プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 部品内蔵基板内の狭間隔部品実装技術及びWLP-LSIチップ実装技術の確立
対象となる川下分野 医療・バイオ、自動車、ロボット、産業機械、情報・通信、情報家電、環境・エネルギー、半導体、航空・宇宙、電子、印刷情報記録、光学機器、電気機器
川下企業における
ニーズの対応
上記ニーズに対する
具体的な数値
事業化状況 補完研究中
対象としている素材
採択年度 平成23年

プロジェクトの詳細

プロジェクトに至った背景・経緯

 電子機器の小型・軽量化、電気特性の改善、消費電力の削減は、半導体のみならず、全ての電子部品にも要求されており、同時に電子機器の信頼性改善及び低コスト化への要求も厳しさを増している。
 
 回路基板に電子部品を表面実装した集積モジュールでは、部品の小型化により集積密度を向上させている。
 現状のはんだ実装では、部品間の間?に制限がある点とサイズの異なる部品の混載に制限があること等により、集積密度の向上に限界が生じている。
 
 こうした要求に応えられる新技術として、回路基板内部に部品、デバイスを内蔵することで部品実装可能な領域(通常は基板表裏の表面のみ)を増加させて小型・高集積化を実現する部品内蔵基板技術の実用化が俟たれている状況にある。
 
 しかし、実装業界の技術的現状は、基板上面に狭隣接実装をする技術は確立したが、従来の基板表面には、本来部品を搭載するために必要な端子表面の金属加工(Auフラッシュ等)やレジスト加工(半田が飛散しないための表面処理)があるのに対し、部品内蔵基板はこの表面加工が設けられず、薄膜基板で銅箔のまま実装することになるため、実装難易度ははるかに高まり、これまでに存在していない斬新な実装技術およびその性能の実証が急がれている。

研究開発のポイント

 医療、自動車、ロボットなどの幅広い産業で使われている様々な電子情報通信機器について、省資源・省エネルギー化、小型軽量化のためには、基板表裏への実装には限界がある。
 そのため、回路基板内部にも部品、デバイスを内蔵することで部品実装可能な領域を増加させ、一層の小型・高集積化を実現する“部品内蔵基板技術”の確立が、強く求められている。
 
 電子実装モジュール組立業界ではこれまで、モジュールを小型・高密度集積化するため、電子部品のサイズを縮小したり、部品間の間?を狭くしたりして、市場ニーズに応えてきている。
 現状では、部品サイズ0603で最小部品間?100μm、部品サイズ0402で最小部品間?80μmのはんだ実装が実用化されている。
 
 本研究開発では、こうした要求に応えるため、「部品内蔵基板での部品間0.1㎜の実装技術の確立」及び「部品内蔵基板でのLSIチップのはんだ実装技術の確立」をテーマに、株式会社アリーナが保有する0.1㎜間?の狭隣接部品実装技術の高度化を図り、部品内蔵基板技術に適用展開し、回路基板内部に部品、デバイスを直接内蔵することで部品実装可能な領域を増加させ、従来方式の部品内蔵技術より大幅に優れた高密度性・高性能性を確保し、さらに小型・高集積化を実現する実装モジュール製造技術の開発を目的とする。
 具体的にはポスト携帯電話(タブレット・スマートフォン)向けの技術開発を行う。
 
 また、産総研で進めている3次元LSI積層実装技術の研究開発において主要課題としている3次元積層対応インターポーザ技術に対し、開発する部品内蔵基板技術の適用を試みることで開発技術の早期実用化と早期事業化へとつなげる。

研究開発の具体的な成果

① 部品内蔵基板内の部品間0.1㎜狭隣接実装技術の要素工程開発
①-1 部品間0.1㎜狭隣接実装技術のはんだ印刷工程の開発
①-1-1メタルマスク及びクリームはんだ材料の改良
(株式会社アリーナ、独立行政法人産業技術総合研究所)
現行の鉛フリー用クリーム半田の特性に近づけるため、金属を配合したクリーム半田の粘度、粒径、配合割合等の最適化を目的とし、接合条件と関連データを収集し分析して、最適配合率のクリーム半田材料を選定した。その結果、千住金属工業の銅粉(20%~30%)入り半田ペーストが有効と判断した。(株式会社アリーナ、独立行政法人産業技術総合研究所)
既製品の鉛フリークリーム半田を用いた半田の実装は、内蔵基板を次工程で加熱した際に再溶融し、内層剥離を引き起こし内層パターンでのオープン?良が発生しやすいが,千住金属工業の協力を得て、クリーム半田の組成(含有する銅の割合を徐々に増やす)を調整することで、再溶融しない半田ペーストを選定、開発し、オープン?良の大幅低減を図った。結果的に銅粉(30%)入り半田ペーストが有効であることが分かった。(株式会社アリーナ)
但し、この銅粉入り半田ペーストは特許取得済みのものであり、そのまま使えないためこの半田ペーストの特性を生かしつつ、特許に遮られない新しい半田ペーストを千住金属工業に開発依頼する必要がある。(未発表)

①-1-2 基板搬送キャリアの改良(株式会社アリーナ)
搬送キャリア自体での反りによるチップ部品のズレ・トビの発生を抑制するため、キャリア寸法公差を±0.1㎜以下にし、また、薄型基板に対応した全面吸着式搬送キャリアを開発した。
現状の製造工程フローでは、基板搬送?良、位置決め精度?足などの理由により、基板厚t=0.05㎜の薄型基板を扱えない。薄型基板対応の改良搬送キャリアを用いて、擬似的に厚みのある剛体の状態として、基板搬送、高精度位置決めなどを可能とする。多数の基板を用いて、製造工程フロー内で搬送、位置決めのデータ収集及び分析を実施した。
その結果、真空オーブンを用いて搬送キャリアに圧着させる方式を開発し採用した。但し基板はがしのための治具開発が今後の課題である。

①-2 部品間0.1㎜狭隣接実装技術の部品実装工程の開発(株式会社アリーナ)
クリーム半田の印刷塗布工程に使用しているスキージをプラスチック、ウレタンゴム等に換えてメタルマスクの設計仕様及びクリーム半田の塗布特性などデータを収集し、スキージ材料の最適化を図った。今回選定した銅粉入り半田ペーストは粘度が非常に高いため、従来のスキージでは印刷できない。そのためプラスチックとメタルを共用した「ハイブリッドスキージ」(特許準備中)を開発し、これを採用した。
加熱工程の繰り返しによる基板収縮の蓄積により、クリーム半田塗布位置と部品搭載位置のアライメント

② 部品内蔵基板内の部品間0.1㎜狭隣接実装技術のWLP-LSIデバイスへの適用 (株式会社アリーナ)

・部品・LSI同時実装工程の開発
サブテーマ1と重複する研究要素が多いが、さらに部品荷姿の検討、基板材料、設計基準の検討、洗浄法とアンダーフィル充填条件の検討、半田ボールの発生を抑制する研究を進めた。
リフロー性は酸素濃度500PPMで安定したことが判明した。
基板洗浄とアンダーフィル材の選定は洗浄液及び洗浄機の選定を行った。現在絶縁残差評価中である。更に材料(アンダーフィル材)については、ナミックスからパナソニックに変更することでこの問題をクリアした。更に浸透性については、真空オーブンを使い更に脱泡する工法にすることでクリアした。

【基板制作技術問題】
半田バンプが小さくなるにつれ基板制作にも技術負荷がかかることがわかった。

③ 部品内蔵基板内の部品間0.1㎜狭隣接実装技術による部品内蔵インターポーザの設計試作評価(株式会社アリーナ、独立行政法人産業技術総合研究所)
三次元LSIチップ積層体をマザー回路基板上に実装する際に必要となる微細バンプ接続に対応した高機能インターポーザについて、電源配線系の電源ノイズ発生を低減のため、デカップリングコンデンサをインターポーザに搭載する。通常のデカップリング用チップコンデンサをはんだリフローにより表面実装する方式、チップコンデンサを回路基板内に内蔵させる方式、薄膜コンデンサをシリコンインターポーザの層構造内に作り込む方式の3種類が考えられる。これらは、インターポーザに搭載されるLSIチップ積層体からコンデンサまでの距離が短くなるため、薄膜コンデンサ内蔵、部品内蔵、表面実装の順でGHzまで電源配線系の低インピーダンスを実現できることが分かっている。

③-1 部品内蔵インターポーザの設計(独立行政法人産業技術総合研究所)
低周波から数GHzまでの広帯域で低インピーダンス特性を有する電源ネットワーク構造の実現を目指して、部品間0.1㎜の狭隣接実装されたC、Lチップ部品を高密度に集積したインターポーザの設計を行った。ここで、コンデンサの搭載方式の差異による電源インピーダンスの低減効果を比較するため、通常のチップコンデンサを表面実装するインターポーザについても、搭載する容量値を等しくし、配置する領域(中心の1cm角)も同一とした、2cm角の評価TEGインターポーザの設計も行った。設計には電磁界解析による高精度設計技術による設計を行った。

③-2 部品内蔵インターポーザの試作(株式会社アリーナ)
開発する部品間0.1㎜の狭隣接実装が可能な部品内蔵基板技術により、デカップリングコンデンサを高密度に埋め込んだ評価TEGインターポーザを試作した。様々仕様を検討した結果使用した部品は0402。最終的には問題なく試作できた。

③-3 部品内蔵インターポーザの評価(独立行政法人産業技術総合研究所)
開発する部品間0.1㎜の狭隣接実装が可能な部品内蔵基板技術により、デカップリングコンデンサを高密度に埋め込んだ評価TEGインターポーザの電源インピーダンスの測定評価を実施した。高精度な電源インピーダンス評価の実現のため、高周波プローブとその校正基板を用いて、低周波から数GHzまでの広帯域な周波数範囲においてインピーダンス評価を行った。

利用イメージ、今後の活用が見込める分野・製品等

eExpo

https://eexpo.jp/companies/2000209768

J-GoodTech

https://jgoodtech.smrj.go.jp/corporations/803?locale=ja

事業化への取り組み

知財・広報活動
今後の見通し  アドバイザー企業であるソニー及びメイコーの協力で、台湾メーカーの承認を得ることができた。
 本来内蔵基板を視野に入れたビジネス(BIZ)であったが、0.11mm半田バンプのWLP=CSP搭載を可能にしたことから台湾メーカ-から信頼を頂き、内蔵基板を採用しない仕様で高周波通信モジュールの発注をもらった。
 更にロードマップベースで合意であった。
 これは初めてメイコーとソニーの力を借りながらアリーナからの提案を採用してもらったことであり、まさに下請負からの脱却を意味している。

 このサポイン事業は1年で終わるが、この事業は継続して進めていく。そして必ずあと数年で事業を確立し、最初の目的通りアリーナでしかできない技術として、大きな柱を確立したい。
 今回のサポイン事業で目標を一つにできた連携パートナーがいるからこそ必ず実現できると考えている。

 それによって、日本の電子部品業界を元気にし、雇用を生み、「日本人にしかできない総合技術から生まれる追随を許さない最先端電子デバイス」を作っていく。
当初の目標を踏まえた上での達成度や新たな課題 【1】部品内蔵基板内の部品間0.1㎜狭隣接実装技術の要素工程開発
1. 狭隣接でない部品内蔵基板を理論上の製造方法で作り、信頼性を立証し、工法を確立する。
2. 狭隣接部品内蔵基板を作る。
3. キャリア取付け、はがし治具を作成する。
4. 半田ペースト取扱い方法を確立する。
5. 銅粉半田ペーストを使用できるようにする。

【2】部品内蔵基板内の部品間0.1㎜狭隣接実装技術のWLP-LSIデバイスへの適用
1. 基板洗浄方法を決定する。
2. アンダーフィルの信頼性を確保する。
3. 銅粉半田使用時の問題点を抽出しクリアする。

【3】部品内蔵基板内の部品間0.1㎜狭隣接実装技術による部品内蔵インターポーザの設計試作評価
1. 量産方法を確立する。
2. 部品内蔵基板の信頼性を展開する。

【4】その他
1. モールド仕様を加えるため、モールド加工会社と技術提携の必要あり。

研究開発の体制

事業管理機関 福島県中小企業団体中央会
法認定事業者 株式会社アリーナ
研究実施機関 株式会社アリーナ
独立行政法人産業技術総合研究所

PRコメント

事業の参考となる資料

成果報告書概要版 23320703021_福島県中小企業団体中央会_部品内蔵基 

企業情報

社名 株式会社アリーナ
所在地 福島県相馬市石上字宝田69
電話番号 0244-36-0111
業種
事業内容
URL http://www.arena-net.co.jp/
本プロジェクトに関する問い合わせ先部署名・担当者名 代表取締役 高山 慎也

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