RESTART TOHOKU -再挑戦の価値が認められる社会を、東北から-

祖業の菓子食品卸売業を基幹事業として再構築、その基盤と 「挑戦する人財」戦略が導く「未来を切り拓く企業」への成長

渋谷レックス株式会社

代表取締役社長 渋谷裕司氏

入社とともに、噴出する多くの経営課題に向き合う日々

 当社は福島市に本社を置く菓子食品卸売業として、創業70年以上の歴史があります。現在専務を務める弟と共に2004年にこの会社に入ったのは、父の病がきっかけでした。
 当時の経営状況は、地域商店の衰退や卸売業の構造変化の影響もあって売上げも減少傾向にあり、売上確保には廉価販売を強いられるなど利益確保が困難となっていました。また、財務面では、連続の赤字計上や過去の借入金の負担が重くのしかかっていました。加えて、社内的には社員のモチベーション、モラルについての課題も大きく、「人財」についての問題意識を持つきっかけとなりました。
 こうした多くの課題を同時に抱える状態のなかで、私が社内の経営管理全般、弟が営業・外交を担当し、経営改革と新規顧客の開拓を担い、会社を建て直すという強い覚悟と熱量を共有し二人三脚で経営の見直しを進めてきました。特に、社内の業務管理体制の構築や収益の上がらない取引先から新規顧客への移行を精力的に進めてきました。これまでの経営方針の違いについてこれず辞めていく従業員もいましたが、対話により会社の方向性の理解に努めてきました。 

経営改善計画の取組みは、経営を見直す機会となり、資金繰り改善で経営に専念

 こうした取組みにより経営改善も前進しましたが、2011年の東日本大震災の被災もあって、資金繰りが多忙となりました。金融機関には毎月通って信頼関係を築いてきましたが、メインバンクからは再生支援協議会(現:活性化協議会)を活用した支援を通じて、当面の資金繰りを見直すことで経営に専念してはどうかとの勧めがあって支援を受けることになりました。
そして、協議会の支援を受けながら事業計画を策定し、金融機関とはバンクミーティングを重ねました。特に、事業計画書の作成や財務・事業のデューデリジェンスによって専門家のアドバイスを受けて、自社の強みや弱み、事業ごとの収益性などの詳細な分析が行われたことは、現在の事業活動の上でも活かされ続けています。
 また、バンクミーティングで事業計画と資金繰りを自分の言葉で説明できるようになったことで、経営に対する理解が深まりました。これまでは事業をどのように展開するかを考えてきましたが、経営とは何か、今後の目指す姿などを改めて考えることで視野も広がったと感じています。
 一方で、事業計画では事業ごとの採算性が重視され、赤字状態にあった本社隣接地の小売店舗の廃止も課題の一つとなりました。この小売店舗は当社の取扱い商品に直接触れてもらうアンテナショップの役割を担っていましたので、何とか残したいと考え、取扱商品の見直しなど収益改善策を模索し、残すこととしました。
 その後は一定の収益を確保できる事業となっており、当時、この店舗を残したことは、当社の基幹事業たる菓子食品卸売業の基盤維持の観点や、その後のEC事業の展開にも必須の事業であったことからも良い判断だったと思います。こうして経営改善に取り組んだ結果、当面の資金繰りも緩和され、経営に専念できる時間も確保できたことで、その後の戦略事業への足がかりになったと思います。

企業風土の改革と人財育成による成長への足がかりを構築

 当社の経営改善は、入社以来の長期に亘る取組みでしたが、その間には今後に向けた様々な取組みを並行して実施してきました。
特に重視してきたのは「人財」への投資です。当社が取り扱う商品は差別化も困難であり、価格競争にさらされやすい業態ですが、そこに新たな価値を提供するのはなんと言っても社員の能力・アイディアによるパフォーマンスの発揮です。その社員が働きやすく、働きがいを持てるような社内制度とするよう工夫し続けています。
 社員の成長を促す評価制度や全社員の総合職化(事務職も他事業部門を兼務)やプロジェクトの兼務体制により、皆が企業価値を生み出す主役となり得る環境形成を目指してきました。その結果、社員も業務が多忙となりますので、バックオフィス等、様々な業務分野でDX/デジタル化やシステムツールを導入することで生産性の向上を図っています
 また、担当や職責を超えたコミュニケーションの活性化と社員がより軽快に働ける環境を目指してオフィスのリモデルを行ってきました。そのアイディアも社員が持ち寄ったもので、多くの社員が顔を合わせる機会を意識しつつ、様々なグループワークを可能としています。この取組みは「日経ニューオフィス賞」を二度受賞(2023年:本社1階、2025年:本社2階のリモデル)するなど高い評価を得ました。
さらに、「人財」の獲得には採用も重要です。この間、若手社員の発案もあってラジオ番組など社員がワクワクできる取組をSNSで発信してきました。その効果もあって、現在は県外や遠隔地からも応募があり、当社を選んでくれる方の採用への好循環につながっています。

新たな事業戦略による「チャレンジする風土の継承へ」

  事業の先行きについては、祖業としての菓子食品卸売業の重要性は意識しつつも、各地から仕入れて県内の小売り先に販売する事業は、差別化も難しく価格競争に陥りやすいことや取引先の拡大にも限界も感じておりました。今後の事業展開を考え続けるなかで、2010年に、たまたま知人の紹介で中国の展示会にサンプルを持って参加したところ、日本のお菓子を買いたいとの大きな反応に驚きと手応えを感じました。これを機に海外展開を模索しましたが、なかなかうまく進まない中、中国向けベビーフードの共同企画の話が舞い込み、自社ブランドによるプロジェクトが立ち上がったのです。これは私にとっても大きな挑戦となる事業で、その後数年、この事業を足がかりとして取扱い商品や販路が拡大、売上げも大幅に増加しました。経営改善計画の最中、資金的な余裕もない中で最低限の経費で立ち上げた事業が収益改善にも大きく貢献し、3年計画の財務改善の目標を2年目で達成し卒業を果たしました。この挑戦と成功が「地方の卸売りは地域内の取引しかできない」と思う社内のマインドを打ち破り、当社の「チャレンジする風土」のスタートにもなりました。
 海外事業はその後も多くの人との出会いを通じて、輸入による国内販売や、海外での自社商品の企画製造などにもつながっており、当社の戦略事業の大きな柱となっています。
 このほかにも新たな事業展開として、県内自治体の町おこしで始まったハバネロを原料としたビジネスでは、当社の販路の拡大とともに産地での増産につながっているほか、ECビジネス、タレント事務所との契約によるプロモーション事業、在日イスラム教徒向けビジネスとして、インドネシア料理であるBAKSOの製造、それらの食材を使った飲食店の展開など、様々な戦略事業を立ち上げてきました。また、基幹事業の菓子食品卸においても社員が新市場の開拓を行うなどにより、私達が入社したときの売上げから数倍に拡大しており、当社の掲げる中長期ビジョンの「チャレンジする風土の継承」への足がかりが築かれています。

すべての人がワクワクする会社を目指して

 これらの事業が拡大できたのも、各業務を担当する「人財」が経営方針を理解しながらホップ、ステップ、ジャンプと成長し、十分なパフォーマンスを発揮してくれていることによります。また、決して売上規模拡大を追うことなく、損益管理を十分に行いながら事業化を図っています。基幹事業と戦略事業のバランスにも気を配っており、そうした管理手法や経営方針は過去の経営改善の経験で得たことが活かされています。
当社の創業は祖父母の時代ですが、当時、他者が手がけなかった事業をゼロから立ち上げた創業精神には深い敬意をもってきました。その後、様々な経緯を経てきましたが、当社がこれまでに地域において信頼を得てきた菓子食品卸売業はしっかりと基幹事業として位置づけ、その基盤、経営資源を最大限に活用した戦略事業も育ってきました。 今後とも、社内の活発なコミュニケーションのもとで生まれるアイディアを事業化することで、中長期ビジョンとして掲げた「チャレンジする風土の継承」を行動理念とし、社員や取引先様、その先のお客様まで、すべての人がワクワクする会社を目指して邁進して参ります。

会社概要

渋谷レックス株式会社

事業内容/ 菓子食品の卸小売・輸出入・市場開発・商品企画・EC企画運営・食品製造・飲食店運営

代表/ 渋谷裕司

設立/ 1957年(創業/ 1951年)

所在地/ 福島県福島市北矢野目字戸ノ内1番地

電話/ 024-553-0548

ホームページ/ https://shibuyarex.com

お問合せ

東北経済産業局 産業部 中小企業課

〒980-8403 宮城県仙台市青葉区本町3-3-1
TEL: 022-221-4922
MAIL:bzl-tohoku-shokei@meti.go.jp