「分子接合技術」は異種材料間を分子で結合する万能接合技術

会社紹介及び製品紹介

会社外観 会社外観

 かつて、岩手県には東洋一の硫黄鉱山である「松尾鉱山」があり、硫黄化合物の有効利用を目指して岩手大学工学部応用化学科(現在は理工学部化学・生命理工学科)が設立され、「トリアジンチオール化合物」研究が進められた。トリアジンチオールとは、有機化合物で、そのチオール基(-SH)により金属表面に分子接着する機能性を有している。また、官能基(-R)に導入した化合物によって様々な特性を発揮する。
 同化合物が開発されたのを機会に、2007年「株式会社いおう化学研究所」を設立。製造業で欠かすことのできない基盤技術であるモノとモノをつなぐ「接合技術」の革新に取り組み、電子デバイスへの応用などに貢献する。

※分子接合技術とは、材料の表面に分子接合剤を化学結合により導入し、材料の表面エネルギーを分子接合材の表面エネルギーへ変換して界面を化学結合させる。化学結合させて材料表面全体を同一化することにより、強固(熱・溶剤・振動に強い)に接合できる点が特徴。

研究開発(サポイン事業)のポイント

 スマートフォン、タブレット、情報家電、情報通信機器において、その内部のプリント配線板(FPC)も小型化(高密度化)及び高速度化の要請が高まっている。
 一般的に、プリント配線板(FPC)は、導体である銅と絶縁層である樹脂を交互に接合して形成し、その接合界面を凹凸にし、アンカー効果を使って密着力を得ていたが、凹凸があることで小型化や高精細パターン形成の阻害要因となっていた。
 そこで、本研究開発(サポイン事業)では、化学結合によって接合する分子接合技術の応用により、絶縁体と導体をダイレクトに有機分子でつなぐ高度なフレキシブル配線板を開発することに挑戦した。

研究概要を語る森社長 研究概要を語る森社長
研究開発の様子 研究開発の様子

研究開発(サポイン事業)のチーム体制

研究開発を進める上で、重要となるのが他社との協同である。いおう化学研究所は製造現場(ファブレス)を持たない民間企業であるため、製造を担うメーカーや他研究機関の協力を仰ぐ必要があった。
共同研究先は森社長の大学時代からの人脈・経験を活かし、岩手大学や多数の企業の協力の下、研究内容を分担して取り組むことで当初予定していた以上の成果を出すことが出来た。

応用商品の現在

本研究開発が近接大容量通信デバイスやICタグなどの薄型化に貢献している。さらに、誘電損失が少ないことから、今後は5G対応通信機器への応用も期待されている。現在は外付デバイスが中心だが、今後、内蔵デバイスへの展開も検討中である。
また、接着部・非接着部を作り分ける技術により、マイクロ流路チップへの活用も試作検討が進んでいる。分子接合技術は接着剤を用いないため、医療機器や食品関連部材への応用、展開も可能である。

今後の展開

研究開発の様子 研究開発の様子

これからのものづくりにおいては高機能・高付加価値でありながら低環境負荷やコスト低減を求められるなど、これまでの接合原理では達成できない状況にある。
森社長は岩手県に分子接合を中心とした知を集約し、21世紀型ものづくり技術の創造を推し進めていくと意欲的に語る。

 

主な受賞歴

  • 2013年 エレクトロニクス実装学会 技術賞
  • 2015年 第6回ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞


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