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フォーカスTOHOKU煌めく企業;株式会社北洲

東北経済産業局

株式会社北洲社屋

プロローグ
仙台市内から車を走らせること40分。広大なベッドタウンの一角に風景と調和しながらも洗練された建造物が凛として建っている。研ぎ澄まされたフォルム、墨色と白百合色を基調としたシックな色合いの建物と中庭や回廊とのハーモニーが素敵な空間を演出。日差しの影が作り出す絶妙なコントラストの美しさとも相まってまさに絵になる風景。国内でも珍しい3階建大規模木造建築として同社のDNAと最先端技術が詰まったこだわりの本社社屋。ここから世界基準の、そして本物の、住まいづくりによる“しあわせ”の扉が開かれる。

創業は1958年(昭和33年)。以来、多事多難の中でも商機を捉えて様々な領域へと事業を拡大し商圏を広げている会社があります。その源泉は「愚直さ」と「挑戦」。これからも軸はぶれずに、一方では時代の変化を見据えて“しなやか”に事業や商品を変革していく。果敢に新価値創造に取り組み次世代のスタンダードを切り拓く。今回は住宅メーカー・建設資材販売の「株式会社北洲(宮城県富谷市)」の村上社長に、沿革から、経営戦略、震災対応・国土強靱化、さらには最近のトピックスなど、様々なお話を伺いました。

株式会社北洲 概要

設立

1968年11月(創業1958年3月)

代表者

代表取締役社長 村上 ひろみ

法人番号

5400001006232

所在地

宮城県富谷市成田9丁目2番地2

当省・当局施策との関連(主なもの)

 

インタビュイー

株式会社北洲

インタビュアー

主なテーマ・内容

株式会社北洲社屋村上社長

村上社長

最近のトピックス、本社社屋「北洲プラザ」

最初に、最近のトピックスとしまして、先般の「即位令正殿の儀」並びに「饗宴の儀」にご招待を受けられたと伺いましたが、こちらの経緯と、実際に出席なさってのご感想などをお聞かせください。
村上社長

お招きにあずかりとても光栄なことでした。選ばれた経緯は、むしろ私が聞きたいぐらいなのですが(笑)。日頃お世話になっております方々からご推薦いただきました。実際に皇居に入らせていただいた時は身の引き締まる思いでした。当日、外は大雨だったのですが、始まる少し前の12時50分位だったでしょうか、テレビでもよく言われておりましたが、急に陽の光が入ってきて風も少し止んできて、それで皆さんが“わぁーっ”となりまして、あの瞬間は神々しかったです。ほんとうに感動いたしました。

個人的には「饗宴の儀」は、ひときわ感動いたしました。というのも、私は最前列から2列目におり、天皇・皇后両陛下には目の前までお越しいただきました。恐れ多いのですが、雅子さまの笑顔や立ち振る舞いの美しさが際立っていました。その日は終始舞い上がっていましたね(笑)。

即位令正殿の儀記念品の写真

10月22日と10月31日「即位令正殿の儀」並びに「饗宴の儀」に村上社長がご出席

こちらの本社社屋は、日本でも珍しい3階建の大規模木造建築とのことで、2007年には「ニューオフィス推進賞」及び「東北ニューオフィス推進賞・東北経済産業局長賞」も受賞なさっておられますが、特徴やこだわりをご紹介いただけますか。
村上社長

本社社屋「北洲プラザ」は、2006年5月に落成しております。まだ大規模木造建築が少ない10数年前のことでしたが、自社で設計・施工をして、会社理念が体現された木造建築、そして何より社員が誇りを持てる「道標」となるものをつくろうとしました。独自開発の「ツーバイエイトヘビーティンバー工法」を採用した約1200坪の新社屋は、180mm以上の厚い断熱層を使用。省エネ自動調光システムを採用し、時間や天候に合わせて照度を変更出来る設備を導入しております。一般的なオフィスビルと比べて電気使用量で約50%の省エネを実現したサステナブルオフィスといえます。お陰様で御局からも貴重な賞をいただきまして、ありがとうございました。

株式会社北洲本社社屋と中庭、回廊の写真

本社社屋と中庭、回廊

株式会社北洲本社社屋と紅葉の写真

本社社屋と紅葉

沿革、経営理念・ビジョン、住まいづくりの特徴や強み

御社の沿革や、社名の由来をご紹介ください。
村上社長

1958年(昭和33年)に、岩手県北上市で「北洲ベニヤ商会」として創業しました。創業者は片方 厚夫(かたがた あつお)、私の父です。23歳の時にたった一人で立ち上げましたが、この時は病弱な体でリヤカーを引き、お客さまを回る日々だったと聞いております。以来、資金難の中でも商機を捉え、様々な領域へと事業を拡大し、商圏を広げて今日に至っております。お陰様で今年61周年を迎えました。社名の由来は、奥羽山脈に源流を持つ和賀川と、岩手県を貫く北上川が合流する三角州にあやかり、北国の洲として末広がりに会社が発展することを願って命名したものです。

創業から61年とのことですが、特に経営的に厳しかった時期、出来事は何でしたか、また、それらはどのようにして乗り越えて来られたのですか。
村上社長

私が聞いているだけでも、たくさんの厳しい局面がありました。先代は「経営は意思だ」「経営は長く続けることだ」と常々申しておりました。どんな時でも驕ることなく、良い時も悪い時も変わらずに、ひたむきに努力することを、先代の造語となりますが「絶えず休まず」という座右の銘として掲げてまいりました。

株式会社北洲創業時の写真(写真提供:株式会社北洲)

創業時の写真(写真提供:株式会社北洲)

経営理念やビジョンに込められた思いをご紹介ください。

【経営理念】

  • 一、お客様の健康と家族の幸せを願い「木の家に住みたい」多くの方々に上質な暮らしをお届けします。
  • 一、お客様に「最高のご満足」をいただくため誠意を尽くし、お役立ち対応することが私たちの使命です。
  • 一、お客様とともに、ここに働く私たちとこの会社に関係する人たちが幸福になる会社にします。

経営ビジョン

  • 北洲は次世代のスタンダードを切り拓き、もっとあなたらしい住まいを実現します。
村上社長

3点あります経営理念は、創業の頃より今も変わらずに、ほぼ毎日唱和しています。「お客様に暖かで健康な住まいで幸せになっていただきたい」「お取引先様に本物の商材や情報でお役立ちしたい」、それが我が社の志であり、経営理念にもなっています。ハード、つまりお届けする建物や建築資材だけではなくて、我々社員の働き方、例えば、北洲を選んで良かったと永く思っていただけるような社員のサービスも含めてです。特に経営理念の3つ目が特徴的なのですが、お客様だけではなくて、北洲の社員、その家族、そしてお取引先様や協力会社様も含めての幸福、“三方よし”と言いますか、そういった思いが込められています。この理念に共感して入社する社員も多いです。

経営ビジョンは私がつくりました。我が社は挑戦の歴史であり、世の中の流行り廃りではなくて、これこそがお客様の幸せをつくると強く思うものを、どこよりも本気になって、先駆けてやってきたという自負があります。つまり、北洲の提案するものが10年後、20年後のスタンダードになるという思いです。例えば、樹脂サッシは、1985年当時本州ではほとんど使われていなかったものを我が社がはじめて全棟採用としました。当時は高価な商材で、誰も知らない価値を啓発してきました。東北の寒い冬でも結露がなく、今や高性能住宅には欠かせないものになっています。将来を見据えながらお客様の幸せをつくる、住まいや商品をお届けする。そのためにもお一人おひとりのお客様に真摯に向き合い、お客様が北洲を選んで良かったと心から思っていただける、そのような会社を目指しています。

村上社長の、この業界に入るきっかけ、入社のきっかけ、社長を継いだきっかけをご紹介ください。
村上社長

先ほどもお話しましたが、私の父が創業しまして、小さい時から我が家には朝から晩まで社員が来ていつも会議や食事会をしている環境で育ちました。私は3姉妹の長女なものですから、自然と父の意思を継いでいきたいというようなことは頭の隅にありました。大学卒業後は松下電工(現・パナソニック)に就職したのですが、暫くして我が社に入りました。その後、結婚、子育てもしながら、2005年社長に就任しました。もう父も二人三脚で仕事をしてきた母も亡くなってしまいましたが、良い社風をつくってくれて、多くの良い社員にも恵まれて、そういう意味で私はほんとうに幸せです。

既にいくつかのキーワードは出ておりましたが、住まいづくりに関しての強みや特徴をご紹介ください。
村上社長

「北国に暖かく快適な住まいをつくる」は、創業時から変わらぬ我が社の理念です。創業当時、岩手県の沢内村というところが乳幼児死亡率全国ワーストワンだったんですね。住まいが寒いことが原因のひとつと言われていました。また、創業者である父が、ある時ある人から「岩手の住まいは粗末で寒い」と言われ大変ショックを受けまして、それが1970年代後半のハウジング事業発足に繋がったと聞いています。暖かい住まいで家族が幸せに健康に暮らす、そうした住まいづくりに本気になって取り組んできました。

建材販売を生業としながら住宅建設にも取り組むという、新たな価値創造への挑戦。建材事業を営んでいることでいち早く得られる情報が住宅に活かされ、自ら住宅事業で実践することで、地域工務店、ビルダー様への高い提案力につながります。しかも売り上げがB to BとB to Cで半分半分というのは、業界内でも珍しいのではないかと思います。

その住まいづくりに関して、特に力を入れていることをご紹介ください。耐震構造、あるいは断熱など技術的な強みもいろいろあると思います。そのひとつが「パッシブハウス」(注1)ですね。
  1. パッシブハウス:ドイツでは「パッシブハウス研究所」が規定する性能認定基準を満たす省エネルギー住宅が「パッシブハウス」と呼ばれる。もともとは「パッシブデザイン」=自然エネルギーを最大限に活用する設計手法をいう。
村上社長

耐震構造については、住宅用制震ダンパーなどを、「サステナブル耐震」として震災後の2015年から全棟に標準採用しています。震災のあった土地だからこそ60年も100年も保つ家が必要と考えています。我が社は40年以上前からツーバイフォーで断熱性の高い家づくりを行ってきましたが、それをさらに進化させたのがパッシブハウスです。断熱だけではなく、冬は日射を取り入れ蓄熱し、夏は反対に窓外で遮熱する、自然エネルギーを上手に取り入れながら、高い躯体性能で快適性を実現する、それが我が社のパッシブハウスです。

そして、独自の商品開発にも力を入れています。PCM(相変化物質)を利用した、蓄熱する内装塗り壁材「エコナウォール」や、網戸に遮熱性を持たせた「パッシブフェンスター」など、国内の技術者、メーカーさんにご協力をいただきながら共同開発しました。

「パッシブハウス」は、ドイツのパッシブハウス研究所の性能認定基準を満たした省エネルギー住宅と理解しておりますが、日本は四季がある独特の気候です。そうした日本の気候に合うパッシブハウスという点ではどのようにお考えですか。
村上社長

ドイツのパッシブハウス基準と、我が社のパッシブハウスの仕様とは異なります。ドイツのパッシブハウスが省エネを目的に、断熱を強化し高効率な設備を採用しているのに対し、北洲のパッシブハウスは住み手の健康・快適を実現するために、機械に頼りすぎずに自然エネルギーを利用する工夫、日本の気候風土に合わせた工夫を盛り込んでいます。

本社敷地内に建つ実験住宅「べクサス」(写真提供:株式会社北洲)

本社敷地内に建つ実験住宅「べクサス」(写真提供:株式会社北洲)

経営戦略、産学官連携・協同、ブランディング

業界の現状と今後の展望、そうした中での経営戦略をお聞かせください。
村上社長

日本は労働力人口減少、地方から人・モノ・金がどんどん首都圏に流れており、益々格差が広がっている現実があります。そんな中、B to Bの建設・資材販売はオリジナルな付加価値商材を全国にお届けしたいと考えています。B to Cの新築・リフォーム事業に関しては現エリアに密着・強化しながら、ゆるやかに東北以外にも広げていきたいと考えております。豊かな暮らしをこれからどうつくっていくか、生涯のパートナーとしての役割を果たしていくことで、事業の幅も広がってくると思います。

大学や自治体、企業とも連携をしているとお聞きしました。こうした産学官連携や協同、他社との連携などありましたらご紹介ください。例えば絨毯メーカーとか家具メーカー等との連携はありますでしょうか。
村上社長

産学官連携ということでは、1984年に東北大学の吉野 博教授(現・東北大学名誉教授)と設立した「東北住宅性能研究会」での共同研究に始まり、今では建築・環境分野の先生方とも様々なテーマで共同研究をさせていただいております。特に「プレミアムパッシブハウス(PPH)」に関しては、東北大学大学院工学研究科の小林 光准教授のご協力のもと、少ないエネルギーで快適に暮らすことを実証するために共同で環境測定を行っています。

プレミアムパッシブハウス・外観1(写真提供:株式会社北洲)

プレミアムパッシブハウス・外観1(写真提供:株式会社北洲)

プレミアムパッシブハウス・外観2(写真提供:株式会社北洲)

プレミアムパッシブハウス・外観2(写真提供:株式会社北洲)

プレミアムパッシブハウス・インテリア(写真提供:株式会社北洲)

プレミアムパッシブハウス・インテリア(写真提供:株式会社北洲)

震災後の2013年には、災害に強い街づくりを目的に、宮城県・仙台市・東北大学・民間企業との産学官連携による「エコモデルタウンプロジェクト」として、総務省の補助金を受けながらスマートハウスの研究にも取り組んでいます。さらに、おもしろいところでは、環境省「平成31年度省CO2補助型リサイクル等設備技術実証事業」の補助金を受けて、野村総研さんと東北大学の田路和幸 名誉教授が車載のリチウムイオン蓄電池を住宅にリユース出来ないか、といった研究を行っており、我が社も協力しています。我が社の歴史を振り返ると、それは挑戦の歴史でもあります。失敗を恐れず、新しいことに挑戦していく、そういったDNAをこれからもしっかりと継承してまいりたいと考えています。

また、家具メーカーさんとの連携では、仙台箪笥のmonmayaさんには、我が社のイベントや住宅展示場にてご協力をいただいています。我が社としましては、ものづくりに本気で取り組んでいる会社さんと、これからもどんどん連携して商売に繋げていければと思っています。こうした連携や協同という意味では、漆や家具など、国指定の伝統的工芸品にも大いに興味がありますので、是非、そういった関係者の皆さんが集まる場を御局のお力でつくっていただけるとありがたいです。

最近では、一見すると競合してもおかしくない三菱地所ホームさんとの全館空調システム「エアロテック」の販売に関するアライアンス契約も締結されているようですが。
村上社長

三菱地所ホーム様が、自社の施工エリア外で全館空調システム「エアロテック」のアライアンス事業を開始することを今年5月に発表し、その最初の契約を結ばせていただいたのが我が社です。つい先日も三菱地所ホームの加藤社長が我が社にお越しになられたのですが、北洲の住宅性能なら安心ということをご理解いただき、我が社の志や取り組みに共感いただいた結果としての提携だと思っております。

次に、ブランディング活動についてお聞きします。日本を代表する世界的ジャズギタリストの渡辺 香津美さん(注2)イメージキャラクターのテレビCMが、「仙台広告賞(テレビ部門金賞)」を受賞なさっておられます。この取り組みに至った経緯と社内外での反響をお聞かせください。
  1. 渡辺 香津美氏:ジャズギタリスト/コンポーザー/プロデューサー。名実とともに日本が世界に誇るトップジャズギタリスト。1979年、坂本龍一氏と結成した伝説のオールスターバンド「KYLYN(キリン)」を皮切りに、YMOのワールドツアーへの参加によりその名を轟かせる。洗足学園音楽大学客員教授。
村上社長

ほんとうに皆さんにびっくりされるのですが、以前から親交がありまして・・・。渡辺さんには我が社の家づくりの理念に深く共感いただき、北洲ハウジングのブランドスローガン「グッド・エイジング」を見事に体現いただいています。楽器としてのギターも北洲の家も良質な木が出発点です。そして、共に手を入れるほどに美しさと味わいが増していくといった親和性が高い、こうした音楽と建築の共通項を見いだした結果、あのような斬新な映像、上質な作品が出来たと思っています。オーナー様限定ライブなどにもお力添えをいただいております。社内にも世界最高峰のギタリストである渡辺さんの熱心なファンが多くいますし、スーパースターが我が社の企業活動に関わって下さっていることが誇りに繋がっています。

また、お届けする商品も、店構えも、広告も、そしてこれも大切ですが、社員のお客様対応も、すべてがブランドを構成していると思います。どこから見ても北洲らしさが感じられるよう、一気通貫させて、信用を積み重ねていきたいと思います。

ヘルスケア・健康産業、IoTやAI等の先端技術活用

次に、少し視点を変えてお聞きします。先ほど、「健康と家族の幸せは住まいづくりから」、といったお話もありました。経済産業省施策としてもヘルスケア産業や健康産業に関わっておりますが、こうした分野で具体的に取り組んでいることはありますか。
村上社長

健康寿命を伸ばすために住まいがいかに重要か、ということを調査・発信してまいりたいと考えています。
どうしても健康というと、お薬に頼るとか、塩分だとか、食生活や運動習慣、体の事だけで完結しがちなのですが、温度ムラがない、結露がおきないなど、住環境が、喘息やアレルギー疾患などのいろいろな病気に関係してきます。まだまだ一般の方には知られてない情報も多いと思います。

御社ではリフォーム事業も実施しておられますが、段差を無くすとか手摺りを設置するとか、高齢者向け居住サービス面としての取り組みに加え、(もっと本質的な部分といいますか)さらに踏み込んだところにもしっかりと取り組んでいくということですね。
村上社長

はい。関連しますが、1993年当時、まだほとんどの人がバリアフリーという言葉すら知らない時代に、我が社ではこれからの高齢化社会に対応した指標として、バリアフリーのモデル住宅を業界に先駆けて発表しております。その頃から高気密高断熱の住宅こそがバリアフリーには不可欠だと考えています。

慶応大学の伊香賀教授の調査によりますと、認知症ですとか、脳卒中が室内の温度と関係するそうです。また、昨年11月のWHO(世界保健機関)の報告書によると、寒い時期に、健康を守るために安全でバランスのとれた室温として、18℃が提案されています。実際、イギリスでは18℃以上に保てない賃貸住宅には改修・閉鎖・解体といった厳しい命令を下すことも出来る法規制が存在します。そういった点では、まだまだ日本は室内環境に理解が進んでいないと思っています。我が社は限られた力ですけども、啓蒙することをしっかりとやっていきたいと思っています。

仙台市内のUSUKOエコノハ展示場・外観(写真提供:株式会社北洲)

仙台市内のUSUKOエコノハ展示場・外観(写真提供:株式会社北洲)

仙台市内のUSUKOエコノハ展示場・インテリア(写真提供:株式会社北洲)

仙台市内のUSUKOエコノハ展示場・インテリア(写真提供:株式会社北洲)

近年、情報化技術の進展は著しく第四次産業革命とも言われておりますが、IoTやAI等の技術を活用しながら家庭内の機器を制御し快適な住空間の実現を目指す、いわゆる「スマートホーム」の取り組みはどうでしょうか。
この「スマートホーム」に関しては国際標準化を目指した動きもあって、これら技術の先には家事の省力化やセキュリティー管理にとどまらず、エネルギー使用の効率化といった可能性がもっと広がると思われますが・・・。
村上社長

展示場では、スマートスピーカーを導入し、照明や冷暖房などの家電と繋がることで、より生活の利便性を高めるIoT化には取り組んでいます。国の補助金を利用しての、お客様へのエアコンやドアホン、給湯器、照明の一部をスマートフォンで操作出来る設備の提案実績があります。最先端技術を活用した次世代型のIoTやAI等の活用という点では、これからますます加速していくと思います。

人材確保・育成、技術継承、働き方改革

いま、多くの企業にとっては、新規採用含めた人材の確保がとても厳しい状況かと思われますが、実際、どうですか。また、人材確保のために取り組まれていることはありますか。
村上社長

社員が定着するよう、人事制度を抜本的に変革しました。いま現在いる人も働きやすく、新しく入社する人も活躍しやすいものに整えました。また、休みも完全週休二日制に変えたほか、大工職不足に対応するために社員大工の育成を始めました。当初3名でスタートしましたが、現在は15名、来年にはさらに5名が入社します。

村上社長は人事部のご経験もおありで、何より企業は人なり、「人財」、「人づくり」がとても大切であると伺っておりますが、改めまして人材育成や技術継承についてのお考えや取り組みをご紹介ください。
村上社長

勉強の機会とするため、立候補制ですが課長クラスの人材をグロービス経営大学院仙台校に派遣しており、今年で2年目になります。それから、昨年度ですがグロービス経営大学院の先生に来ていただいて、全正社員向けにクリティカルシンキングの社内研修も実施しています。社員間でプロジェクトをどうやって進めていくかなど、とても勉強になった研修だと聞いています。こうした場を通じて様々なことを学び、スキルを高めて社員に力を付けてもらうことにより、最終的には仕事に反映されると思っています。また、資格取得のための費用を一部会社で負担し、学費については会社の奨学金制度を利用出来るようにしました。

このほか、昨期、創業60周年記念事業としてフランスやドイツ等に、社員200名規模で行ってまいりました。我が社の志に通じる「本物」を目の当たりにして、視座を高める経験をしてほしかったからです。

関連しまして、最近注目されております働き方改革、特にダイバーシティや女性活躍社会、ワーク・ライフ・バランス含めまして、こちらもお考えや取り組みをご紹介ください。
村上社長

我が社では、年齢も性別も関係ありません。社内の様々なフィールドで、その人の持ち味を発揮してほしいと思っています。その中で、子育てや介護が大変でも、継続して働ける環境づくりに努めています。例えば、住宅営業というのは時間が不規則で有りがちですが、ある女性は保育園が休みの日曜日に休みを取りたいということで、本来の火・水曜日の休日を水・日曜日に変更しています。その人が働きやすいように短縮時間にして、尚且つ休日を変更するなど長く働いてもらえるような試みを行っており、実際、育休からの復帰は100%となっています。

株式会社北洲村上社長

村上社長

東日本大震災対応関連、BCP、国土強靱化

東日本大震災時には、その対応に大変ご苦労なさったと思いますが、御社としての具体的な対応と、住む方々より寄せられた声などがありましたら併せてご紹介ください。
村上社長

特に岩手、宮城、福島の一部地域で被害が大きかったと思いますが、ここ(本社)もそうですが仙台の事務所は全部停電しましたので、一旦、本部機能及びサポートセンターを北上本店に移設しました。社員も岩手や宮城に住んでいる者が多いので被災した社員も多数いたのですが、ここは電気やガスは止まったものの、建物自体はほぼ無事でしたので、まずは出勤可能な社員が集まりオーナー様の安否確認を出来るところから行っていきました。その時には、所属関係なく電気がないので紙の名簿を頼りに、電話が開通したところは電話で、電話が開通しないところは近場から訪問して、といったようなことを出来るところから実施していきました。

その後、技術社員が宮城に集まり特別チームを編成し、全オーナー様の点検に回りました。電気が使えるようになると、オーナー様から被災の状況などを当該サポートセンターにご連絡いただく件数が増えてきました。お客さまの声(注3)としましても、たくさんのありがたいお言葉をいただきました。家は冷暖房の設備で暖めることは出来ますが、やはりこうした非常時には家自体の性能が大きいということを、我々としても改めてお客様の声から再認識することが出来ました。

  1. お客様の声〈例示〉:
    • 津波で家ごと流されたが、建物が壊れず家の中にいた主人が助かりました。命拾いしました。感謝しています。
      また改めて家のことを相談したい(宮城県東松島市)。
    • 被災はしたが、家の丈夫な作りのお陰で中に残っていた思い出の品や貴重品を取り出すことが出来ました。
      北洲ありがとうございますという気持ちです(宮城県気仙沼市)。
    • 停電が5日間続き、暖房の無い状況でしたが全く不自由しませんでした。来る人皆、暖かさに驚いていました。
      日中、陽が当たると家の中が17℃くらいになっていました(宮城県仙台市泉区)。
    • 外は1階天井部分まで水が来ましたが、屋内は1階床から2cmぐらいしか浸水しませんでした。
      北洲の気密の良さにはほんとうに驚きました(宮城県名取市)。
    • このような事態になってみると性能が良いことが分かり、今改めて本当に良かったと思っています。
      暖房が無いときに反射式ストーブ1台だけで家中が暖かくなり快適でした(宮城県東松島市)。
    • 周辺はほぼ全壊なのに、建物の歪みもなく、壁の中の断熱材がほとんど濡れていなかったのにはびっくりしました。
      北洲で良かったです(宮城県亘理郡山元町)。
東日本大震災の経験や教訓を踏まえ、新たに取り組まれたことなどありましたら、「BCP(事業継続計画)」も含めてご紹介ください。
村上社長

先程もお話したとおり、繰り返しの地震に強い制震装置をはじめとした「サステナブル耐震」をご提案し、安心感を提供しています。リフォームや建材流通でも木造軸組工法(在来工法)用の制震(耐震)装置をご提案しています。また、BCPの取り組みとしては、例えば、本社機能を分散化しており、サーバーは北上市の本店にも置いていましたのでデータは助かりました。この他にも、今後より一層BCP対策を強化させていきます。

国土強靱化の取り組みとして、内閣府の事例集に御社の取り組みが掲載されております。また、関連し、「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靱化大賞)2015」において、最優秀最レジリエンス賞も受賞なさっておられます。この「国土強靱化」についての使命や役割をお聞かせください。
村上社長

我が社は、2005年より、他社に先駆けて精密機械を使ったインスペクション(住宅検診)を行ってまいりました。その実績が評価されての受賞と大変ありがたく存じます。この検診は、サーモカメラなどを使用しますので、躯体や断熱の状況、筋交いの有無などが分かり、適切な耐震補強・断熱改修を提案することが出来ます。ともすると「国土強靭化」と言いますと、災害時や不測の事態においての対策と捉えがちです。電気が止まった時には勿論対策はするのですが、それだけではなくて通常の暮らし、つまり平時でもきちんと機能し、それが非常時にも活かされるという状態が重要です。

株式会社北洲本社ショールーム(設計紹介コーナー)

本社ショールーム(設計紹介コーナー)

SDGs、ZEH、環境・リサイクル、エネルギー、スマートハウス

「SDGs」(注4)の達成に取り組む企業として外務省のホームページにもご紹介ありましたが、こちらの取組を教えてください。また、その中で当省の施策と関係します「ZEH(ゼッチ)」(注5)についてもお聞かせください。
  1. SDGs(Sustainable Development Goals):2015年9月の国連総会で採択された「持続可能な開発目標」のことで、“持続可能な世界”を実現するための2030年までの国際社会の共通目標を掲げている。17のグローバル目標と169のターゲットからなる。2015年3月に仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」において、仙台防災枠組みとしても採択されている。
  2. ZEH(Net Zero Energy House):住宅の高断熱性能、省エネ設備機器、HEMS(Home Energy Management System)、太陽光発電システム等を組み合わせ、エネルギー消費を上回るエネルギーを自宅で発電し、エネルギー収支をゼロまたはプラスにする住まい。
村上社長

SDGsは、我が社のこれまでの取り組みそのものと言えます。従ってSDGsに取り組もうとして何かやっているという訳ではありません。我が社の元々の世の中への貢献とか、お客さまを幸せにするとか、ヒートショックによる健康リスクを低減する高性能な住まいづくり、ZEH、省エネや環境・リサイクル面からのゴミを出さないサイディングプレカットなど、それら取り組みの全てがSDGsの考え方に合致していたということだと思います。

国では2014年に閣議決定されたエネルギー基本計画において、2020年までに標準的な新築住宅を「ZEH」に、2030年までに新築住宅の平均が「ZEH」になることを目指す、といった政策目標を掲げておりますが・・・。
村上社長

我が社もZEH化率50%を目指しています。ZEHというと、太陽光発電の大容量を搭載してゼロエネルギーにする、と捉えられがちですが、北洲のZEHは躯体の断熱性能を高め、建物自体で省エネを実現したうえで、創エネ設備をプラスするという考え方です。この順番は間違わないようにしたいと思っています。また、最近はイニシャルコスト0円で太陽光発電を搭載出来る「シェア電気」というサービスをご提案してZEH促進をはかっています。

関連しまして、エネルギー、スマートハウスなどの取り組みはどうでしょうか。
村上社長

御局が2010年に立ち上げた、産学官の構成メンバーからなる「東北地域スマートグリッド研究会」に、我が社も実証住宅建設の立場からお手伝いさせていただきました。また、先ほどの、2013年に総務省の補助金を受けて産学官連携で取り組んだ「田子西スマートヴィレッジ(仙台市内)」の住宅建設では、太陽電池(3.84kW)+定置型蓄電池(4.8kWh)+燃料電池(エネファーム)+HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を搭載しました。低コストを意識しつつ、太陽光発電による余剰電力は全て蓄電し夜間に使うなど、エネルギーを有効利用することにより、消費電力を1~2割削減出来るといったシステムになります。

東京国立博物館や世界的なスポーツ祭典への商品納入

御社では、国内で独占販売契約を結んでいるドイツのアルセコ社製外断熱システムが、建設中の東京国立博物館別棟に採用されるとのこと。また、そのほかにもベルギーのユニリン社製床材「ペルゴフロア」が、来年開催される世界的なスポーツ大会の選手宿泊施設で採用されるとのことです。こうしたビジネスチャンスをどのようにして掴んで来られたのか、是非そのノウハウをご紹介ください。
村上社長

商品の素晴らしさを認めていただけたということだと思いますが、社員の地道な営業努力に尽きると思っています。こうした商材事業に関しては、スタート時から成功している訳ではなく、失敗もたくさん、むしろ失敗のほうが多いくらいで大抵は赤字で始まっているのが現状です。ただ、そのような挑戦が出来るのも、業界としては珍しいB to Bが50%、B to Cが50%という事業構成を基にした、自社調達の商材を自社活用出来るという、他社にはあまりないビジネスモデルが確立されているからと思っております。

株式会社北洲本社ショールーム(建設中の東京国立博物館別棟に採用されたドイツ・アルセコ社製の外断熱システム)

本社ショールーム(建設中の東京国立博物館別棟に採用されたドイツ・アルセコ社製の外断熱システム)

東北の持続的な成長・発展のために、各賞を受賞して

宮城・東北を代表する経営者として、今後、東北地域が持続的に成長・発展していくためには、何が必要とお考えですか。また、そのためにもどのような役割を果たしていきたいと考えておりますか。
村上社長

「宮城・東北を代表して」などとは言えませんが、一会社の代表としては、まずは北洲自身をもっともっと魅力ある会社にしていかないといけないと思っています。「お客様の幸せ」のためには、「社員の幸せ」も確立しなければならないと思っています。お客様の幸せがあって、会社の持続的な発展があります。ここ東北にあって、魅力的なおもしろい会社になって、日本全国に発信していきたいです。

御社では、これまでお話のあった以外にも様々な賞を受賞(注6)なさっておられます。まさに多岐に渡る長年のご活躍が評価されてのことかと思います。改めまして、こういった賞をお受けになってのご感想、特に今後の経営等にどう活かしていくのかお聞かせください。
  1. 本編紹介以外の受賞歴:1993年「環境・省エネルギー住宅賞 建設大臣賞」、2007年「第10回七十七ビジネス大賞」、2009年「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリック2008」特別賞、2011年「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリック2010」戸建部門、リフォーム戸建部門 各優秀賞、2013年日本住宅協会「住宅関係功労者」表彰(片方厚夫会長)、2015年「低炭素杯2015 LIXIL最優秀家庭エコ活動賞」、2015年「ジャパン・レジリエンス・アワード最優秀レジリエンス賞」 等々。
村上社長

賞をいただくことは大変光栄でありがたいことです。受賞が、社員のモチベーションや外部からの信用・評価に繋がると思っています。ただ、あくまでも賞は評価されたに過ぎず、そこからいかに多くの方に選んでいただけるか、普及出来るかどうかが大切です。まさに、我が社のビジョンの「次世代のスタンダード」をつくってまいりたいと思います。

2007年に受賞した「ニューオフィス推進賞」ガラス製賞状、「東北ニューオフィス推進賞・東北経済産業局長賞」ガラス製賞状と、2018年に受賞したグッドデザイン賞賞状

2007年に受賞した「ニューオフィス推進賞」、「東北ニューオフィス推進賞・東北経済産業局長賞」と、2018年に受賞したグッドデザイン賞

最後に 夢・挑戦

最後に、村上社長ご自身の夢や今後挑戦したいことは何ですか。
村上社長

不確実で激変の時代では、私自身が一層しなやかでなければと思っています。創業者は「会社は長く続けること」という言葉を常に申しておりましたが、型にはまることなく、変わることもよしとする“しなやかな経営”を行ってまいります。そして、若い社員が成長していく風土をつくっていきたいです。

本日は、貴重なお話をたくさんお聞かせいただきありがとうございました。
北洲オーナー様がつくる街並みの写真(写真提供:株式会社北洲)

北洲オーナー様がつくる街並み(写真提供:株式会社北洲)

取材を終えて

まるで美術館か博物館のような本社社屋にびっくり。最初にショールームを見学させていただいたのですが、同社の歴史や最新技術がパネル、模型、現物等でわかりやすく展示されており、また、村上社長自らのきめ細やかなご説明もいただいたお陰で、インタビュー開始前に記事の完成イメージをグッと膨らますことが出来ました。実際のインタビューでは、当初の予定時間を1時間超オーバーするなか、当方の質問に一つひとつ真摯に丁寧にお答えをいただきました。特にインタビューのコメントで何度もお話のあった、“みんなを幸せに“、“北洲のDNAは挑戦”、“経営はしなやかに”というフレーズは、とても共感出来るものでした。

今回、取材を通じてフォーカスした企業は、まさに未来を先取りし、住まいづくりをとおして東北、日本の豊かな暮らしを支える、実績と技術力を兼ね備えた魅力いっぱいの『煌めく企業』と言えます。お忙しいところ取材に快くご協力いただきました株式会社北洲 村上社長様、社員の皆様に心から感謝を申し上げます。 

(取材班 一同)

このページに関するお問合せ先
東北経済産業局 総務企画部 総務課 広報/情報システム室
電話:022-221-4867(直通)
FAX:022-261-7390
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