伝統工芸品は、その主要工程が手作りであり、高度の伝統的技術によるものであるため、その習得には長い年月が必要とされます。また、生活様式の変化に伴い、伝統的工芸品の需要が低迷していることなどにより後継者の確保育成が難しく、業界全体の大きな課題となっています。
この課題に対処するため、一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会(伝産協会)において、経済産業大臣指定伝統的工芸品及び工芸用具または工芸材料の製造に従事する技術者を対象に製造技術と知識について昭和50年度から「伝統工芸士認定試験」を実施し、合格者を「伝統工芸士」として認定しています。
なお、受験資格は、当該伝統的工芸品等の製造に現在も直接従事し、12年以上の実務経験年数を有している者としています。実務経験年数には、専門養成期間の修得期間が含まれます。
・「日本の伝統工芸士」 一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会ホームページ
認定登録を受けた伝統工芸士は、「伝統工芸士認定事業実施要領」により当該産地伝統工芸士会を結成し、同会に入会するとともに、伝統工芸士相互の交流及び活動を通じ、当該産地振興に努めなければければならないと定められています。
また、産地伝統工芸士会は、日本伝統工芸士会に加入することが義務付けられています。
2021年度までに約3,600名の伝統工芸士が認定され、後継者の育成や教育現場での普及活動などで活躍しています。
日本伝統工芸士会は、全国の伝統工芸士が一体となり、伝統的技術保持者としての自覚を高め、その社会的地位の向上に努めるとともに、親睦と情報交換を行うことにより、伝統的技術・技法の継承・向上を図り、我が国の伝統的工芸品産業の振興に寄与することを目的として昭和56年に設立されました。目的を達成するための事業として全国伝統工芸士大会及び日本伝統工芸士会作品展の開催などを行っています。