾が得られた169件について紹介しています。

 詳しくは<特許流通成功事例集>をご覧下さい。

◇開放特許活用事例集◇

 (独)工業所有権情報・研修館のホームページに掲載の「開放特許活用例集」は、特許流通データベースに登録されている開放特許の中から製品化可能性の高い案件を選定し、これら有用な開放特許の有効活用を目的としたビジネスアイデア集です。

詳しくは<開放特許活用事例集>をご覧下さい。

◇知恵の輪ニッポン◇

 (独)工業所有権情報・研修館のホームページに掲載の「知恵の輪ニッポン」は、2006年10月から12月にわたり、30分番組として、BSフジ、TV神奈川、TV埼玉、千葉TV、TV新広島で放送されたものです。
 書類や言葉だけでは理解しにくかった特許技術を分かりやすくビジュアルで紹介。ニッポン全国の特許をはじめとする知的財産とその活用事例を紹介し、「知的財産立国」の実現を応援します。

詳しくは<知恵の輪ニッポン

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 小売等役務商標制度とは?

 小売等役務商標制度とは、小売業者又は卸売業者(以下「小売業者等」と表します。)が店舗の看板、店員の制服、ショッピングカート等に使用する商標を定め、小売業者等が使用する商標をサービスマーク(役務商標)として保護する制度であり、既に、欧米をはじめとした多くの国々で採用されている制度です。
 商標法の一部が改正され、平成19年4月1日から小売等役務に関する商標登録の出願の受付が開始されました。
 これまで商品商標を取られていある方でも、値札、折込みチラシ等に表示する商標を保護できました。小売等役務商標によりこれらに加えて、これまで商品商標の保護が及ばなかったショッピングカートや店員の制服等に使用している商標も保護できるようになります。
 商品商標を取得する場合、取り扱う商品が多種類の商品分野に及ぶと、登録のための手続費用が高額になっていました。しかし、小売等役務商標として登録する場合は、「小売サービス」として一つの分野で商標権の取得をすることができるため、より低廉の権利を取得することができます。

小売等役務商標制度について、詳しく知りたい方は
 特許庁ホームページ をご覧下さい。

また、以下の窓口においても「特別相談窓口」を設けておりますのでご利用下さい。
 (独)工業所有権情報館・研修館
 (社)発明協会各県支部
 東北経済産業局特許室

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 現在、知的財産の創造・保護・活用で失敗した貴重な事例を募集中です。
企業名、業種、地区などの情報は一切、第三者に知られることはありません。

詳しくは事務局までご一報下さい。(電話、FAX、メール、郵便等いづれでも可)

 知的財産戦略の失敗事例とし、知財戦略事例集から十数例引用掲載します。  この事例集には、国内外企業150社(欧米企業20社含む)へのヒヤリングから得られた約600の事例(うち約100の失敗事例)を掲載しています。
 
 詳しくは<知財戦略事例集>をご覧下さい。

◆事例[5]知財部の声は届かずシェア一位から転落、そして再起へ◆

 当社は、ある事業で業界初の製品により市場をリードしていた。そのころ、知的財産部ではその製品のある技術課題に気づき、この課題を克服できれば付加価値が高まるので研究開発を行うべきであることを提案していた。しかし、その声は事業部には届かず、むしろ事業部は生産コスト削減に関する技術開発や営業力強化に注力していた。その間に、当社を追随する競合2社が相次いで、その技術課題を克服した機構を開発した。
 そして、当該2社が、その機構に関する基本技術から改良技術までの特許群を構築してしまった上に、その機構を用いることが顧客ニーズになっていった。そのため、当社はライセンス料を支払って、当該機構を有する製品を製造することになった。その結果、この市場におけるシェア1位の地位を失ったばかりでなく、業界におけるリーダー的存在から一転して転げ落ちることになった。
 その後、当社は、知的財産部も協力しながら、この機構の技術課題を積極的に分析して、この機構に取って代わるような新技術の開発に成功した。その結果、当該事業において、再び市場のリーダーになることができた。それには20年近い歳月を要することになってしまったが、新技術によって市場のリーダーを奪還できたことは、技術者の自信につながり、あえて課題を見つけて技術開発へ挑む活気ある会社になりことができた。

◆事例[14]開発方針の決定に知財部が関与しなかったことによる失敗◆

 研究開発について、事業部門で独自に開発の方向性を決定し、開発を進めていった。ところが、他社特許に関する検討がおろそかになっていたため、開発が完成に近づいた段階で、当該開発技術について他社が特許権を取得していることが判明した。結局、自社でも独自開発したにもかかわらず、その他社にライセンス料を支払いながら事業を進めることになった。

◆事例[20]知財部員の受け身の姿勢が招いた危機◆

 ある開発テーマについて、開発を開始した直後に知的財産部の担当者が、偶然に他社の重要特許の存在に気づいたために、開発の方向性を修正して、この特許を回避できたことがある。この開発テーマは、知的財産部が関与せずに開発方針が決定されたテーマであった。仮に、他社特許に気づかずに開発を続けていたとすれば、多額の損失を出していただろう。
 事業部には、知的財産部員が担当者として常駐しており、開発テーマの方向付けに関与できる体制になっていたのにもかかわらず、開発開始まで気づかなかったのは、知的財産部員が受け身で作業する傾向にあったことに原因がある。現在、積極的に研究開発の方針に対して発言していくように取り組んでいる。

◆事例[31]ライセンスインを選択せずに、設計変更を目指して失敗◆

 自社で開発したある技術について製品化を目指した開発の方向性を検討しているときに、他社特許の分析結果に基づき知的財産部から設計変更を提案したが、これが失敗した事例がある。つまり、この設計変更が予想外に時間を要してしまい、製品化に至る前に技術が陳腐化してしまった。結果として、事業として成果を生むことができなかった上に、設計変更のための開発費は完全に無駄になった。
 研究開発の方向性を検討している段階で設計変更ではなく、他社にライセンスしてもらえるように交渉していれば、多少のライセンス料を支払ったとしても事業はうまくいったかもしれないと後悔した。これ以降、他社からライセンスを受けることも、恥と認識するのではなく、戦略的に活用しようという風潮になった。

◆事例[37]技術供与で予想以上にキャッチアップされ苦境に◆

 当社は、従来からアライアンスなどを含めて米国企業に技術供与を行ってきた。そうした米国企業は目先の事業を成功させることに注力し、必要以上には技術を吸収しようとしない傾向にあった。そのため、いくら技術供与しても当社の技術力まで追いついてくることはないと思っていた。
 ところが、近年、中国や韓国の企業にも米国企業と同様に、技術供与を行うようになったところ、これらの企業は米国企業と異なり、できるだけ多くのノウハウを吸収しようと必死であった。そのため、予想以上に激しくキャッチアップされてしまい、自社の技術的優位性は危うい状況になってしまっている。事業戦略を失敗したと反省し、ノウハウの外部提供を制限する方針に転換している。

◆事例[73]発明発掘を怠り失敗◆

 当社のある製品事業は、シェア100%の独占状況が続いていた。ところが、ある企業が、その製品の画期的な新製法を開発し特許出願しつつ新規参入してきた。当社も慌てて、その新製法の改良技術を開発してクロスライセンスを持ちかけたが、基本特許を取得されてしまっており、ライセンス交渉も不利な立場を強いられることになった。そして、クロスライセンスを締結できた段階でシェアを10%奪われ、今後、もっとシェアを奪われる危険性がある。
 他社が特許出願する前から、当社も新製法についての認識はあり、発明としては完成していたことが後から判明した。しかし、当社はシェア100%という状況に甘んじて、この事業について発明発掘を積極的に行っておらず、、また他社が新規参入することを想定すらしていなかった。研究開発や発明管理を計画的にしっかり行っていくことの重要性を思い知った。

◆事例[85]侵害訴訟で学んだ特許の重要性◆

 当社は、中小企業であり、特許出願を積極的に行っていなかった。しかし、数年前の訴訟経験で苦しい経験をする一方で、特許の価値を学んだ。それ以来、自社で発明が創造された場合には、その発明を申し出る仕組みを作り、特許出願を積極的にするようになった。

◆事例[138]競合他社と無駄な出願競争の末◆

 過去には、製造方法等でノウハウとしておくべきだったかもしれない特許出願が相当の数ある。例えば、国内の競合会社との間で、ある化学系の事業に関するノウハウを競うように特許出願してしまったことがある。お互いその分野で世界的に技術および事業優位性を目指していたために多少無理して特許出願を続けてしまった。該当ノウハウに係る技術は、侵害発見が困難である一方で、公開特許公報を見れば簡単に技術的に追いつけるものもあった。この一連の技術をノウハウとして秘匿していれば、その競合会社も含めて世界でより優位な事業展開をできた可能性があると考えている。なお、現在はその競合会社との間で、なんとなく特許出願かノウハウ秘匿かの分岐点みたいなものをお互い理解しており、技術の無駄な垂れ流し競争は終了している。

◆事例[148]当社の製造ノウハウが装置メーカーから流出◆

 ある製品を製造するための装置を、当社の独自仕様で装置メーカーに作らせていたところ、いつの間にか、その装置メーカーが、その独自仕様を標準仕様として韓国や台湾の企業に輸出してしまっていた。これにより、韓国や台湾の企業も当社と同様の製品を作れるようになってしまった。

◆事例[150]出入り業者から技術流出◆

 工場内設備をノウハウと考えて特許出願しなかったところ、出入業者である機械メーカーに、工場内にある機械と同様の機械を製造・販売されてしまったことがある。

◆事例[167]失敗を教訓に、技術レベルの低い発明も海外特許出願◆

 従来は、技術的なレベルの高い発明のみを海外へも特許出願してきた。しかし、アジア圏では、技術レベルの高い発明が模倣されるのではなく、形状や構造などの視覚的にすぐ理解できるような発明が模倣される傾向にある。事実、中国において当社の製品と 同様の形状や行動を有する模倣品が出回ったときに、その形状や構造についての特許権を有していなかったので、効率的に対処することができなかった。
 この失敗を教訓に、海外出願戦略を変更し、次の発明について海外へ広く特許出願していくことに変更した。
 a)模倣防止が必要な技術や構造
 b)他社との差別化のキー技術
 c)営業的に武器となる技術

◆事例[205]海外特許出願しなかった発明が大化けした失敗◆

 当社は世界的にも有名になった発明がある。しかし、この発明を特許出願した当時は、あまりにも先駆的な発明であったために、技術者も知的財産部も「大化け」するような発明だとは思ってもみなかった。素晴らしい技術だと評価していただいた大学の先生もおられたが、結局、日本のみで特許を取得した。海外にも特許出願していれば、世界市場を独占するか、世界の主要メーカーからライセンス料を獲得するなど、事業展開が図れたかも知れない。

◆事例[206]米国に特許出願しなかったために米国進出を果たせなかった失敗◆

 当社は、ある被覆技術の開発に成功したが、その当時は海外特許出願の意識が薄かったために、国内のみで権利化し、海外には特許出願しなかった。しばらくたって、その技術を使った商品の需要が高まり、その生産事業が成功すると共に、国内企業約10社とライセンス契約に成功し、ライセンス収入も相当に入った。しかし、その1年後には、海外企業が関連技術の米国特許を取得し始め、当社は、この事業の米国進出を果たすことができなかった。この苦い経験以降、米国には特許出願することが多くなった。

◆事例[207]海外特許出願しなかったアイディア発明が世界標準になった失敗◆

 日々の作業が少し楽になるという程度のちょっとしたアイディアの発明であったために、技術者の感覚での評価は極めて低かったために、国内特許出願のみしておいたものがある。ところが、このアイディアを世界中の競合他社が採用し、この製品事業では当然に装備される事実上の標準となった。この発明を事業部と連携をとって商品価値という視点で評価できていれば、相当の収益が見込まれたのではないかと悔やまれる。

◆事例[208]海外出願に関する失敗◆

 標準化技術に係わるパテントプールのライセンス料分配は、簡単にいえば、プールされた特許権が存在する国における「(生産数+販売数)×特許権の数」で決まるところ、当社が関係した標準化技術について、メキシコに特許出願していたのは欧州のある企業だけであった。実は、メキシコはアメリカと地続きであるため、重要な「生産拠点」になり得ることに後から気が付いた。その後に、生産拠点はメキシコから中国へと移っていく傾向にあり、この事例についてメキシコは重要でなくなったものの、こうした国には特許出願しておけばよかったと今から思えば悔やまれる。

◆事例[209]費用対効果という観点を形式的に重視したために失敗◆

 海外出願するか否かの判断においては、海外への特許出願による経済的メリットが海外特許出願および権利維持費用を上回ると判断されるか否かを強く意識されてきた。これは言葉でいうのは簡単だが、実際に的確に判断することは難しく、次のような失敗をした事例がある。
 現在は会社にとって重要な収益源となっている製品について、研究開発をした当初は、いつ事業化できるか分からなかったため、日本、米国及び欧州のみに特許出願していた。ところが、この製品について台湾メーカーが製造を開始し、中国で販売するようになった。当初から中国や台湾にも特許出願しておけば相当の収益が見込めたと後悔して「いる。
 しかし、知的財産権の取得ビジョンと長期的な事業戦略が完全に成熟して「いない当社のような企業において、海外特許出願する際に費用対効果という観点を重視する限り、このような失敗は繰り返されると思われる。

◆事例[217]競合会社が1980年代から中国へ特許出願◆

 中国の知的財産制度の歴史は浅く、色々と不明なことがあったため、基本的に中国へは特許出願しないこととしていた。しかし、日本の競合会社のなかには、1980年代後半に既に中国へ特許出願しており先見の明があった。当社は遅れを取ったと後になってから悔やんだ。

◆事例[399]痛い目にあって知財部の体制が強化されるジレンマ◆

 現在、当社はしっかりした知的財産部を持って活動しているが、20数年前は、「知的財産部」ではなく、知的財産担当者がいるだけであった。「知的財産部」が設置されるに至ったのは、多くの知的財産関連の紛争を経て、その重要性を認識したからである。
 しかし、この組織拡充の仕組みは悩ましいと感じることがある。それは、当社が警告して、ライセンス料を獲得すると、相手企業から、「知的財産の重要性を認識するに至り、知的財産部を拡充しました」と逆に感謝されてしまうケースがあるからである。

◆事例[461]失敗を活かして標準化に成功◆

 以前、ある製品事業で標準化戦略を重視していなかったために、当社の特許発明が標準に採用されず、ライセンス収入が得られなかっただけではなく、高額のライセンス料を支払うこととなってしまったことがある。この失敗を教訓として、その次世代製品については、当社の技術が標準に取り込まれるように、標準化に精通した大手企業と連携する一方で、標準案の提案前には特許出願もおこなった。結果として、当社の特許発明を標準に取り込ませることに成功し、現在はライセンサーになっている。

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