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フォーカスTOHOKU煌めく企業;東北・食文化輸出推進事業協同組合(前編)

東北経済産業局

仙台国際空港の写真

写真提供:仙台国際空港株式会社

プロローグ
東日本大震災からまもなく9年。被災地のさらなる復興、
そして無限の可能性を秘めた東北の、輝かしい未来を創るため……。
豊かな食文化を通じ、海を越えた先の新たなマーケットに果敢に挑戦し続ける。
いざ、合い言葉は「東北の食を世界へ!」「TOHOKUを世界ブランドに!」

東北地域の高品質で安全な農林水産物を、「TOHOKU」ブランドの構築によって海外にPRし、世界のレストランや消費者に届けたい。主な役割は、海外向け販売機会の提供、商談機会の提供、輸出貿易実務の代行、代金決済、物流コストの低減など。今回は、東北から新たな食輸出のスタイルを創造する東北初の地域商社「東北・食文化輸出推進事業協同組合(宮城県名取市)」の髙田理事長、事務局の土合(どあい)氏のお二方に様々なお話を伺いました。

東北・食文化輸出推進事業協同組合

設立

2017年4月

代表者

理事長 髙田 慎司

法人番号

3370005009195

所在地

宮城県名取市下増田字南原無番地 仙台空港内

当省・当局施策との関連(主なもの)

 

インタビュイー

東北・食文化輸出推進事業協同組合

インタビュアー

主なテーマ・内容

前編

組合設立の背景や経緯、事業概要、特徴・強み

始めに、御組合設立の経緯を、お二方の関わるきっかけなど含めてご紹介ください。
髙田理事長

もともと私自身は、(海産物流通業の株式会社ヤマナカ代表取締役として)震災後の2014年ぐらいから積極的に輸出に取り組んでおりました。その頃にジェトロさんセッティングの国内・東南アジアでの商談会に参加した際に、たまたま当組合のモデルになった「関西・食・輸出推進事業協同組合」の皆さんとご一緒させていただく機会がありました。その時に、皆さんの凄く一体感を持って商談や催事に臨んでいる光景を目の当たりにしまして、とても素晴らしい取組だと感心しました。

そのことをきっかけに、こうした積極的な活動をしている事業者主体の団体が東北にもあったらいいのにと漠然とした思いがあったまさに同時期に、東北でも輸出組合を作る動きが出てきまして、自ら手を挙げるカタチで喜んで参画させていただきました。

髙田理事長

髙田理事長

土合氏

私は「フィッシャーマン・ジャパン・マーケティング」という企業に勤めています。輸出自体は組合ができる前から単体個社としてチャレンジしていたのですが、一社単独での海外輸出に限界を感じていました。自分たちのものだけでなく「宮城」や「東北」といった括りで一丸となって売っていくことで、様々な広がりを生む面白い仕組みができるのではないかと思っていた頃に、組合の紹介を受けて参画したということがきっかけになります。

なお、組合設立のそもそもの背景としましては、仙台国際空港が民営化されるプロセスの中で、東北の旅客だけではなく貨物ものばすというビジョンがあって組合の構想が出てきたと聞いております。そうした流れの中で、仙台国際空港さんや七十七銀行さんなどで組織する「東北・食のソラみち協議会(注)」が設立され、同協議会の声掛けのもと東北の食品関係の中小企業15社が集まって2017年4月に組合を設立、今日に至っています。同協議会には、海外の情報収集や最適輸送網の構築、貿易リスク対策、ブランディングなど様々な面で支援いただき、連携を図りながら東北地方の食輸出の促進に向けて取り組んでいます。

  • 東北・食のソラみち協議会
    2016年6月30日設立。東北地域の高品質で安心な食品・農林水産物等の輸出を促進する、東北の食文化を広く海外に紹介することによる海外交流を深める、関係機関と連携し、新たな販路開拓となる取組を推進することを目的とする。会員は仙台国際空港株式会社、株式会社七十七銀行、日本通運株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、凸版印刷株式会社。
土合氏

土合氏

事業概要を特徴や強み含めてご紹介ください。
髙田理事長

当組合は、東北から新たな食輸出のスタイルを創造する東北初の団体となります。東北の食品に関わる中小企業が、協同して海外販路の開拓と輸出に取り組む協同組合で、東北地域の高品質で安全な農林水産物・食品を「TOHOKUブランド」として海外にPRし、世界の飲食店や消費者へ届けることを目的としています。地方の中小企業にとって海外輸出は簡単な障壁ではありませんが、チームで乗り越え道を切り開いていこうという活動でもあります。

特徴や強みとしましては、水産、畜産、お酒など、様々な分野の食品のプロが集まり、共同で海外のバイヤーに対して販売提案を行うことができますし、海外からの多種多様な要望・相談にも総合力で対応することが可能です。また、一事業者ではなく団体として活動することで、大口のバイヤーにも総合的な提案を行ったり、また、東北地方の窓口として政府・行政機関からご協力をいただくようなチャンスもあります。

また、普段の活動としては、組合員が情報交換を行う定例会を毎月開催しているほか、海外商談会準備などの目的毎にもメンバーが集まって、熱い議論を交わしています。商談会では、海外のバイヤーに対してどのように商品をPRするかなど、会員同士で意見を出し合って売り込みを行ってきておりますので、個人、個社の知識やノウハウ、海外の人脈や販路などが地域に共有化され、蓄積されることも大きな特徴と言えます。

土合氏

個社で海外輸出に取り組む場合、営業からその後の調査、手続き、書類作成、決済等々をやっていかなければなりません。組合では、これらの煩雑な事務手続きを必要に応じて事務局に任せることができますので、組合員は営業に集中することができるというところが面白い部分でもあり強みでもあります。また、私達の活動を見て「部活動みたいですね」と言われたことがあるのですが、同じ目的のために集まって、厳しさもありつつ常に前向きなチームで、まさに仲間という雰囲気は組合の魅力だと思います。

輸出支援の仕組みフロー(資料提供:東北・食文化輸出推進事業協同組合)

輸出支援の仕組みフロー(資料提供:東北・食文化輸出推進事業協同組合)

活動コンセプト、事業を通じて目指す世界や東北の将来像

活動のコンセプトをご紹介ください。特になぜ「TOHOKUブランド」なのですか。
髙田理事長

海外で商談をしますと、率直に言って東北の食材の知名度が北海道や九州、関西などに比べて低いことを常に実感しています。これは、他の地域がこれまで取り組んできた海外でのプロモーション成果との差とも言えます。これまでの組合活動を通じ多くの海外バイヤーに東北の食材のファンになっていただくことができたのですが、その経験から得られたのが「TOHOKUブランド」の考え方です。

東北には、世界に誇ることができる素晴らしい食材が沢山あります。また、春は「桜」、夏は「山の緑」、秋は「紅葉」、冬には「雪」といった、四季折々の東北の自然と密接に結びついた豊かな「東北の食文化」をブランド化し、そのコンセプトをこれからも発信し続けていくことが、東北の優れた食材を世界へ売り込むための強力なメッセージになるものと考えています。

是非、そういった思いを共有できる東北の事業者様に組合員として参画いただきたいですし、そうした東北全体を盛り上げていこうといったビジョンを、東北の多くの事業者様は持っていらっしゃると確信しています。

土合氏

私は、この活動を通じて、東北が世界の食にかかわる人たちの憧れの場所になる未来を目指しています。海外で確固たるブランドイメージを築きつつある北海道も、1日、2日でブランドになったわけではなくて、何十年も前から海外販路開拓とブランディングを行って今の地位があるのだと思います。

ですから東北も、「東北、東北」と言い続けながら海外への販路作りを地道にやり続けていくことが必要です。また、東北は日本有数の米どころであり日本酒の産地です。加えて海産物も、肉もうまい。果物や野菜も素晴らしいものが沢山あります。例えば、私達がフランスのワインのメッカ、ブルゴーニュ地方やボルドー地方に抱くポジティブな食のイメージ、「ワインだけではなく、たぶんチーズもハムも美味しいよね」と思うように、「豊かな自然と水に恵まれる東北は、米も酒も、海の幸も山の幸も期待できそう……」といった、そういったイメージづくりをこの活動をとおして行っていきたいと思っています。 

UAE・ドバイで開催された「Gulfood2019」に設置された多様な日本産品を売り込むジャパンパビリオンの様子(写真提供:東北・食文化輸出推進事業協同組合)

UAE・ドバイ「Gulfood2019」ジャパンパビリオン(写真提供:東北・食文化輸出推進事業協同組合)

事業の取組を通じて目指す世界や、東北の将来像がありましたらご紹介ください。また、そのためにも御組合として取り組むべき課題などありましたら教えてください。
髙田理事長

ただ「食を輸出」するのではなく、チームで世界に挑戦し続ける行為を通じて東北の経済を盛り上げたいと考えています。そのためにも組合では、「世界の需要を東北に取り込むマーケティングセンターとなる」、「東北の誰もが海外にチャレンジできるプラットフォームになる」、「東北から世界を目指す仲間が集い、刺激し合い、連携するコミュニティとなる」、「そして、東北を世界の食通やシェフの憧れの地とする。」といったことを目指しています。

土合氏

そのためにも、市場を開拓してさらに販路を広げていくことや、安定的な運営基盤・体制を確立する、そして共に世界を目指す仲間、連携機関、支援機関をもっと増やしていく必要があると考えています。

事業実績、主なプロジェクト成果(タイ・独自試飲商談会、東北テロワール)

これまでの事業実績をご紹介ください。
髙田理事長

設立1年目は、先程の東北・食のソラみち協議会さんにリードいただき、海外での経験値を積む目的もあって、海外のイベントに参加し、組合員が持っている商品を催事販売するという活動に重点をおきました。また、タイにアンテナショップを設置し、そこで組合員の商品を販売することにも挑戦しました。

2年目からは方針を少し変え、組合員主導で年間計画を立て、継続的な貿易取引を行うことを目指し商談会やエキシビジョンに積極的に参加しました。組合及び組合員も少しずつ経験を重ね、自ら海外販路を開拓し、輸出を具体化するようになってきました。

現在、組合には、東北各地の水産物、食肉、果物、菓子、日本酒等を専門とする食品関連企業29社が加入しています。商談会では、海外のバイヤーに対してどのように商品をPRするのかなど、組合員同士で意見を出し合って売り込みを行っており、こうした積み重ねで少しずつですが、東北の食文化や食材の特徴を伝えるノウハウも蓄積され、海外での人脈や販路も拡大してきております。

土合氏

これまで営業に取り組んできた国は、アジアを中心に多岐に渡ります。タイ、シンガポール、香港、マレーシア、ベトナムなど、東アジアや東南アジアには設立当初から活動を行ってきましたし、UAEやオセアニアにもチャレンジを行っています。現状、輸出組合単体として一番実績が上がっているのがタイで、冷凍の海産物やイチゴ、リンゴ等の果物、そして酒類などが輸出されています。

また、輸出にあたって必ずしも組合を通さないといけないといったルールにはしておらず、組合活動をきっかけに組合員が直接取引したり、国内商社に国内渡しを行うなどのケースも珍しくありません。まずは、一つでも多くの東北の食材が海外に広まっていくよう、形式にとらわれずに活動しています。

特徴的なプロジェクトとして、「タイ・独自試食商談会」や「東北テロワール」の取組がありますが、こちらの構想のきっかけや成果などをご紹介ください。
髙田理事長

「タイ・独自試食商談会」については、JAPANブランド育成支援事業を活用して2018年から取り組んでおります。東北の事業者だけを集めた試食商談会を組合が主催して行うもので、東北の食文化の発信や輸出拡大はもとより、併せて東北の自然、観光をPRし、東北をまるごと海外に売り込むことを目的としています。東北・食のソラみち協議会さんはじめ、ジェトロ仙台さんや東北各県行政からもご支援、協力をいただいています。お陰様で牡蠣、ホタテ、海藻、イチゴ、リンゴ、酒類等の輸出に繋がる成果が上がっています。

通常の海外商談会や見本市ですと、北海道から沖縄まで日本全国からの参加者が集う中で、東北のブランドイメージを確立し来場者に伝えるには限界があります。なので、東北独自のイベントを開き、東北を目的に来場してくれる人を大事にしよう、東北だけの魅力を発信する場所を作ろうと考えたことが本プロジェクトの取組の背景としてあります。

「タイ・独自試食商談会」での髙田理事長の講演の様子(写真提供:東北・食文化輸出推進事業協同組合)

「タイ・独自試食商談会」(写真提供:東北・食文化輸出推進事業協同組合)

「タイ・独自試食商談会」で笹かまぼこを焼く様子(写真提供:東北・食文化輸出推進事業協同組合)

「タイ・独自試食商談会」(写真提供:東北・食文化輸出推進事業協同組合)

土合氏

「東北テロワール(=東北を味わう)」は、飲料を中心に扱う組合のメンバーが主体となって推進されているプロジェクトです。商品単品で売るのではなく、食や器とのペアリングを楽しんでいただきながら、東北の世界観を面で売る提案の仕方として取り組んでいます。第一段としては飲料を切り口に、プロのソムリエとシェフに監修いただきながらペアリングを考え抜き、東北を丸ごと味わっていただく仕掛けとしています。2019年10月に第1回を仙台で開催し、2020年2月にはドバイでも実施しました。

商品単体で売る場合、似たようなものが並ぶとどうしても価格で判断といった話になりがちです。「東北テロワール」では、作り手のストーリーや、産地が持っている雰囲気や風土をあわせて伝えることで、他と比べられないオンリーワンのものであるということを理解いただき、ブランド価値を保ちつつ、価格も我々が納得するカタチで決めていくアプローチとして取り組んでいます。なお、現在進行形ではありますが、取引先との関係性が良くなったとか、ミシュラン一つ星レストラン(仙台)との新規取引開始、ビンテージワイン通販企業(東京)との新規取引開始などの具体的な成果が出てきております。

「東北テロワール」プロジェクトのPR写真1(写真提供:東北・食文化輸出推進事業協同組合)

「東北テロワール」プロジェクト(写真提供:東北・食文化輸出推進事業協同組合)

「東北テロワール」プロジェクトのPR写真2(写真提供:東北・食文化輸出推進事業協同組合)

「東北テロワール」プロジェクト(写真提供:東北・食文化輸出推進事業協同組合)

今後の事業戦略や活動方針、ブランディング活動・プロモーション

今後の(国内外での)事業戦略や活動方針などについて、ブランディング活動やプロモーション計画含めてご紹介ください。
髙田理事長

先程からお話しておりますように、東北の食材の海外認知度を高め、さらなる販路拡大をしていくために、今後も海外商談会等に積極的に出展していきます。また、これまでの活動を通じた海外バイヤーとの人脈を活かし、バイヤーを東北に招き、産地を巡りながらの試食商談会も企画しているところです。

こうした活動を通じて組合としての輸出量をさらに増やしていきたいと考えており、組合の加入企業を現状の29社から40~50社に増やしていきたいと考えております。また、ブランディングやプロモーションに関しては、これまで組合独自のブランドロゴ作成や装飾ツールの制作に取り組んできましたが、引き続き、東北の価値を伝える手段を考えて参ります。

事業に関して、当面の具体的な数値目標はありますでしょうか。
髙田理事長

コンテナを一つ仕立てますと、詰め込む商材にもよりますが1コンテナあたり大体500万円~600万円の価格になります。これを月一回ぐらいは組合として仕立てたいと考えておりまして、そうしますと12か月で8000万円から1億円となりますのでまずはそこを目指しています。また、組合活動をきっかけに自社での直接輸出や国内商社を活用しての間接輸出に積極的に取り組んでいる組合員もいますので、そういったケースも含めると相当な金額になってきます。

土合氏

今、高田理事長がおっしゃった数字と重なりますが、輸出組合単体では1億円を目指しています。あとは組合の活動をきっかけにして個社で取引をするのは、どんどんやるべきだと思います。いずれにしましても関係する人たちが相当増えてきていますので、どの数字を捉えることが適切かは難しいのですが、そういったケースも含めますと、組合単体の5倍くらいはあるかと思います。

UAE・ドバイで開催された「Gulfood2019」ジャパンパビリオンの東北・食文化輸出推進事業協同組合ブース(写真提供:東北・食文化輸出推進事業協同組合)

UAE・ドバイ「Gulfood2019」ジャパンパビリオン・東北・食文化輸出推進事業協同組合ブース(写真提供:東北・食文化輸出推進事業協同組合)

後編へつづく

このページに関するお問合せ先
東北経済産業局 総務企画部 総務課 広報・情報システム室
電話:022-221-4867(直通)
FAX:022-261-7390
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