プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 化粧品・医薬部外品素材としての天然保湿因子の探索と生産技術の開発
対象となる川下分野 化粧品
川下企業における
ニーズの対応
発酵・精製工程における低コスト化、高品質化および環境対応
上記ニーズに対する
具体的な数値
事業化状況 事業化まで達成しており製品として販売している。
対象としている素材 植物、セラミド、コラーゲン、酵母、菌
採択年度 平成21年

プロジェクトの詳細

プロジェクトに至った背景・経緯

化粧品に含まれている天然保湿因子(以下NMF)として知られている植物コラーゲン及び天然セラミドは、優れた保湿効果を示し、ヒアルロン酸と並ぶ重要なスキンケア素材として知られている。
コラーゲンの原料は牛由来が主流であったが、BSE問題の発生以降、豚や魚由来が主流となっている。しかし、いずれのコラーゲンも臭いの問題で高配合出来ず、高度の脱臭を行えば高コストになる。動物由来のコラーゲンはそれ自体、分離精製が煩雑であり、キログラム単価が数百万円に及ぶ場合もある。
また、セラミドに関しては、コラーゲン同様牛由来が主流であったが、現在は大部分が植物由来となっている。しかし植物由来セラミドは乾燥植物に微量しか含まれず、高価になってしまう。
化学的手法による疑似コラーゲンやセラミドも合成されているが、大きなコスト低下には繋がっていないのが現状である。一方、安全や環境保全の観点から天然志向が高まっており、脱石油素材である微生物などからの価格優位性のある素材の開発が望まれている。
そこで、本開発は自然環境の中から保湿因子高生産酵母・糸状菌を探索し、安価な食品廃棄物を発酵培地とする培養方法によって、無臭で低コストなセラミドとコラーゲンの生産技術を開発することを目的とする。本開発の成果は、メーカーから提示される、より低コストで消費者のニーズに応える、安全で安心な化粧品・医薬部外品の原料等として用いる。

研究開発のポイント

株式会社秋田今野商店が保有する約200株の酵母・糸状菌は、自然界の種々の環境下から分離同定されたものであり、天然保湿因子の生産能が期待され
る。しかし、天然保湿因子を高生産する技術等は確立できていないのが現状である。
こうした状況の下、これらの不安定な各々の発酵要素を断片的にではなく、複合的に組み合わせることにより、天然保湿成分の探索と生産技術の確立を目指す。

研究開発の具体的な成果

1.スクリーニング株の中の卵菌類の一種が多量のHyp を蓄積することを見出した。微生物の生産物であるがゆえに、植物のように長い生育期間を持つことなく多量の微生物由来コラーゲンを短期間で得ることが出来る方法を確立した。また、既知の酵母とは別種の酵母のなかに、グルコシルセラミド高蓄積株を見だした。
2.また既知のグルコシルセラミド生産性菌株として知られる酵母3 株について脂肪酸合成酵素の阻害剤であるセルレニンを用いてセルレニン耐性株の取得に成功した。また、TLC とHPLC を用いる手法で極めて感度良くK.thermotorlans のグルコシルセラミドを分析する技術を確立した。グルコシルセラミド生産を蓄積させるための最適な培養条件の検討としてC/N 比が重要であることを明らかにするとともに、植物性有機廃棄物中にもNMF 成分が含有されることから有望な培地であることを明らかにし、安価な大量生産開発の足がかりになった。また、グルコシルセラミドの抽出に関して抽出効率をあげるために考案された酵母細胞壁溶解酵素を用いることにより極めて効率よくかつ低コストでグルコシルセラミドにを抽出することに成功した。
3.フルーツ、米、こんにゃく由来の植物由来グルコシルセラミドと微生物由来のそれを比較すると相互に異なる生産物をつくることから、微生物由来セラミドに付加価値が付与される可能性が示唆された。また、モデル系の酵母を用いた生物的効果については、安全性の確認がなされた。さらには、物理学的効果の検証についても褐変瓶での冷蔵保管が望ましいことやフェノキシエタノール等の添加により防腐が可能であることを明らかにしたことによって製品化の足
がかりが出来た。
以上の結果から安価な食品廃棄物を発酵培地とし、保湿因子高生産酵母・糸状菌を培養し無臭で低コストなセラミドコラーゲンの生産技術に基づき事業化する意義と見通しが得られたものと判断し、今後もモデル系の微生物以上のNMF 生産性を有する微生物の探索を進めていくことはもちろん、これらに高付加価値が付与出来るように様々な角度から事業化に向けた研究を持続していく方針である。

利用イメージ、今後の活用が見込める分野・製品等

化粧品、サプリメント

eExpo

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/portal/seika/2009/21h-17-19-2.pdf

J-GoodTech

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/portal/seika/2009/21h-17-19-2.pdf

好事例のご紹介

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事業化への取り組み

知財・広報活動
今後の見通し 我々は既にこの450 株にも及ぶユニークな菌株の2 つの方法による液体培養物、すなわちYM培地(イーストマルトエキス培地)及び黒糖培地の静置培養及び振とう培養により得られた菌膜及び培養液を集め(サンプル総数1800)グルコシルセラミド分析用のサンプルとコラーゲン蓄積量の指標になるHyp 分析用として加水分解処理まですすめることにより、総サンプル3600にも及ぶ多量の処理を実施中である。静置培養には培養日数が7 日を要するので本事業期間内に処理できるサンプルの数には限界があり現在642 サンプルのグルコシルセラミド、Hyp の分析が終了しているが30 サンプルは現在もなお日々分析進行中である既に我々は分析を終えたサンプルの中には今まで報告のないPythium sp.株による双子葉植物由来コラーゲン(エクステンシン)と同等の生産性を持つ菌株を見出している。エクステンシンは植物由来であるため生長した植物体からの抽出精製と大変頻雑な方法により得られるが、微生物であれば容易にかつ無尽蔵に増殖させることは可能である。さらに植物体細胞壁と異なり特にPythium sp.株は容易に細胞壁を破壊することが可能であり、植物に含まれるHyp の0.1~1%と比べて本菌株の生産量0.9%はエクステンシンと充分に対向できる素材として考えられる。
今後も残るサンプルの分析を日々進めていく方針であり早い製品化を目指す。
当初の目標を踏まえた上での達成度や新たな課題 グルコシルセラミド生産酵母として知られるK. thermotolerans はスクロースでの生育が極めて良好であるので黒糖培地は有望なグルコシルセラミド培地と言える。黒糖培地を用いることにより、よりストレス耐性の強い酵母を培養することが可能になり製品化する上では大きいメリットとなりうる。そこで、今後事業化に向けて本培地(黒糖)の優位性を、さらに探ると共にそれらを付与した高付加価値製品化を目指す。
各植物性有機廃棄物には米糠はグルコシルセラミドがおからにはコラーゲン蓄積量の指標となるHyp の含量がほかの植物性有機廃棄物と比較して多く含有されることから、これらを培地にしてスクリーニングアップされた微生物の培養を行いグルコシルセラミド及びHyp の安定した蓄積をはかり具体的に数値化出来る生産コストの低減化を目指す。

研究開発の体制

事業管理機関 公益財団法人あきた企業活性化センター
法認定事業者 株式会社 秋田今野商店
研究実施機関 株式会社秋田今野商店
丸善製薬株式会社
秋田県総合食品研究所
岡山理科大学

PRコメント

事業の参考となる資料

成果報告書概要版 化粧品・医薬部外品としての天然保湿因子の探索と生産技術の開発

企業情報

社名 株式会社 秋田今野商店
所在地 秋田県大仙市字刈和野248
電話番号 0187-75-1250
業種
事業内容 ・種麹、酵母菌、乳酸菌の製造販売
・有用微生物の製造販売
・醸造食品用機器、資材販売
URL http://www.akita-konno.co.jp/
本プロジェクトに関する問い合わせ先部署名・担当者名

  • 経済産業省
  • 中小企業庁
  • 独立行政法人中小企業基盤整備機構
  • eEXPO