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青森産りんごを世界へ

片山りんご株式会社 執行役 山野豊

片山りんご(株)は青森県弘前市のりんご生産農家・販売業者で、1999年以来、直接貿易による海外へのりんご輸出に取り組んでいます。農商工連携の先進的な取り組みを紹介する「農商工連携88選」に認定され(経済産業省・農林水産省共同)、全国の88の認定者の代表として、平成20年7月3日に東京で開催された「農商工連携フォーラム」において、新藤経済産業副大臣から認定書を授与されました。

以下は、去る平成20年9月19日に仙台市で開催された「東北地域農商工連携促進協議会」発足記念フォーラムにおける同社執行役山野豊氏の講演録です。

※経済産業省・農林水産省が取り組んでいる「農商工連携」の推進については本誌4月号で、農商工連携促進法の概要については11月号で紹介しています。併せてご覧ください。

山野豊 片山りんご(株)執行役

周りの人から「山野はなぜそんなに元気なのか?」とよく聞かれますが、それは私の心の中に怒りがあるためだと思っています。怒りは自分自身を傷つける悪いエネルギーですが、それが良い方向に向けられたときにはものすごい前進力を生むことも事実です。

かつて私は東北大学を1984年に卒業しました。その時分、「21世紀はの日本の世紀だ」と言われており、自分が働き盛りを迎える頃には世界中どこへ行っても肩で風を切り、胸を張って仕事ができるであろうだろうと楽しみにしていました。しかしそれ以降の日本は政治的にも経済的にも混迷が続き、「なぜこんなことになってしまったんだ!裏切られた!」という怒りをずっと持ち続けています。

残念ながら私も50才に近くなってしまい、状況を劇的に変えることは望むべくもありません。「後に続く世代に、情無い状態のままの日本、就中一山百文になりかけたままの東北をそのまま引き渡したくない」という一念で行動いたしております。またそのような我々の考えを汲んで、東北の皆さんは応援してくださっていると認識しています。

社長の片山とは学生時代下宿で出会って以来の付き合いです。卒業後片山はりんご園に戻り、私は機械屋になり、いったんは離れていましたが、紆余曲折の後、一緒に仕事をすることになりました。今日はこの数年間の我々の活動や学習の成果、お伝えすべき情報をお話ししたいと思います。片山りんごが海外に出掛ける際には県から補助を頂戴しています。

公から支援していただいた以上、成果は公にフィードバックしなければなりません。自分たちの経験を率直にお話しさせていただく積りです。

私が青森に来た頃は、「もうりんごの樹を切ってしまおうか」というところまで追い込まれていました。「この状態から立ち直るのは、奇跡だ。奇跡を起こすには一つだけ条件がある。奇跡を信じる者の上にしか奇跡は起きない」と私は片山を励ましました。まだまだ厳しい状態は続いていますが、「あのとき樹を切らなくてよかった」と思っています。 会社の概要を紹介いたします。 片山りんごの社是は、「当たって砕けろ!」です。机の上でガタガタ考えているより、行動した方が良い。外へ出て、行動してたとえ失敗に終わっても何かを掴みとってこようということです。

もうひとつは、「先頭誘導員たれ!」です。人の後塵を拝することなく、どうせなら先頭を走ろう、ということです。学生の頃から片山と私は、一方が右といえば他方は左というように、敢えて相手と反対のことをいうようないうところがあり、今でも意見が食い違うことが多々あります。ただし、何か新しい仕事にチャレンジするときに、「これ誰かやっている?やっている…ではやめよう。やっていない?ならやろう」という点だけは一致していています。これらのモットーが現在の、我々の活動につながっています。

図1 りんご海外輸出のきっかけ
図1 りんご海外輸出のきっかけ
片山りんごのサポーター

りんごの海外輸出のきっかけを漫画(図1) にしてまとめてみました。面白いことにイギリスの商社EWT(エンパイアー・ワールド・トレード)の担当者は、シェイクスピアといいました。地元の銀行に信用調査を相談したり、商工会議所に貿易書類の指導をしていただいたりして、なんとかイギリスにりんごを出荷できました。これが弊社の農商工連携の原型であったと言えます。

(図2)を御覧下さい、このように多くの相手と連携しているわけは、いささか逆説的ですが、「会社が小さくて弱かったから」です。青森には他にもりんごの輸出を行っている会社が複数あります。いずれも大会社で、ビジネスモデルが確立していて、我々のようなリスクを冒す必要がありません。

我々のような小さな会社の場合は、ニッチを探し出し、そこに安住の地を求めなければならず、ヒト、カネ、モノがない以上、どうしても他人の助力を得て仕事を進めてゆかねばなりません。ヒトとヒトとのつながりのなかで、自らセーフティネットを構築し、行動していくことが必要になります。

片山りんご流の海外展開ですが、あまりお勧めできる方法ではありません。いきなり出かけ、相手のドアを叩くようなやり方です。小さな企業なので、強引なやり方ですがともかく相手の懐に飛び込むしかありません。

片山りんごに視察に来られて、海外展開についてお尋ねになられる方がいらっしゃいますが、30分ほど話をすると、「この人はどうせやらないだろうなー」と思うことが多々あります。リスクを徹底的に排除し、盤石の構えで、あたかも戦車に乗って突き進もうとする。そうすると、敵軍の戦車や有刺鉄線など、いろんな障害がみえてきます。輸出の場合、それらを普通にいうと、検疫の制度であったり、複雑な輸出入の制度であったり、代金回収の問題であったりするのですが、ともかく、どれか「越えられない」と感じてしまうと、戦車はUターンして帰ってきてしまいます。あらゆるリスクを検討した結果、やる気を失ってしまうのです。

片山りんごのやり方は、言わば落下傘作戦。飛行機で現地に飛び、りんごやジュースを背中に括り付けて、飛び降りるのです。大抵の場合目的地の状況は厚い雲の下でよく分からない。落ちた場所が悪ければ、敢えなく戦死です。しかし、運良く小さくても自分の陣地を作ることができ、商品に戦闘力があれば、ロジスティクスは後からついてくるのです。まず行動を先にするのが片山りんごのやり方です。戦歴を振り返ると、うまく行った事もあれば残念ながら戦死してしまったこともあります。

最近の成功例は、スイスのグローブスというデパートです。グローブスの客層はお金持ちが中心です。日本でいえば三越よりちょっと上ではないかという印象を受けています。昨シーズン販売に成功しました。県の補助をいただき、欧州最大の見本市、フルーツロジスティカに行き、獲得したお客様です。そこでバウアーというバイヤーの方と親しくなりました。その場は「秋になったらりんごをもっていくからねー」と約束しただけでした。有言実行、秋になってりんごを背負っていったまでは良かったのですが、商談が始まって5分で「ああ、今回はレマン湖に落ちて戦死だ」と覚悟しました。

基本的な事なのですが、私はグローブスの店舗数を誤解していたのです。見本市の時にはスイス全土に18店舗あると聞いた積もりだったのですが、実際には僅か9店舗でした。この差はコンテナを1本出せるかどうかという問題につながります。9店舗ではさすがにコンテナは無理で自然航空便ということになります。運賃が高くなりすぎて現実的ではなくなります。

私が青森りんごの戦闘力を痛感することになったのはその後でした。「航空運賃は問題ではない。成田にさえ届けてくれれば、我々彼らのロジスティクスで運ぶ」とのことでした。

当然りんごは保護関税と相俟って高値になるため、売れるかどうか心配になります。通訳してくれた女性に「売場の状況を見て来て欲しい」とお願いしたところ、彼女からの報告は実にうれしいものでした。「一人のお婆さんが、売場で店頭で小さなスイス産のりんごと、日本の我々の大きなりんごを手してどちらにするか悩んでいました。」日本のりんごはスイスのりんごの値段の10〜20倍します。「そうしたらグローブスの店員さんがすっと寄ってきて、なぜ日本産のりんごがが高いのか、滔々と説明しはじめました。摘花、実選り、袋かけ、反射板、葉取り、ツル回し・・・大いに手間暇をかけ、愛情を込めてりんごを作り・・・結果日本のりんごは値段は高いが、その分美しく美味しい・・・そこまで話しが終わるとお婆さんは納得して青森のりんごを買ってくれました」

今年2月、のドイツでの見本市でバウアーさんと再会したときに、私は「バウアーさん、青森のりんごの価値を理解し、お客様に説明でき、きちんとした価格で販売できるあなたのような人とこそ私は商売したい」と、お礼をいいました。すると彼は、「Naturelich!(当然)」と答えました。「グローブスは店員教育に時間とコストを惜しまない。いやしくもグローブスの果物売場の店員であるならば、それぐらいのことは誰でも言える」と断言しました。私は「今年もまた一緒にやろう!」と申し上げ、がっちり握手を交わしました。

農商工連携の例を申し上げます。実際輸出を始めるといろ色々なんな壁に当たります。まず手始めは輸送品質です。最初に中国へ輸出したときに北京から大連に5箱を航空便で送ってみました。そうしたら丁度1箱分傷だらけで使い物にならなかったのです。「中国では航空便は手荒く扱われ、エイッ!と放り投げられる」とのことでした。

何か解決策がないか探していたところ、NECに回答がありました。RFIDというデバイスを使って、温度と衝撃を記録することにしました。誰が何時どのような事をしたのか分かるようになります。RFIDを導入するといった途端、明らかに荷扱いが変わりました。

後継者の問題も切実です。藤崎園芸高校、三上先生から「中国に生徒を連れて行き、販売実習をさせたい」と相談を受けました。すぐに「やりましょう」と返事をしました。翌年にはドイツに連れて行きました。青森のりんごの高い評価や、世界のりんごビジネスの状況を、次世代を担う人たちに知っておいて欲しいと思ったからです。青森のりんごと同じようなりんごは世界にはない。唯一無二と言うことは世界一と言うことです。彼等が従事するであろう産業は世界一産業なのです。

本日は、主催者側から過去に苦労した点もを話すように言われています。確かに中国へ輸出しようとしたときは、通関や検疫制度、関税などに腹をたてたこともありましたが、一度経験すれば気にならなくなります。いろんな問題はありましたが、改めて振り返ると大したことではなかったと感じています。主体的に取組むというのがポイントです。自分で登ろうと思った山に、自分が担ごうと思った荷物を背負って登るようなものです。

やっていることのスケールはまるで違いますが、幕末の志士たちと自分たちはどこか似ていると感じることがあります。どちらも海外の動向を察知し、このままではいけないと気づき、行動を始めたというところが似ています。暴れ始めたということです。次に我々が何に気がついたかをお話しします。

輸出を行った過程で、国際商取引の水準や、食の安全を守る為の方法論、食の安全を担保する方法、「攻めの農業」に必要な要素、中国の最先端のりんご卸売業者の安全管理水準等を勉強する機会に恵まれ、日本が後れをとっている面は何なのか肌で感じました。日本は変わらなければなりません。「坑道のカナリヤ」という言葉がありますが、我々はいわば農道のカナリヤなのであります。

商取引については10年前にイギリスに輸出を始めたときに、4プレーヤーズモデルを実地で経験しました。イギリスの商流はシンプルで、商取引に参加するのは生産者、産地コーディネータ、消費地コーディネーター、小売業者だけです。片山りんご=直接輸出といわれることが多いのですが、我々は最初から直接輸出を目指したわけではありません。定跡通り間に商社を入れ、LCを組んでもらおうと思ったのですが、EWTに、「自力で輸出出来ないのであれば取引しない」と言われてしまったのです。

彼等が言うことには、EWTの使命は、「シンプルなラインで流通を構築、自らのオペレーティングフィーも最低限に設定し、上がった利潤を消費者と農家に還元する」ことだそうです。ある日片山りんごにEWTから予定外の送金がありました。我々が出荷したりんごのロス率が、彼等の想定より低く、彼等にすれば価格設定が不当であったと言うことになるので、その分を返金したということでした。 さすがに英国は紳士の国です。商談の最中も経済力を背景とした強圧的な態度は一切なく、一対一のスタンスが貫かれていました。これは個人主義と契約社会がシステムを支えているということです。我が国のような長いものに巻かれろのムラ社会とは異なります。

最近EWTの行動の真の意味が分かってきました。21世紀のキーワードはサスティナビリティ(継続可能性)です。EWTが生産者と消費者に利益を還元しようとするのは、自らの利益追求ばかりで農家や消費者を大切にしないと自らのビジネスは勿論のこと、社会全体のサスティナビリティを危うくしてしまうという認識があるのだと思います。私の知る限り、日本にそこまで考えている会社はありません。例えば商店街を破壊して進出して来たショッピングセンターが、利益が出なくなるとあっさり撤退することがありますが、地域のサスティナビリティは彼等の眼中にあるのでしょうか? GAP(適正農業規範)も切実な問題です。

GAPはいわば農業版のISOです。グローバリズムの波がついに農産品の世界まで届きました。ISO認証を持たない工場の製品が一流の工業製品に組み込まれないのと同様に、GAP認証のない農家の農産品は小売業者の棚に組み込まれなくなる時代が間もなく来るように思います。

GAPは違法な農薬を使用したり、学齢期の児童を酷使するなどしてダンピングを行い、単に値段の安さのみを武器として市場の攻略をはかる粗悪な農産物から国内の農産品を守る機能があります。しかしながら国際的水準に立つレベルの高い農家の産品までブロックはできません。今年我々の連携先である岩木山りんご生産出荷組合GAP部会25名がGAPの認証に挑戦しました。全員が輸出用のりんごを作っているというわけではありません。国内でも小売業者の仕入れ基準にGAPが採用される時代を見据えて抜かりなく準備を始めているのです。

GAP運営団体により安全・衛生、労働者福祉、環境保護等多岐にわたる農場運営のためのガイドラインが定められ、自分たちの農場が、そのガイドラインを満たすように、自分の眼で現場を見て、自分の頭で考えて、自分の言葉でなすべきことを決めて行動してゆく、一人よがりでは仕方ないので、成果を第三者の眼で毎年審査してゆくというのがGAPの本旨です。

ところが日本のGAPには構造的な問題があります。第三者認証機関を認証する機関がないと、その認証は世界的には効力を発しません。認証機関を認証する機関は各国1つと定められており、日本ではこの認証機関は財団法人日本適合性認定協会(JAB)とされています。JABの審査対象は国際レベルの認証に限られます。またその費用の高さは常識の範囲を越えます。ローカル認証としてスタートし、零細経営の農家が対象の日本のGAPは世界に肩を並べることは出来ません。行政にはこの点の改善を望みたいと思います。

食の安全の問題をよく考えると、生産農家だけがしっかりやっただけでは足りず、流通・加工業者、小売業者の各流通段階でもそれぞれの仕組みが必要です。図3に示す通り水道システム同様、これらはインフラとみなされます。GAP・GMP・GRP・GDPと称される中核システムは民間だけでも構築可能、むしろ民間でつくるべきものです。しかし中核システムを支える残留残余農薬検査、廃棄物処理、第三者機関認証などに関する周辺のシステムの構築は、民間だけでは無理です。ここの整備は公の仕事です。

英国では大手小売は仕入れ基準にGLOBAL GAPを採用しています。消費者はTESCOやM&Sに行けば何も考えなくても最低限の安全が担保された青果物を購入できます。ところが日本の場合、消費者が食の安全を確認しようとすると原産地を調べ、更にはケータイやパソコンで自分が買った商品の履歴を参照しなければなりません。私は「顔の見える農業」が大嫌いですが、そのために農家は自分で膨大な入力をこなすか、人からデータ入力や入力内容の審査というサービスを受けないければいけません。このコストは販売価格に転嫁できず、農家負担となります。農家と消費者に負担をかける。これでサスティナブルだといえるのでしょうか?

これまでの私の話で、国際レベルをクリアした全国統一的なGAPでなければ、GAPはGAPとして機能しないと皆さん感じていらっしゃると思いますが、農水省の考えは違います。全国各産地各品目毎にGAPを作成するよう指示が出てしています。狭い日本でやたらGAPを作って何の意味があるのでしょうか?その原資は消費者が納めた税金であり農家の努力なのです。

消費者庁というアイデアもありますが、良い選択とは思えません。食品関係者は、消費者庁の査察が入ったと情報が流れただけで信用を失ってしまい、ダメージを回復することはできないでしょう。また商品は日々種類が増えます。消費者庁の人員は良くてスタート時維持、たぶん人員拡大となるでしょう。この人件費は国民の負担となります。行政コストがかかり、大きな権限を持つ行政組織ができることになります。トータルとしての社会的なコストをかけない方法を模索すべきです。その一つの答えが懲罰的賠償です。

続いて「攻めの農業」に関してですが、「輸出目標1兆円」という言葉が一人歩きしているだけで、政略・戦略のレベルでは誰も考えていないように思えます。日本の農産品で量産、低コストで勝負できるものは私の知る範囲ではありません。日本で取れる農作物は品種改良しかり、栽培法しかり、すべて先人の努力の賜であり、すぐれた知的財産、ブランド品と言えます。それなりの売り方、組織が必要ですが、十分とは言えません。

これに対する有力な答えの一つが「クラブ制販売」です。世界の有力なりんごの新品種は全てこの方式を採用しています。このクラブ制のモデルが確立すれば、どんな果物でも応用が効きます。クラブ制を一言で言うならば、種苗開発から育苗業者、農家、流通、小売りまで同じクラブに会し、クラブ員以外には品物を流さない。上がった利益はルールに従って分配し、ウインウインの関係で全体をサスティナブルなものにしていくということです。我々は弘前大学と研究会を立ち上げましたが、クラブ制の構造を早く解明すべきです。

私が残念に思うのは、日本食は海外に出ていくのに、多くの日本酒は相手国の関税が障壁となり輸出や販路を伸ばすことができません。これを解決していくのは国家の力です。政府の交渉力の問題であって、まだまだ国のやることは残されているのではないでしょうか?また肥料・農薬・トラクターの燃料等、農産物は石油の塊といっておかしくありません。エネルギー問題は農業問題でもあります。これも国家レベルの問題です。

さて、ここで声を大にして言いたいのですが、昨今バッシングされている中国の食品ですが、私ははそんなに安全管理レベルが低いとは思っていません。偏差値50で比べれば確かに日本の方が高いといえます。ところが昨今報道されている中国のひどい業者は、偏差値25といえます。ところが偏差値75のところ同士で比べると、中国の75の方が日本の75より上かもしれません。これは後発メリット、すなわち何もないところから出発したほうが、最新の技術・設備を入手しやすいからです。農産物が自由化された時、我々の競争相手として現れるのはこの偏差値75の業者です。

中国の大手のりんご会社を紹介します。年間選果量は5万トン。この規模の会社が10社あれば青森県の年間生産量を凌ぎます。食の安全関係の国際認証を多数取得しており、我々のりんごはいかに品質が高くても、認証の有無の点を突かれると百戦百敗ということになります。私がこうした話をするのは、前職の工業界で10年前に同じようなことを経験したからです。明日の日本の農業の現場で農業規格の問題が起きない保証はありません。

最後に片山りんごの将来展望についてお話しします。現在の経営面積は16haですが、将来は80haまで拡大したいと思っています。永く、楽しく、面白くりんごをつくっていきたいというのが我々の願いです。その上昇を支えるものは、品質やコスト、GAP、クラブ制販売であり、重要なのは農地集積資金・手法です。

ところが東北の地方銀行は、一般に農業に対して冷淡です。「農業は天災や、豊作貧乏があり、経営が安定しないから貸せない」とよくいわれます。本当でしょうか?平均株価の変動とりんごの平均価格の変動を比べたら、振れ幅の違いはどちらが大きいでしょうか?

これからの日本は人口が減りますから、りんごだけを売っていたのではいずれ頭打ちとなりると思っています。りんごだけでなく、りんご作りの楽しさも日本各地や全世界に発信していこうと思っています。宿泊設備やレストラン、物販、りんご狩りを組み込んだ旅行商品の企画などいろいろ考えていますが、もう既に誰かが手掛けており、片山りんごの社是に少し合わない面があります。

先端を走るということでは、りんごの搾り滓から工業原料のセラミド、ペクチンを取り出す研究を始めています。また、遠い将来のお話になるのでしょうが、地熱を利用して農業に利用できないかと考えています。地熱が難しいのは、今までの技術では高温で高圧の蒸気を得ないとエネルギーとして利用できないからです。青森県に数多くある地場の温泉にエコキュートをつなげて逆回転させれば、50度〜60度のお湯からエネルギーを取り出せるのではないか、エネルギーを濃縮して、いろんな形で利用すれば良いのではないかと考えています。先日会った電力会社の方の話だと、こうした技術は既にあるとのことでした。

ご清聴有難うございました。機会がありましたら、是非私どものりんご園に遊びに来てください。

図3
GAPの原理原則

【会社概要】
社名 片山りんご株式会社
代表者 片山 寿伸
資本金 1100万円
従業員 9名
所在地 〒036-8052 青森県弘前市堅田神田396
TEL 0172-33-7321
FAX 0172-33-7322
URL http://www.katayamaringo.co.jp/