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震災危機を転機と捉えた経営ビジョンとV字回復を支えた地域内外ネットワーク

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小野食品株式会社

代表取締役 小野昭男氏

直販事業の急速な成長を支えた " つながり " 支援機関や外部パートナーに学ぶ姿勢 

 家業を承継した当初は、学校給食や外食向けの冷凍食品製造・販売が主力の地域企業で、業務用食品の売上が全体の7割を占めていました。2000年代には世界の工場として台頭した中国との価格競争もありましたので、高付加価値化とBtoBからBtoCへの事業転換を目指して冷凍煮魚料理の通信販売事業を始めました。通販の仕組みについてはほぼ独学でしたし「冷凍でも美味しい煮魚」の味を探るために、有名割烹に自ら出向いて料理を研究する日々を過ごしました。ある時経営塾で知り合った専門家から、事業の方向性等の検証のために「まずは地元でテストマーケティングしてはどうか」とアドバイスをもらい、さっそく工場直売所を設けて直売会を開始。直売会を通してお客様のニーズを知ることもできましたし、2009年から導入した定期コース制の顧客は、震災直前の2011年2月には5,000人を記録するなど軌道に乗り始めていました。
自分は現場のことはよく理解していますが、マーケティングについては素人でしたので、外部専門家やセミナーなどから学び取りました。ビジネスチャンスを待つのではなく、積極的に勉強会などに参加することで、自社に必要な人材との出会いも生まれました。良き外部パートナーと出会うためには、常に中長期のビジョンを描いてアンテナを張っていることが大切です。
東日本大震災が発生したのはそんな時でした。大津波の直撃で釜石本社工場が半壊、開業して1か月足らずの新工場が全壊するという甚大な被害を受けました。被害総額は4億6000万円ほどです。

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津波被害で2つの工場と販路を喪失、被害総額4億円超から早期復旧を実現

 被災から1週間後には前に進むことだけを考えていましたので、工場再稼働予定日として震災から100日後の6月14日に大きな赤丸をつけました。雇用を守るためにも工場の再建が一丁目一番地でしたが、行政のサポートを待っていてはどうしても間に合わないため、自分たちで本社工場の復旧作業を進めました。国のグループ補助金も活用して、震災発生から101日目には事業を再開させて、従業員を呼び戻すことができました。ただいち早く工場を復旧させたものの、2か月経過しても得意先から注文が入ってきません。どうやら震災で工場が止まっている間に、同業他社に乗り換えていたようでした。販路や物流が崩壊してしまった以上、戦略を切り替えるしかない。そこで事業の選択と集中を行い、震災前に伸びていた消費者とダイレクトにつながる直販事業に一気に注力することにしたのです。
震災後に早期事業再生を果たせたことにはいくつかの要因があります。ひとつは津波被害で皆が大変だった時に、まずは大切な従業員に再建のビジョンを示したこと。密にコミュニケーションをとることで信頼やモチベーションを保って事業再建へとつなげることができました。財務面で言うと、震災当初は地方銀行も厳しい対応でしたが、日本政策金融公庫が返済を猶予する柔軟な対応をしてくれました。おかげで震災後も返済を滞らせることなく、金融機関の与信を保つことができました。そして、工場再建後に直販事業の売上げを加速させた大きな要因が「外部専門家や外部パートナーとの連携」にあります。
直販事業については、外部専門家を交えた財務管理の見直しとマーケティング戦略の強化を行っていきました。震災後は新聞やテレビなどのメディア効果もあって多くの注文をいただきました。ただ、当時は商品の統一化ができていませんでしたので、カスタマー対応やピッキング業務に負担がかかってしまうことに。また当時は顧客管理システムも表計算の手入力でしたので、これからの市場拡大を見据えて「ピッキング業務のアウトソーシング」と「顧客管理システムの導入」を行いました。広告戦略の見直しなども功を奏して、震災前は総売上の11%ほどだった直販事業が、2012年度には50%を超えていきました。総売上高も2012年度は13億円、2014年度には20億円前後へとV字回復することができたのです。

震災を乗り越えた経営者が重要視する、平時のチェックポイントと人との交流

 おかげで現在は年商53億円で直販事業が売上の7割を占めるまでに成長することができました。やはり財務管理の指標としてあるのが「キャッシュフロー」です。市場の変化も見据えて5年・10年のプランを作りながら進めています。これは今も昔も変わりません。例えば漁獲量の変化による価格高騰が起きたら、自社の戦略を変える時なのだと思います。私は積極的に地域内外問わず異業種交流していますので、戦略変更に必要な専門家とも比較的にすぐつながることができます。今は社長自身が全て意思決定するのではなく、次世代の人材育成にも力を入れています。積極的に必要な人材をスカウトして、あえて若手社員には外部専門家との協働する機会を作るなど、失敗を恐れずにチャレンジさせる方針で、あらゆる環境変化にも対応できる持続可能な経営体制を目指しています。

会社概要

小野食品株式会社

事業内容/ 食料品製造業

代表/ 小野昭男

設立/ 1988年

電話/ 0193-23-4675

ホームページ/ http://onofoods.com/

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お問合せ

東北経済産業局 産業部 中小企業課

〒980-8403 宮城県仙台市青葉区本町3-3-1
TEL: 022-221-4922
MAIL:bzl-tohoku-shokei@meti.go.jp