プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 耐熱性に優れた共晶黒鉛鋳鉄による鋳ぐるみ技術の開発
対象となる川下分野
川下企業における
ニーズの対応
上記ニーズに対する
具体的な数値
事業化状況 補完研究中
対象としている素材
採択年度 平成23年

プロジェクトの詳細

プロジェクトに至った背景・経緯

ガラス瓶成型用金型は、ねずみ鋳鉄(共晶黒鉛)が主に使用されており、ガラス瓶成型時に高温にさらされると共に、成型時の強い衝撃により接触面が摩耗し易い。
そのため、これまではNi 合金を肉盛溶接して耐熱性・耐摩耗性を付与してきた。
しかし溶接は溶接前の面引き加工等をする必要があり、製造工程が多くなる為に製造コスト・納期が掛かっている。

研究開発のポイント

本研究では上記の解決方法として、黒鉛微細化効果に一般的である冷やし金を使用することなく片状黒鉛鋳鉄を微細化(共晶黒鉛化)し、微細化した共晶黒鉛鋳鉄を用いたNi 合金鋳ぐるみ法を開発し、製造コスト・納期の低減を図る。
そのためには、以下の研究開発項目を実施する。

研究開発の具体的な成果

① 冷し金を使用しない片状黒鉛鋳鉄の黒鉛微細化技術の開発
H23 年度及びH24 年度は微細化効果のある元素の複合添加や添加割合の絞りこみ及び微量RE 添加による黒鉛微細化や最適CE 値について検討を実施し、ある程度の微細黒鉛を得ることができたが、加工テストを実施した結果、一部の肥大な黒鉛が磨き工程時に黒鉛が剥離し、肌荒れのようになるため課題が残った。
H25 年度はTi 添加と、溶湯を一定時時間保持することによって、安定的に微細な黒鉛を
得ることができ、特に、亜共晶組成(CE 値<4.3)の鋳鉄は、ガラス瓶成型用金型に適した微細黒鉛組織が得られた。
また、各種物性値を評価した結果、目標値をすべて達成することができた。

②Ni 合金鋳ぐるみ技術の開発
 H23 年度は、鋳ぐるみテストモデルや接合部の評価方法を確立できた。
 H24 年度は製品に求められる鋳ぐるみ比率での接合テストを繰り返し実施し、空隙等の欠陥がない接合状態を得ることができることを確認できた。
 H25 年度は、実操業レベルにおいて、Ni 合金が注湯時に位置ズレが発生しないように設置する方法を確立できた。
 また、鋳ぐるみ技術を用いたガラス瓶成形金型を試作し、加工及び検査を行ったところ、鋳鉄‐Ni 合金の健全な接合状態を得ることができた。
 さらに、鋳鉄‐Ni 合金の鋳ぐるみ接合引張試験片を作製し、引張試験を実施した結果、鋳ぐるみ接合が従来工程での溶接接合よりも接合強度が強いことを確認できた。

③ 製造コスト・日数及び市場競争力の評価
 H23 年度は、事業で導入した鋳造方案CAE システムの使用及び活用方法を確立した。
 また、試作金型の選定を行った。
 H24 年度は鋳造方案CAE システムを活用して、鋳造歩留りを約3~7%改善できる見込みを得られた。
 また、鋳ぐるみ接合部の加工具について選定することができた。
 H25 年度は開発技術を用いた製造実験で最短製造日数及び時間を調査し、従来工程と比較した結果、2.9 日低減することができ、目標を達成した。
 さらに、実用性の評価においては、出荷前検査と同様にチェックしたところ、問題がなく、耐久性についても従来工程と鋳ぐるみ法での材質について、熱伝導率及び熱膨張係数並びにNi 合金についても、接合強度、硬度、融点等について比較検討したところ、鋳ぐるみ工程の方に優位性がある結果を得られ、本技術開発によって、低コストで高耐久性ガラス瓶成形金型の実用化に目処がついた。

利用イメージ、今後の活用が見込める分野・製品等

eExpo

J-GoodTech

事業化への取り組み

知財・広報活動
今後の見通し  事業化展開については、現在ガラス瓶の軽量化および形状の多彩化がますます進み、金型にも経費削減やコスト競争力強化、さらには短納期対応がこれまでよりも、いっそう求められる傾向にある。
 本事業による研究開発達成の効果としては、製造工数削減とそれに伴う短納期対応力及び低コスト化であり、川下企業のニーズに応えるものである。
 ガラス瓶金型をメインで製造している企業の中で、金型材料供給の為に鋳造工場を所有しているのは国内では当社だけである。
 鋳造から加工までの一貫した製造工程を保有している従来からのメリットに加え、本事業で開発した鋳ぐるみ工法の新技術による差別化により、市場競争力の強化を図れるものである。
 さらに、ガラス瓶金型業界に限らず、機械製品、構造物の高性能化に伴い低コスト高機能材料に対しての要求はますます高まってきており、本研究における異種金属の鋳ぐるみ工法は他製品群への展開の可能性についても大きく期待できる。
当初の目標を踏まえた上での達成度や新たな課題 ① 冷し金を使用しない片状黒鉛鋳鉄の黒鉛微細化技術について、Ti 添加+溶湯保持によって、微細黒鉛組織を得ることができ、特に亜共晶組成(CE 値<4.3)の場合、現状金型材質と同等もしくはそれ以上の物性値が得られた。
 しかし、量産化を考慮すると溶湯保持時間の短縮等を検討する必要がある。
 具体的な検討内容としては、保持温度の検討、RE 等の添加による黒鉛微細化と保持時間の検討などによって、最適な黒鉛微細化方法を確立する。

② Ni 合金鋳ぐるみ技術の開発では、実操業で試作した鋳鉄‐Ni 合金の接合部は、注湯温度が低下していくと溶融接合に必要な時間や温度条件が変化するため、未接合部が生じてしまう可能性がある。
 そのため、量産化に向けた鋳造方案の改善や注湯温度及び注湯温度保持条件について詳細な検討及び確認実験等、補完研究期間を利用して実施していく。

③ 製造コスト・製造日数及び耐久性と市場競争力の評価では、製造日数を3 日間短縮することを確認した。
 今後は、さらなるコストダウンに向けて研究を進めることと、金型テストサンプルによる実証試験などを実施し、市場競争力についても評価しながら、低コストで高耐久性のガラス瓶金型の実用化、事業化を目指す。

研究開発の体制

事業管理機関 公益財団法人あきた企業活性化センター
法認定事業者 秋田扶桑精工株式会社
研究実施機関 秋田扶桑精工株式会社
秋田県産業技術センター

PRコメント

事業の参考となる資料

成果報告書概要版 成果報告書

企業情報

社名 秋田扶桑精工株式会社
所在地 秋田県北秋田市上杉字金沢178-710
電話番号 0186-78-4111
業種
事業内容 ガラス瓶用金型の鋳物製造販売
ガラス瓶用金型製造販売
URL http://www.fuso-seiko.co.jp/akitafuso/
本プロジェクトに関する問い合わせ先部署名・担当者名 鋳造課鋳造班工長 中村圭太

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