中小企業の経営革新について
経済産業省では、「中小企業等経営強化法」に基づき、中小企業者が行う経営革新(新事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ること)を支援しています。
本制度では、事業内容や経営目標を盛り込んだビジネスプラン(「経営革新計画」)を作成し、県又は国の承認を受けることにより、保証・融資の優遇措置、補助金等の支援措置を受けることができます。
本施策を多くの組合、企業等の方に幅広く活用していただくため、法律の特徴、経営革新計画の内容、支援策、計画の承認手続きを紹介いたします。
- ただし、計画の承認は支援措置を保証するものではありません。利用を希望する支援策の実施機関の審査が必要となります。
法律の特徴
1. 全業種での経営革新を幅広く支援
- 今日的な経営課題にチャレンジする中小企業の経営革新(新たな取り組みによる経営の向上)を全業種にわたって幅広く支援します。
2. 柔軟な連携体制で実施
- 経営資源・得意分野に限りのある中小企業の経営革新には、他者との柔軟な連携関係を最大限活用することが不可欠。このため、中小企業単独のみならず、異業種交流グループ、組合、大企業との多様な形態による取組みを支援します。
3. 経営目標の設定
- 事業者において経営の向上に関する目標を設定させることとし、経営目標を達成するための経営努力を促す制度です。
- このため、支援する行政側でも、計画実施中に、フォローアップ調査を行うとともに、必要なアドバイスを行います。
経営革新計画の内容
事業者にとって、新たな事業活動であって、以下の各類型の事業を含むものが新事業活動となります。
- 新商品の開発又は生産
- 新役務の開発又は提供
- 商品の新たな生産又は販売の方式の導入
- 役務の新たな方式の導入
- 技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動
このような「新たな取り組み」については、多様なものが存在しますが、「新たな取り組み」とは、個々の中小企業者にとって「新たなもの」であれば、既に他社において採用されている技術・方式を活用する場合についても経営革新計画としてふさわしいものとなります。
ただし、業種毎に同業の中小企業における当該技術の導入状況や地域性の高いものについては、同一地域における同業他社における当該技術の導入状況を判断し、既に相当程度普及している技術・方式等の導入については承認対象外となります。
経営革新計画の経営目標
1. 経営革新計画の計画期間について
承認の対象となる経営革新計画の計画期間は3年間から5年間です。
2. 経営目標の指標について
申請書の別表1に記載する経営の向上の程度を示す指標としては、「1.付加価値額 又は一人当たりの付加価値額」及び「2.給与支給総額」を使用します。
- 付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費
一人当たりの付加価値額 = 付加価値額 / 従業員数
- 給与支給総額 = 役員報酬 + 給料 + 賃金 + 賞与 + 各種手当
3.承認の対象となる経営目標
それぞれの計画期間終了時における経営指標の伸び率は、次のとおりとなります。
計画終了時 | 「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」の伸び率 (注1)「年率3%以上の伸び率」 |
「経常利益」の伸び率 (注2)「年率1.5%以上の伸び率 |
---|---|---|
3年計画の場合 | 9%以上 | 4.5%以上 |
4年計画の場合 | 12%以上 | 6%以上 |
5年計画の場合 | 15%以上 | 7.5%以上 |
なお、グループによる申請については、承認の判断にあたって、グループ全体を合算した指標を用いることができます。
4. 補助的指標について
別途、売上高、生産高、輸送量等、他の指標も補助的指標として記載することができます。本指標は、各行政庁が行うフォローアップ調査の際などに参考として取り扱うこととなります。
支援策の概要
申請した経営革新計画が承認された場合、以下の支援措置が利用できます。なお、詳しくは、都道府県の担当部局、国(地方機関を含む。)及び各支援機関等に御相談ください。
なお、計画の承認は支援措置を保証するものではなく、計画の承認を受けた後、それぞれの支援機関等における審査が必要となります。
申請者は、計画の申請と同時に希望する支援機関において事前に相談を行ってください。
1. 信用保証の特例
対象者
経営革新計画の承認を受けた中小企業者及び組合等
支援内容
- 普通保証等の別枠設定
「経営革新計画」の承認事業に対する資金に関し、通常の付保限度額と同額の別枠を設けています。
限度額 | 普通 | 別枠 | |
---|---|---|---|
普通保証 | 2億円(組合は4億円) | + | 2億円(組合は4億円) |
無担保保証 (うち特別小口) |
8,000万円 (うち2,000万円) |
8,000万円 (うち2,000万円) |
- 新事業開拓保証の限度額引き上げ
経営革新のための事業を行うために必要な資金にかかるもののうち、新事業開拓保証の対象となるもの(研究開発用)について、付保限度額を引き上げています。- 通常 2億円 → 3億円
- 組合 4億円 → 6億円
計画の承認は支援を保証するものではないので、計画の申請と並行して、関係機関に相談してください。
2. 日本政策金融公庫の特別利率による融資制度
対象者
経営革新計画の承認を受けた中小企業者及び組合等
日本政策金融公庫(中小企業事業)
新事業育成資金 | 新事業活動促進資金 | |
---|---|---|
貸付限度額 | 6億円 | 設備資金7億2千万円 (うち運転資金2億5千万円) |
貸付利率 | 基準利率 -0.65% | 基準利率 -0.65% |
日本政策金融公庫(国民生活事業)
新事業活動促進資金 | |
---|---|
貸付限度額 | 設備資金7千2百万円 (うち運転資金4千8百万円) |
貸付利率 | 基準利率 -0.65% |
担保・保証人 | 希望に応じて要相談 |
計画の承認は支援を保証するものではないので、計画の申請と並行して、関係機関に相談してください。
3. 高度化融資制度
対象者
経営革新計画の承認を受けて、高度化事業に取り組む組合等
支援内容
中小企業者が共同で工場団地を建設したり、商店街にアーケードを設置する事業などに対し、都道府県と独立行政法人中小企業基盤整備機構の診断・助言を受けた上で、長期・低利で融資が受けられるものです。経営革新計画承認グループ事業は、4社以上の任意グループも対象。
- 集団化事業(工場・店舗等の集団化事業)
- 施設集約化事業(建物の共同利用形態)
- 共同施設事業(施設の共同利用形態)
- 設備リース事業(組合員に対する設備のリース形態)
- 企業合同事業
- 経営革新計画承認グループ事業
- 貸付利率
0.35%(2020年度の場合)又は無利子(経営革新計画に基づき高度化事業を実施する組合等は、無利子になります) - 貸付対象
土地、建物、構築物、設備 - 償還期限
据置期間を含む20年以内であって、都道府県が適当と認める期限 - 据置期間
3年以内 - 貸付割合
貸付対象施設の整備資金の80%以内
- 貸付利率
備考
高度化融資を受ける場合には、都道府県知事等による計画の承認の他に各都道府県担当課等が実施する診断・指導を受けることが必要です。
お問合せ先
- 都道府県担当部局
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構 高度化事業部 高度化事業企画課
- 電話:03-5470-1528
4. 食品等流通合理化促進機構による債務保証
対象者
「経営革新計画」の承認を受けた食品製造業者等に該当する中小企業者及び組合等
支援内容
食品製造業者等は、経営革新計画の実行にあたり、金融機関から融資を受ける際に、食品流通構造改善促進機構による債務保証を受けられます。
- 保証限度額
4億円 - 保証料率
食品流通構造改善促進機構所定の料率 - 対象資金
承認経営革新計画の実施に必要な設備資金並びに同事業の維持発展に必要な試験研究費、試作費、市場調査費等の運転資金 - 保証期間
設備資金20年以内(うち据置期間は最長3年)、運転資金5年以内
お問合せ先
- 公益財団法人 食品流通構造改善促進機構 業務部
- 電話:03-5809-2176
5. スタンドバイ・クレジット制度
対象者
承認を受けた経営革新計画に従って、海外展開に取り組む中小企業者及び組合等
制度概要
中小企業者の外国関係法人等が、現地(海外)の金融機関から期間1年以上の長期資金を借入する際に、日本政策金融公庫が信用状を発行しその債務を保証する制度です。本制度により、外国関係法人等による海外での現地通貨の円滑な調達を支援します。
保証限度額
一法人あたり4億5千万円
保証料率
日本公庫所定の料率
保証の対象となる貸付金債権(海外金融機関の融資内容)
- 資金使途
設備資金又は長期運転資金 - 融資期間
1年以上5年以内 - 貸付金債権の相手方(債務者)
経営革新計画の承認を受けた中小企業者(海外支店)またはその外国関係法人等
6. クロスボーダー・ローン制度(株式会社日本政策金融公庫法の特例)
対象者
承認を受けた経営革新計画に従って、海外展開に取り組む中小企業者の外国関係法人等
制度概要
中小企業者の外国関係法人等に対し国内親会社を経由せず、日本政策金融公庫が直接貸付けを行う制度です。本制度により、外国関係法人等の円滑な資金調達を支援します。
対象となる資金使途
設備資金及び長期運転資金
対象となる国、地域
タイ・ベトナム・香港(注1)
対象となる通貨
日本円または米ドル
貸付限度額
直接貸付 別枠14億4千万円(うち長期運転資金は9億6千万円)
融資利率(年)
基準利率 ただし、4億円を限度として特別利率(注2)
融資期間
- 設備資金 20年以内(うち据置期間2年以内)(注3)
- 運転資金 7年以内(うち据置期間2年以内)
保証人
親会社の連帯保証が必要
償還方法・割賦期間
割賦償還 6か月または12か月
- タイ、ベトナム、香港に本社及び主たる事務所が所在する海外現地法人が対象となります。また香港に所在する場合には、資本金等に一定の要件があります。
- 米ドルの場合は貸付期間に応じて一定の利率が加算されます。
- 米ドルの場合は貸付期間が15年以内(据置期間2年以内)となります。
7. 中小企業信用保証法の特例
対象者
海外直接投資事業を伴う経営革新計画の承認を受けた中小企業者及び組合等
制度概要
中小企業者が国内の金融機関から海外直接投資事業に要する資金の融資を受ける際、承認を受けた経営革新計画に従って海外において事業を行う中小企業者及び組合等については、海外投資関係保証を引き上げています。
通常 | 特例 | |
---|---|---|
1企業:2億円 | → | 1企業:3億円 |
1組合:4億円 | 1組合:6億円 |
8. 日本貿易保険(NEXI)による支援措置
対象者
海外展開に取り組む中小企業者及び組合等
制度概要
外国の銀行等が行う海外現地法人に対する融資につき、地銀等の保証に加え、日本貿易保険(NEXI)が海外事業資金貸付保険を付保することで信用補完を図るもの。
保険の対象となる貸付金債権(海外金融機関の融資内容)
- 資金使途
設備資金又は運転資金 - 貸付金債権の相手方(債務者)
中小企業者の外国関係法人等
9. 起業支援ファンドからの投資
対象者
創業又は成長初期段階の有望なベンチャー企業等
出資事業
ベンチャー企業等への投資の円滑化を目的として民間のベンチャーキャピタル等が運営するベンチャーファンド(投資事業有限責任組合)へ中小企業基盤整備機構が出資を行い、ベンチャー企業等の資金調達を支援しています。
支援内容
主に株式や新株予約権付社債等の取得による資金提供、加えて踏み込んだ経営支援(ハンズオン支援)を行います。
お問合せ
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構 ファンド事業部ファンド企画課
- 電話:03-5470-1672
10. 中小企業投資育成株式会社からの投資
対象者
- 「経営革新計画」の承認を受けた中小企業者のうち資本金が3億円を超える株式会社
- 「経営革新計画」の承認を受けた中小企業者によって設立される株式会社であって資本金が3億円を超えるもの
投資事業の概要
中小企業投資育成株式会社は、中小企業の自己資金の充実を促進し、その健全な成長発展を図るため、投資などの事業を行うことを目的とする政策実施機関です。
(原則として、資本の額が3億円以下の株式会社を対象)
支援内容
〈中小企業投資育成株式会社の事業内容〉
承認経営革新計画に従って、経営革新のための事業を行うために資金の調達を図る場合、資本の額が3億円を超える場合であっても中小企業投資育成株式会社の事業の対象とします。
また、本特例制度により中小企業投資育成株式会社の投資事業の対象となった株式会社は、中小企業投資育成株式会社の行う追加投資事業及びコンサルテーション事業等の対象とします。
- 投資事業
- 会社の設立に際し発行される株式の引受け事業
- 増資新株の引受け事業
- 新株予約権の引受け事業
- 新株予約権付社債等の引受け事業
- 育成事業(コンサルテーション事業)
投資育成会社は、その株式、新株予約権又は新株予約権付社債等を保有している投資先企業からの依頼に応じ、効果的育成が図られるよう経営管理又は技術の状況に応じ適切な指導を行う。
お問合せ先
- 東京中小企業投資育成株式会社
- 電話:03-5469-1811
11. 販路開拓コーディネート事業
大規模なマーケットである首都圏、近畿圏の市場をターゲットとした、経営革新計画承認企業等の販路開拓を促進するため、中小企業基盤整備機構(関東本部・近畿本部)に、商社・メーカー等の企業OBを販路開拓コーディネーターとして配置し、新商品・新サービスを持つ企業のマーケティング企画から首都圏・近畿圏を舞台に想定市場の企業へのテストマーケティング活動までを支援します。
対象者
経営革新計画の承認を受けた中小企業者、または、首都圏・近畿圏を市場とする優れた新商品・新サービスの販路開拓を目指す中小企業者等
12. 新価値創造展(中小企業総合展)
対象者
自ら開発した製品・技術・サービスを保有し、ビジネスマッチングを希望する中小企業・ベンチャー企業応募者の中から書面審査により出店者を決定します。
制度概要
新価値創造展は、中小企業・ベンチャー企業が自ら開発した優れた製品・技術・サービスを展示・紹介することにより、販路開拓、業務提携といった企業間の取引を実現するビジネスマッチングの機会を提供するイベント(展示会)です。
詳細は以下の新価値創造PORTALを御確認ください。
経営革新計画の申請
申請窓口については、以下の一覧表のとおりです。個別中小企業者による申請の場合、申請窓口については、以下のとおりです。なお、詳細については各都道府県または国(地方機関を含む。)の担当部局へお問合せください。
- 申請書様式(令和2年12月28日改正版)【様式添付】(PDF形式:145KB)
- 申請書様式【変更】(令和2年12月28日改正版)【様式添付】(PDF形式:37KB)
個別中小企業者による申請の場合
申請者 | 本社所在地 | 事業場所 | 申請先 | 分類 |
---|---|---|---|---|
1社単独の場合 | A県 | A県またはA県以外で活動 | A県 | 都道府県承認案件 |
複数社共同 (代表1社) a社(代表) b社 c社 |
A県 (代表a社の本店がA県に存在) |
A県またはA県以外で活動 | A県 | 都道府県承認案件 |
複数社共同 (代表3社) a社(代表) b社(代表) c社(代表) d社 e社 ・ ・ |
A県 (代表a、b、c社の本店がすべてA県に存在) |
A県またはA県以外で活動 | A県 | 都道府県承認案件 |
A県・B県・C県 (a社の本店がA県、b社の本店がB県、c社の本店がC県であってABC県とも同一地方支分部局管内の場合) |
A県,B県、C県またはそれ以外の県で活動 | 各省庁の地方支分部局 | 国承認案件(地方支分部局承認案件) | |
A県・B県・C県 (a社の本店がA県、b社の本店がB県、c社の本店がC県であってABC県が同一地方支分部局管区域を越える場合) |
A県,B県、C県またはそれ以外の県で活動 | 各省庁の本省 | 国承認案件 (本省承認案件) |
組合等による申請の場合
申請者 | 本社所在地 | 事業場所 | 申請先 | 分類 |
---|---|---|---|---|
1組合単独の場合 | A県 | A県内で活動 | A県 | 都道府県承認案件 |
A県、B県で活動 | A県を管轄区域に含む地方支分部局 | 国承認案件 (地方支分部局承認案件) |
||
全国 | 本省 | 国承認案件 (本省承認案件) |
||
複数組合等その他共同の場合(代表1名) a組合等(代表) b組合等 c組合等 d社 e社 f社 |
A県 (代表a組合等の事務所(本部)がA県に存在) |
代表a組合等がA県内で活動 | A県 | 都道府県承認案件 |
代表a組合等がA県、B県で活動(A県、B県とも同一の地方支部部局管内の場合) | 当該地方支分部局 | 国承認案件 (地方支分部局承認案件) |
||
代表a組合等 がA県、B県 その他で活動(一の地方支部部局管区域を超える場合) | 本省 | 国承認案件 (本省承認案件) |
お問合せ先
東北経済産業局 産業部 経営支援課
電話:022-221-4806
東北各県
青森県商工労働部地域産業課
電話:017-734-9373
岩手県商工労働観光部経営支援課
電話:019-629-5543
宮城県経済商工観光部中小企業支援室
電話:022-211-2742
秋田県産業労働部地域産業振興課
電話:018-860-2225
山形県産業労働部中小企業振興課
電話:023-630-2359
福島県商工労働部産業創出課
電話:024-521-7283
お問合せ
- 産業部 経営支援課
- 電話:022-221-4806
FAX:022-215-9463