プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 エネルギー効率向上を目指した発電用新材質の鋳造技術の開発
対象となる川下分野
川下企業における
ニーズの対応
発電機用蒸気温度上昇に耐えうる新材質の鋳造技術の開発
上記ニーズに対する
具体的な数値
事業化状況 事業化達成(製品)・・・・・・製品による売上発生
対象としている素材
採択年度 平成21年

プロジェクトの詳細

プロジェクトに至った背景・経緯

 地球温暖化の主原因である二酸化炭素の排出量の削減を目的に、電気事業者はエネルギー効率の向上を図っている。
 その目標値を達成するためには、蒸気タービン入り口における蒸気温度と蒸気圧を向上させる必要があり、その要求仕様に耐え得る新鋳造材料、新鋳造技術の開発が求められている。
 本開発では、高温・高圧雰囲気で剛性と靭性に優れた新たな鋳物材質の開発と、その鋳造方案及び熱処理技術を含んだ鋳造技術の開発を行う。
 地球温暖化防止対策として二酸化炭素排出量の低減が課題となっており、電気事業では2008~2012 年度の目標として、二酸化炭素排出量を1990 年度と比較し平均で20%低減するとしている。
 この目標達成には、発電設備のエネルギー効率を現状の40%から46%~48%にする必要があり、そのためにはタービン入口の蒸気条件として、蒸気温度866K、蒸気圧24MPa から蒸気温度923K、蒸気圧35MPa にまで引き上げる必要がある。
 具体的には、クリープ特性(破断強度)を1,073K において80MPa、1000 時間を満たす材質が必要とされる。
 本事業では火力発電プラント用耐熱鋳鋼の対象製品として、プラント部品内では最も高温・高圧となる「ノズルボックス」を開発ターゲットに、その鋳造技術開発と製品化を目指す研究開発を行う。
 

研究開発のポイント

 秋木製鋼株式会社は、火力発電プラント用耐熱鋳鋼の対象製品として、プラント部品内では最も高温・高圧となる「ノズルボックス」を開発ターゲットに、最適結晶粒の探索、クリープ特性の向上研究の実施や実部品を用いた最適熱処理条件の確立を行い、その鋳造技術開発を行う。
 秋田県産業技術総合研究センターは、数値解析技術を活用し最適な熱処理条件を確立することによって、高温・高圧雰囲気で剛性と靭性を兼ね備えた材質の開発をする事により以下の事項を研究目的として研究開発を実施した。
(1) 剛性、靭性に資する鋳造技術の開発
 1 最適結晶粒の探索(結晶粒微細化)
 2 クリープ特性の向上研究
 3 実部品を用いた最適熱処理条件を確立するための研究
(2) 品質の確保、向上及びコスト低減に資する鋳造技術の開発
 1 アルミナ系人工砂による鋳型造型技術の開発
 2 デルタフェライト析出防止案の確立
 3 鋳造欠陥を抑制し、品質を確保した最適鋳造方案の確立

研究開発の具体的な成果

①. 剛性、靭性に資する鋳造技術の開発への対応として、発電用合金鋼鋳鋼品火SCPH91 を基本材料として、合金添加並びに熱処理技術の課題を解決することによってクリープ強度を1,073K において80MPa・1,000 時間を満たす材料特性を達するため、以下の3 テーマに関して研究を行った。
 
①-1最適結晶粒の探索(結晶粒微細化)
結晶粒の微細化組織(結晶粒径;5~10μm)を得るまでに至らなかったが、この要因として、高温、長時間を有する拡散焼鈍工程を検討することによって結晶粒径の制御が可能と考えられる。
 今後、詳細に検討する必要がある。
 
①-2クリープ特性の向上
クリープ強度試験は、963K、100MPa において1000 時間を超えた。
 このデータは、現時点で、川下企業(発電プラント機器メーカー)の要求値である963K、100MPa において100 時間以上の条件は十分に満たした。
 ただ、本事業で目標とする1073K、80MPa、1000 時間は達成できなかった。
 このことは、前述したように、結晶粒の粗大化や窒化物による結晶粒界強化が得られていないことが要因と推察される。
 したがって、実機(ノズルボックス)などに適用する場合は、改めて、クリープ強度の向上に寄与する結晶粒径や結晶粒界強化、すなわち、合金の効果や熱処理条件に関して検討する必要がある。

①-3実機を用いた最適熱処理条件の確立
 ノズルボックスの熱処理条件を設定するため、クオリカ製GRANTAS によって、熱処理シミュレーション解析を行い、組織が焼ならし温度からの強制冷却によって製品全体がマルテンサイトに変態する事を確認できた。
 ただ、本事業で実施する2段階焼き戻しのシミュレーションに関しては、十分な解析データが得られないことから、今後は、2段階焼き戻しの熱処理解析シミュレーション技術に関して検討する必要がある。
 クリープ強度に関しては、963K、100MPa では300 時間以上を達成した。
 前述のように川下企業(発電プラント機器メーカー)の要求値は十分満足している。
 ただし、目標とする1073K、100MPa では極めて短時間で破断した。
 このことは、鋳造組織の均一化のために行なう拡散焼鈍温度、時間並びに強度向上のために行なわれる焼きならし温度、時間がいずれも、オーステナイト化温度以上で、高温で長時間保持することに起因すると推察される。

 したがって、実機(ノズルボックス)などの肉厚鋳造品に適用する場合は、今後さらに、クリープ強度の向上に寄与する結晶粒径や結晶粒界強化、すなわち、合金の効果や熱処理条件に関して検討する必要がある。
 
②. 品質の確保、向上及びコスト低減に資する鋳造技術への対応を達成するため、以下の3テーマに関して研究を行った。

 ②-1鋳造欠陥である差し込みによる焼き付き防止と造型時間の短縮
 アルミナ系人工砂を使用したワンサンドシステム造型法の鋳型物性値を測定し、そのデータを数値解析ソフトにインプットして鋳造欠陥の予測精度を上げて鋳型造型した。
 注湯後の製品の凝固時の温度分布を検証し凝固シミュレーションを行って、狭隘部分の鋳型構造を中子構造とし、粒径の小さい充填性の良いアルミナ系人工砂で造型した。
 鋳造後の製品の確認結果、差込が無く焼き付きも改善された。
 造型時の工程に於いて鋳砂の充填・突き固め作業・ガス硬化時間・抜型時間・手入れ作業などをトータル工程で比較した結果、従来の三段階鋳型造型法による時間を、32 時間から6 時間に短縮できた。

 ②-2デルタフェライトの析出防止
 本鋳造方法は、人工砂の熱伝導性が大きいため凝固は促進されるが、更に凝固シミュレーションによりデルタフェライトの発生する部位を特定し、冷し金によって凝固を促進させた。
 又、熱処理のオーステナイト化温度をフェライトの発生しない温度域(1343K)を採用し、熱処理を行った、最終熱処理後のデルタフェライト析出量を0%にすることが出来た。

 ②-3最適鋳造方案の確立
 (1) 湯流れー凝固シミュレーションを利用した、最適鋳造方案を作成する手法を確立した。
 (2) 試作時間の効率を図る為、造型方法を従来の三段階鋳型造型からワンサンド鋳型造型へ切り替え、従来の解析装置と新規導入の解析装置との比較により、試作時の工程内容においてトータル工程で比較した結果、試作時間が24 時間から8 時間に短縮できた。
 (3) 鋳型強度及び寸法精度を向上させる為に、自硬性プロセスによるワンサンド鋳型で行った。
 鋳型強度は従来方法と比べ約4 倍になったことにより、木型設計寸法通りの寸法精度が得られた。
 製品重量も設計重量との差が0.5%にとどまっている。
 以上のことから、鋳型強度が大きく寸法精度のよい結果が得られた。

利用イメージ、今後の活用が見込める分野・製品等

eExpo

J-GoodTech

事業化への取り組み

知財・広報活動
今後の見通し
当初の目標を踏まえた上での達成度や新たな課題

研究開発の体制

事業管理機関 公益財団法人あきた企業活性化センター
法認定事業者 秋木製鋼株式会社
研究実施機関 "秋木製鋼株式会社
秋田県産業技術総合研究センター

PRコメント

事業の参考となる資料

成果報告書概要版 成果報告書概要版(エネルギー効率向上を目指した発電用新材質の鋳造技術の開発) 

企業情報

社名 秋木製鋼株式会社
所在地 秋田県能代市中川原26
電話番号 0185-52-6311
業種
事業内容
URL http://www.akimoku.co.jp/
本プロジェクトに関する問い合わせ先部署名・担当者名 工場長 永坂 直美

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