東北の伝統的工芸品

宮城県
仙台箪笥

産 地

指定年月日

平成27年6月18日

歴史

仙台箪笥の原型がつくられたのは、江戸時代末期とされています。仙台藩の地場産業として生まれ、武士たちが刀や羽織、裃等を収める身近な生活財とされたことから、野郎箪笥とも呼ばれました。また、明治時代から大正時代中期には海外にも輸出されていました。

特徴

ケヤキやクリ等を素材とし、ケヤキの木目が浮かび上がる木地呂漆塗等に豪華な鉄等の打ち出し飾り金具が付きます。指物、漆塗り、金具の職人技によって作られる美しく、派手で重厚な和箪笥です。

産地PR・最近の取り組み、課題など

現代の生活様式の変化により、従来の組み込み式や奥行きのある和箪笥の需要は年々減少していることから、仙台箪笥協同組合等では商品開発に継続的に取り組んでおり、マンションタイプの仙台箪笥から仏壇、文具等の小物まで幅が広がっています。また使い手側も、仙台箪笥を食器の収納やスタンディング・デスクとして使用するなど、従来の使い方にこだわらない方法で愛用するなど、使い方の広がりが見られます。
仙台箪笥協同組合のギャラリー「仙台箪笥歴史工藝館」では、江戸時代からの時代別に箪笥等が展示されていますので、是非、足をお運びください。

仙台箪笥歴史工藝館ホームページ 仙臺簞笥歴史工芸館(仙台市青葉区本町2-7-3 ユノメ家具本店4階 電話:022-225-8368)

製法や工程について

製造工程

材料は天然のものを使用しており、欅・栗・杉・桐の無垢材、塗装は漆、金具は鉄、鉄の防錆着色も絹や毛などの動物性たんばく質・漆を使用します。手工芸製品であり、道具も職人が自製しています。
塗装は木地呂塗という漆塗装面を鏡面に仕上げる欅の木目を活かした産地特有の技術です。漆を塗っては炭のかけらで研ぎ出し、また漆を塗って研ぐという工程を何回となく繰り返します。
金具は主に鉄で、他に真鍮、銅等もあります。これに鏨で模様の線の一つ一つを彫りつける打ち出しにより、手作業で作られます。

技術・技法

  1. 木地加工は、次の技術又は技法によること。
    1. 本体の部材の接合は、次の技術又は技法によること。
      • 側板に対する棚板の接合は、大入れ組手、蟻ほぞ、片胴付板ほぞ又は剣留め両胴付組手によること。
      • 側板に対する地板の接合は、組み接ぎ又は片胴付板ほぞによること。
      • 天板と側板との接合は、組み接ぎ、前留め組み接ぎ、前留めあり組又は前留め隠しあり組によること。
      • 天板、棚板及び地板に対する仕切り板の接合は、蟻ほぞ、片胴付板ほぞ又は剣留め両胴付組手によること。
      • 背板の接合は、平打ち付継ぎ又は大入れ継ぎによること。
    2. 台輪を付ける場合には、次の技術又は技法によること。
      • 四方台輪、えぐり出し台輪及び車台輪における前板と側板との接合は、外留及び内素胴付追い入れ組みによること。
      • 猫脚台輪における幕板と脚部との接合は、板ほぞ組みとすること。
    3. 引出しの部材の接合は、次の技術又は技法によること。
      • 前板と側板との接合は、素胴付切欠き組手、ほぞ組手又は蟻ほぞ組手とすること。
      • 側板と向板との接合は、三枚ほぞ組手とすること。
    4. とびらを付ける場合の部材の接合は、本核ほぞ付留め組、隠雇小ざね入留め組又は雇いざね入留め組によること。
      • 前板と側板との接合は、素胴付切欠き組手、ほぞ組手又は蟻ほぞ組手とすること。
      • 側板と向板との接合は、三枚ほぞ組手とすること。
  2. 塗装は、次の技術又は技法によること。
    1. 木地呂漆塗にあっては、生漆を用いて下地を行い、木地呂漆を用いて上塗した後、上塗研ぎをし、「胴摺り」をすること。
    2. ふき漆塗にあっては、生漆を繰り返し塗付した後、精製生漆又は透漆を用いて「仕上げふき」をすること。
  3. 金具の製造は、次の技術又は技法によること。
    1. 「輪郭彫り」は、手作業により彫り鏨、魚々鏨及び線彫り鏨を用いて行うこと。
    2. 「打ち出し」は、手作業により打ち出し鏨、鉛台及び金槌を用いて行うこと。
    3. 「切り落し」は、手作業により切り鏨、抜き鏨及び金槌を用いて行うこと。
    4. 「ヤスリがけ」は、手作業によりヤスリを用いて行うこと。
    5. 「象がん」は、手作業により真鍮及びホウ酸を用いて行うこと。
    6. 蝶番、錠、鍵及び補助金具作りは、手作業によること。
    7. 引き手作りは、手作業により「わらびて型」、「もっこ型」、「ひるて型」、又は「角手型」に鎚打ちし成形すること。
    8. さび止め及び仕上げは、鉄製の金具にあっては、真綿又は漆を焼き付け、ろうを塗り布で磨き、銅製の金具にあっては、硫化物を用いて行うこと。

原材料

  1. 木地は、ケヤキ、クリ、スギ、ヒノキ、キリ若しくはニレ又はこれらと同等の材質を有するものとすること。
  2. 漆は、天然漆とすること。
  3. 金具は、鉄製、銅製、銀製又は真鍮製とすること。

産地組合の概要

  • 組合名仙台箪笥協同組合
  • 所在地〒980-0014 宮城県仙台市青葉区本町2-7-3 ユノメ家具本店内
  • TEL022-225-8368
  • FAX022-224-3627
  • ホームページhttps://www.sendai-tansu.com/
  • 企業数11事業者
  • 従事者数42名
  • 年間生産額 -
  • 伝統工芸士5名
  • 主な製品閂箪笥、階段箪笥、片開き箪笥