【青森県】横浜なまこ

陸奥湾の代表的な珍味。古くから貴重な外貨獲得資源として輸出もされていました。
登録情報
横浜なまこ 商標登録第5788939号
権利者
横浜町漁業協同組合
商品の区分並びに指定商品
第31類:青森県陸奥湾の横浜町沿岸で水揚げされたなまこ(生きているものに限る。)
出願日
2013年8月21日
登録日
2015年8月28日
連絡先
横浜町漁業協同組合
住所:青森県上北郡横浜町字下川原112番地1
電話:0175-78-2006
商品の紹介
貴重ななまこ
横浜なまこは、1年で年末の3から4日間だけ、1日1時間前後の合計3時間しか漁獲が許されない貴重ななまこで、陸奥湾の珍味として珍重されています。江戸時代から高級品として、 幕府の貴重な外貨獲得のための主産物のひとつでした。特に、いりこ(なまこを煮上げて乾燥)は、ふかひれ、干しアワビと並ぶ清国(中国)向けの代表的な輸出品でした。水揚げした なまこを樽に入れる風景は、古くから冬の風物詩になっています。
江戸時代から外貨獲得の重要産品
江戸時代初期の横浜町は、外貨を獲得するための重要な産品である「桧山」「柏木皮」「いりこ」で大いに栄え、他国の船の出入りもあったと記録に残っています。昭和以降は、生食に 最適な柔らかいなまことして、高値で取引されてきました。青森では、お正月料理になまこは欠かせない食材であり、昔は水揚げされた後、ヒバの木でつくられた樽に詰められて保存していました。 そうすると日持ちがして、ますます味が良くなったそうですが、残念ながら時代の流れとともにヒバ樽はプラスチック製の樽に取って代わられています。
資源を守るための厳しい管理
横浜なまこが育まれる陸奥湾は、太平洋・日本海・津軽海峡の三方を海に囲まれた豊饒の内湾です。横浜町周辺の沿岸は、石場が集まっている場所があり、なまこにとって穏やかな環境で
育つため身が柔らかく、歯ごたえが良いのが特徴で、普通よりひと回り小さい「中なまこ」です。
近年、輸出用のなまこは別名「黒ダイヤ」と言われるように高騰しています。特に、中国の経済発展により需要が増加していることが大きな要因です。そのため、なまこの漁獲圧が高まり、
なまこ資源の枯渇が危惧されるようになりました。
横浜町では、貴重ななまこ資源を守るため禁漁区を設けるとともに、12月の年末、凪の状態の3日間、1日1時間前後しか漁を許可していません。なまこ漁は早朝から漁獲船が沖合400から1000メートルの
漁場で、通称「八尺」(240メートルの長さにちなむ)と呼ばれる桁網で海底を掘り起こすという方法にで行われます。漁港が水揚げしたなまこの入った樽でごったがえす風景は年末の風物詩です。
「横浜なまこ」ブランド化の軌跡
なまこの産地として全国有数の青森県では、主に身の暑い「青なまこ」が陸奥湾全域で捕れますが、水揚げされたなまこのほとんどは、塩蔵や乾燥処理をされ、中国等へ輸出されています。
横浜町産のなまこは品質でも世界位置と評され、他産地よりも肉質が柔らかなため、生食に適しています。そのため輸出用ではなく生鮮で国内に流通しています。生食用として出荷しているなまこは
日本でもあまりないことから、それだけで非常に貴重なブランドとして認められてきました。
一方漁協では、横浜町産のなまこの食感の違いを強みとして、他産地との差別化を図り、価格安定を目的に、平成25年に地域団体商標の出願を行いました(平成27年登録)。こうしてブランド化
することで販路が広がりましたが、一方で漁獲制限があるため嬉しい悲鳴を上げています。漁業者と漁協は、町内商工団体と連携して「横浜なまこフェア」(毎年12月の数日間)を開催し、横浜なまこの
PRを図っています。
12月には「横浜なまこフェア」へ
横浜なまこは漁獲期間が極めて短いため、入手できる期間と量が限られています。「横浜なまこフェア」では、なまこをふんだんに使った「横浜なまこ丼」などの料理が今日されます。また、町内にある
観光施設トラベルプラザ・サンシャインのレストランでもなまこ料理を食べることができます。
このほか、道の駅「菜の花プラザ」でも日にち限定で販売されますが、内容量は1キログラムで時価での提供となっています。道の駅のオンラインショップもありますが、12月限定の完全予約制となっています。
 
文章引用:2017年2月発行 東北経済産業局知的財産室編「きらり!TOHOKU 地域ブランドコレクション」