
秋田県
秋田杉桶樽
主な産地

指定年月日
昭和59年5月31日
歴史
秋田市寺内にある高清水公園内の秋田城遺跡から、15~16世紀のものとみられる桶と榑の底板、取手類が発掘されています。 慶長17年(1612年)秋田藩家老「梅津政景日記」に、旧雄勝町の酒屋で桶が使用されていたという記録が残っています。旧角館町の青柳家には、文久年代(1830年)の手桶、おひつ、岡持が残っています。これは溜塗りで銅たが、竹たがが使われています。形状は現在のものと同じです。
特徴
秋田杉を使った桶樽の歴史は古く、秋田城からは平安後期と推定される桶が見つかっています。
江戸時代の亨保年間には佐竹藩の保護のもと産地が形成、大量に生産されました。
桶は柾目の材料を使い、竹・銅たがなどで締め、木底をはめた器で、おひつなどのように固定した蓋のないものをいい、樽は主として板目の材料を使い酒樽など固定した蓋のあるものをいいます。
特に、天然秋田杉は年輪が揃っていて木目が細かく美しく、香りも良く収縮が少ないため狂いが生じにくい特徴があり、秋田杉樽桶の木のぬくもりは、生活に潤いと豊かさを与えてくれます。
産地PR・最近の取り組み、課題など
秋田杉の桶や樽の製品は、秋田杉の香り、木目の美しさ、水分や塩分の調節等の独特の長所を、技術を受け継いだ熟練した職人が、特徴を手作業で最大限に引きだし、一つ一つ丹念に心を込めて作っております。
製法や工程について
製造工程
丸太から柾目板、板目板、の榑(短冊状の小幅の板)を作り、榑に外銑、内銑をかけて外形を整えます。
輪状に榑立てしたものに、たがをかけ、底や蓋をつけ、木地をみがいて、合成樹脂塗料、柿渋などで仕上げます。製造工程は6工程に大別されます。

木取り
天然杉の丸太を中心からミカン状に割り、ナタで木片(くれ)を作り、90~100日間、自然乾燥させ、さらに30日間、人工乾燥させる。

銑(せん)かけ
「ウマ」と呼ばれる作業台にまたがり、銑という両手持ちの刃物で木片を寸法にあわせて削っていく。
正直突き
正直(しょうじき)という大きなかんなで木片を削り、「けがた」という手製の定規でアールと角度を正確に測り整える。
手割りの木片は、一枚一枚幅が違うが、17枚~18枚でピタリと桶の形になるように仕上げる。

くれ立て
仮たがをはめて桶の形を整える。

かんな仕上げ
両足を桶で回しながら外丸かんなで内側を削る。
罫引き(けひき)を使い、底板を入れるための溝を入れる。
台に掛けて外側を内丸かんなで削る。

たがかけ・底入れ
たがは真竹と呼ばれる竹が良い。竹は丁寧に削り、表面なめらかに仕上げる。
たがをはめ、底板を入れて、当て木を添えて木づちでたがを打ち込み入念に締めていく。

完成
全体がやさしい曲線で仕上がっている。
食卓がテーブルと椅子に代わった現代の生活様式に合わせ、おひつの高さも低くなってきている。
ふたは2、3重にして保温性を高めている。
技術・技法
- 榑の木取りは、次の技術又は技法によること。
- 「寸甫割り」は、割り楔を用いて丸太の末口から割ること。
- 「巾割り」及び「小割り」は、「目切れ」のないように行うこと。
- 荒削りした後、充分に乾燥させること。
- 「罫形」及び「正直台」を用いて「正直突き」をすること。
- たが作りは、次のいずれかによること。
- 竹たがにあっては、次の技術又は技法によること。
- たがに使用する竹は、「寒切竹」とし、「竹磨き」は、「甘肌」部分を残すこと。
- 「身仕上げ」及び面取りをすること。
- たが編みは、「ねじり編み」又は「ぐみ編み」とし、巻数は、5巻き以上とすること。
- 銅たが及び真鍮たがにあっては、「重ね継手」又は「組み込み継手」によること。
- 竹たがにあっては、次の技術又は技法によること。
- 組み立て仕上げは、次の技術又は技法によること。
- 使用する榑は、「赤身」、「白肌」又は「甲付き」とすること。
- 榑立てに補助釘を使用する場合には、竹釘を用いること。
- 「外目鉋」、「胴かけ銑」又は「丸鉋」を用いて「外丸」を仕上げ、「内目鉋」又は「丸鉋」を用いて「内丸」を仕上げること。
- たがは、固定蓋があるものにあっては、4本以上、ないものにあっては、1本以上かけること。
- 木口の仕上げ削り及び面取りをし、たがを磨くこと。
- 仕上げに塗り等をする場合には、「ろう拭き」、柿渋仕上げ又は「溜塗り」によること。

原材料
- 木地は、スギとすること。
- たがの素材は、マダケ、銅又は真鍮とすること。
- 漆は、天然漆とすること。
産地組合の概要
- 組合名秋田杉桶樽協同組合
- 所在地〒016-0895 秋田県能代市末広町4-3
- TEL0185-52-2539
- FAX0185-55-1527
- ホームページhttps://www2.chuokai-akita.or.jp/oketaru/index.html
- 企業数5社
- 従事者数27名
- 年間生産額約1億円
- 伝統工芸士4名
- 主な製品おひつ、すし飯切り、花器、湯桶、水桶、漬物桶、祝樽、銚子樽、酒樽、風呂桶 など